掌に海がある
水平線のむこうから
海賊船がやってくる
わたしから大切な記憶を盗み
それで得た金で
毎晩酒を飲み騒いでるのだ
わたしは海に飛びこみたいけれど
この体から出ること ....
私は死体だ
今日も明日の世界を 私の
私は私の地獄の奥底で歩かさせられた
未来に私の心は 歩かさせられた
屍だ 私は私の未来を
その言葉を 生きて行く 私は私の
ああ 私 ....
後ろから
脳を一撃された
と同時に
ウィルスも
身に入る
悪寒がはしり
発熱する
リンパはパンパンに腫れ
首から上ばかりが
熱い
ぐらぐらとしためまい
脳の中は
....
目覚めの弱い朝
濃いめのブラックコーヒーと
アーモンドチョコレート
苦みで潤される喉をなぞるカカオの甘さ
寝ぼけた体が整えられていく
今日はどうやら天気が良さそうだ
もうすっかり冷 ....
湖に浮かぶ月
冷たい水に足を浸して遊ぶ
水草が名残惜しそうに体に絡みついてくる
息を止めて
体を沈ませ
ゆれて怯える月を捕まえた
勢いよく
口に放り込み
よく噛んでいると
....
雪だるま作って
カマクラ作って
みかんを食べて
ケーキを食べる。
笑いながら
話をして
ポインセチア
ながめる。
窓に好きな{ルビ娘=こ}の
名前を書いて、にやつく
湯たん ....
押したはずの
シャッター音が
秋の葉音に
かき消されて
写真だけが残る
昨日 不意に
夜に向かって
ストロボをたくと
逃げ遅れた闇が
気まずそうに
ちょっとだけ
慌てふためく ....
水道水にかぶれた皮膚のあたりを掻く
描いていたのかもしれない
赤く、ぽつぽつと、
夕日の質感に似せて
滑車に吊るされている重量のないもの
贅沢は言わない
ほんの少しでも重みがあれば
....
墓石屋は雨にうたれて
このまま風邪をひいてしまいたい
はかない命と真顔で告白しても
「墓石屋なのに〜(笑)。」とギャグだと思われ
そのうち心も荒みだし
行き着いたところは
ザ・デストロイヤ ....
橋の所に咲く花は
来る川の水を見ていたし
ゆく川の水も見てた
橋の所に咲く花は
泣く私も見ていたし
笑う私も見てた
秋の風は香りを運びますねと
語りかけても
ひとりたつだけ
....
死を詩にすくわれ詩に恋して死にたくなり詩にまもられまた詩を書く死ぬまで
暗い室内
小さいフグが
水槽の中心あたりを
一匹で
小さく旋回
しているのかと
よく観ると
あ
外側の皮膚と
内側の皮膚が
ひっくり返っている
ひっきりなしに
水槽越し ....
岩波文庫の
寺田寅彦随筆集第一巻
寺田寅彦随筆集第一巻だけを
岩波文庫の寺田寅彦随筆集第一巻だけを
岩波文庫の寺田寅彦随筆集第一巻だけを専門に
岩波文庫の寺田寅彦随筆集第一巻だけを専門に扱う ....
伊藤くんがなにかべつの存在に入れ代わっていた
双眸にうかんだ青い月影
柔和に引きつれた微笑にそれが凄絶をあたえている
土蔵の板窓が震えているのは僕のふるえでも風で起こったものでもなか ....
夜の海を見に行きませんか
ライトの燈ったコンビナートを
夜の海に潜ってみませんか
ライトを持って浅いところを
それはまるで私の原風景
それは貴女に見せたかった風景
夜の海を ....
鉱石の中で音符が溺れる
横のようにただ長いだけの真昼
旋律とは名ばかりの
みすぼらしい数々の記載
私たちの身体は何も語れない
具体的な生活を持たない
単なる肉の塊にすぎない ....
もうお前の人生は
終わりだ
死がふさわしい
最後の願い事はなんだ
金か女か名誉か
そんなものくだらない
人生ゲームではない
真剣勝負
一度きりの大舞台
いかに人に感動を
与えら ....
夏に
川向こうで
お祭りの金魚すくい
「金魚救い」なんて書いてあったっけ
ひとというものは
あまりそう
誰かに救われたり
誰かを救えたりするようなものではないのに
金魚たち
すく ....
私が死んだらどうか
庭には一面青い花を植えてほしい
春にはシラーとアリウムが
夏にはマツムシソウとラベンダーが
秋にはクジャクソウとリンドウが
冬にはミスミソウとヒヤシンスが
それぞれ ....
雨の日は布団を首に巻いて
死にませう
雨と 雨の。
いたずらな溶解に聴力を奪われて
雨 雨 雨の仕草をマネて眠り
雨の日の首の ....
冷蔵庫のなかで安いメロンを抱えています
やわらかくなるまで
実は新鮮な果物が食べれないのです
くしゃみが出てくればそろそろ短い夜も終わり
)
熟睡の季節に
あなたのこと ....
誰も知らない湖の脇を、ひとり言葉を無くして私は歩いていた。あなたは子供のようだったけれど、でもよく見るとそのようには思えなかった。だからあなたはきっと僕の友達なんだと理解した。僕にとってきっと、身近で ....
白い貝殻を拾ってネックレスを作るように言葉を組み合わせるの、と
詩を書くあなたは言うけれど
私はビー玉をころころと太陽に透かすように
光のかけらと じゃれていたい
ノープランの恋愛ですが ....
昔 うちの父さんは
カレーライスにソースをかけて
スプーンをグラスに突っ込んで
上から下までぐるぐる混ぜて
それはそれはおいしそうに頬張っていた
ある日 それを友達に
なにげなく話した ....
それはだれかに
しってもらいたいから
そんなだれかに
ほめてもらいたいから
宇宙のかたすみに
おれがあらわれたのは
きっとその理由からさ
宇宙のかたすみで ....
砂漠ですから砂の岸辺
いろいろなものが
打ち上げられもするのです
特に砂嵐のあとや
遠くの土地での季節の豪雨が
泥水の大海嘯を送り込んできた後などには
紙の本は水には弱い
水のみ ....
何かの拍子に
君の香り
ふわり
懐かしいような
切ないような
涙ぐみそうな
....
中庭に
植えた花は
きれいだけど
枯れてしまった
窓際に
活けた花は
きれいだけど
萎れてしまった
花屋に
勤めてみたけど
まい日
まい日
まい日
まい日
まい ....
雨の粒を追っている
あなたになりはしないかと
雨のレンズを通して
あなたをみてみたい
水にたまった
雨の粒たちは
違う世界なんてみせなくて
ただ小さな円をつくっている
雨の ....
丘の上二人夕焼け空見てるの
キャンバスに色を入れるでもなく
写真と記憶のもうちょっと曖昧なオレンジで
黒は足さずに白で割る
その夕焼けを見ている 秋の空
涼しい風が汗を冷やし
冬が来た ....
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