雪まみれになったあなたの道
清く浄くつづいて
それはやがてふたりの道にもなるだろう
会えないより
会わないほうが
大好きより
大好きでいられる
紅茶の ....
みちがもうないのだ
ゆきにうもれて
そのみちを
みちだとしんじて
ゆくのがよい
わたしもずいぶん
ねゆきになった
はるになれば
めがでるだろう
ねゆきのそ ....
其処にゐる
づうづうしく
此処にゐる
降る雨のやうに
{ルビ懶=ものふ}き思ひ止まず
私は私を
支へきれず
寝転ばり
何時か
空あらはれるやうに
只願ふ
蘇生のイキをするように
そっと虚空に
言葉をはなったとき
言葉はすぐにちりぢりになってきえた
あの日の
あの青空には
二度とであえはしない
....
大柄な夜が行ったり来たりして
目にうるさいわ
と姫が言う
夜は地球の影だと
どこかの王子が教えてくれた
ならなぜあんなに行ったりきたりするの
小さな頃はよかった
やわらかいお湯に ....
視力が落ちてから
虫とほこりの区別をつけるのが難しくなった
そのように沈黙の内側から
何かしらの気配を感じ取るのが難しくなった
今、目の前に置かれたCPUのかたまりの中へ
こうやって次々寄せ ....
{引用=ああ
それはあなたを思い過ぎて変わり果てた私の姿
月光も凍てつく森で
樹液すするあたしは虫の女
〜 パンク蛹化の女 戸川純}
....
ささやかれ
捏ねられて
貪りつくし
おんなは
....
「はじまりが見えたか、
何のために生まれてきたか
見えはじめている
生きたか!?_ 凄まじく獰猛な家来で
家の就職はまだはじまらないか!_?
そんな恐れる程でもない子 供うナ ....
四年ほど前から付き合いのあるこの男は、不思議なことに何も教えた記憶はないのだが、俺の昔をよく知っている。一日のうち五,六度、俺の前に顔を出し、あるときは俺の読んだ本や詩を酷評し、あるときは俺の書い ....
鳩が二羽しかいないことをアマリアはあらためて不思議に思うのだった
ここにはカマンヌとスダーイとアマリアの三人がいる
ということは鳩は三羽いなければならないのだった
そんな当たり前のこ ....
さぁ 胸をはって
鼻のあなを
おもいっきり開いて
しんこきゅう しんこきゅう
スーハー スーハー
しんせんな空気を
胸のなかに吸いこんで
心のモヤモヤをはきだす
しんこきゅう ....
首吊り自殺はハードなヨガだと思う
肉体はなくなっても
晴れ渡った世界を見てるんだと思う
だからほんとうは
サドゥの恰好してやらなきゃいけないんだと思う
....
なぜだろう ひとりで見上げたい空がある
なぜだろう ひとりで歩きたい小道がある
踏み拉かれるのはいつも名もない草花たちだ
(ほんとは名前があるのだが
(呼ばれてうれしいか 知らないが
美 ....
わたしがみたいもの
ちょうど林が重なるとき
岸の端だけ明るいの
わたしがみたいもの
頬のこけた旅人の耳
一年に一度受信できるラジオ
わたしがみたいもの
雨にうたれる阿修羅像
も ....
もんだいは
かいけつするものだ
かみのうえで
しずかに
まいあさあたらしい
とうあんようし
ていしゅつしてる
とがってたはずの
えんぴつのさき
まるく ....
水たまりにふれる金管のくちびる
降りやまず続く日
いちばん始めの地球に戻されたような
ゆりかごの上をたどる
ひらいた傘は鳴りきし ....
瑠璃色が
微弱な電流を絶って不明になる
そのことがわたしのこころを危うくする、
馬鹿げたことだと思うけれど
わたしは時間について
なにもわからなくなってしまったのだ
瑠 ....
花がやわらかに息を吐き
夜明けの雨に凍えても
時は鳴りやまない
まつ毛のさきにふれる空は透けて
彗星のように種が流れていく
肌にすべる水滴にくちづけ
花びらを射ち落として
雨は死 ....
暗い夜には
一羽の鳥がやってきて
私の口に潜り込むと
枝を使って舌根の辺りに巣を作り
数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく
朝、私の舌で
殻を破 ....
....
妖精サイズの封筒に
雨模様のぼたん
さぐり打つ鍵かけて
差し出そうとする腕をほどき忘れている
ちらちらと縫う
意識の合間、四辺形の薄明かり
落ちた視力にささる脈動星
猫を
弾い ....
三十五歳になったから これからは太い声の男になろう
ドラム缶から 人食い人種がリンボーダンスを踊りながら出てくるみたいな
太い声で
だったら仕事もはかどるだろうな
....
全く、窓辺の風よ
そうやあやあと声を張らず
少し黙っていられないのか
私の爪先ももちろんそうだが
なにより、カーテンが困っているよ
お前の冷やかな愛の歌が
彼女の心を惑わせているよ
....
便利やで。このひと。
うれしいと泣く。
哀しいと笑う。
恋もできる。
歌も唄う。
故障は少ない。軽くて丈夫。
充電式やから停電に強い。
環境に順応。
ええ仕事する。みんな欲 ....
街へ倣え、倣え、倣え 境遇的快楽だとしても
街へ倣え、倣え、倣え 世代的快楽だとしても
街へ倣え、倣え、倣え 数値的快楽だとしても
街へ倣え、倣え、倣え ....
ファスナーがいつも従順だと思ったら
それは思い込み もしくは 先入観みたいなもので
生地を喰うことがある
貞淑だった人妻が
何を思ったか豹変し
畏れをしらぬ 厄介なうえ 世にも面倒な 小 ....
フフフンノフン〜
ジャバジャバダバダ〜
ムチャ〜チャシソレ〜
ポケットの中から何やらハミングが聴こえてくる
携帯電話が通話中になっており
お爺さんらしき人がそれはたぶんお風呂に違 ....
どこか、遠い、ある日に作られた柔らかな言語で
その柔らかさよりずっと柔らかく、けれど反響する言葉で
夕立が襲う屋根の下の静寂のように
あるいは待ちわびるスピーカーのざわめき、そのよ ....
生まれぬ仔を
待望して止まないように
生まれぬ言葉の
形なき存在を想う
非存在という
存在のありかた
存在なきことは
ひとつの救いでもある
発そうとした言葉を
失いつづけ ....
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