光に目を凝らすと
色彩が失われ
あらゆるカタチはこわれている
ひとつの塊にしかみえなくなっている
蠢くものの姿がみえない
ほかと選別できないから言葉がうかびあがら ....
夜の散歩に出掛けた際に
無数の小さな光たちは
私を少年時代へと連れていく
できるなら、ここへ来ることは避けたかったのだが
不意に遮っていったかつての残像は
無罪の色をしていた
....
何もない 海には
吹いている 浮き袋が 透明な風が見えた
夢が
揺れているのかもしれない 遠くがあって
そんなふうにして 喫茶店を 眠りにつこうとする
思いながら
ネタは何もな ....
服を脱げば
汗をぬぐえば
そこには
熱い風でもない湿りでもない
夏が
夏というものが現れる
幼子のころを思い出すなつ
幼子はおとなにあこがれた
おとな ....
めずらしく
たったビール2本で
酔いが足をからませる
まっすぐ歩いているつもりが
どんどん道の
真ん中に寄っていく
ボワンとした視界に
でんとトラックが
踏み切り待ちしている
....
私はたそがれたいのだった
熱い紅茶をくちびるを湿らすように飲むと
赤い楓の葉がぼんやりと庭先に佇んでいる
胸がぐっと引き裂かれていくと
むき出しになった夕陽がじゅくじゅくとして ....
愛すには資格がいるって本当かな
教えてほしい 告白前に
ラブレター 書き上げたなら誤字脱字
偏差値上げて 出直してくる
目に届く 君のラブリー まぶしくて
やっぱりぼくは垣 ....
自動販売機の 無骨な音は変わらないのに
近頃の 缶コーヒーは旨い
低気圧が近づいて 波が高い
海水混じりの風が 鼓膜を揺らし続ける
俺は 不味いコーヒーが飲みたかった
歯が溶ける甘味
....
きれいな部屋
テレビから伝わってくる
澱んだ空気
....
小さな木の箱に
青灰色の小石が入っている
特別な宝石や鉱石ではなく
河原に幾らでもある
丸っこいありふれた石
箱の中に白い布が敷かれ
その上に置かれている
箱は石の為の棺だ
あの人 ....
こんなに好きなのに
こんなに陳腐な話ばかりしている
おまえはさみしがりやだ
おれはおまえのそばにいてやれない
社会制度の枠組みではいてやれない
嫉妬する気持ちなんてだれに ....
シェリーを2種類たのんだ
ふたりで飲み比べてみた
ちいさなグラスだった
おまえはそんなに食べなかった
麹町のスペイン料理店
チョイスがわるかったかな
四ツ谷までふた ....
私は寝ころび空を見上げる
病床の窓を通して
流れゆく雲は次第に形を変え
何かに似せては崩れてゆく
また、青は
濃淡で季節を告げ
気がつけば鮮やかになり
気がつけば冷めてゆく
雨 ....
この想いを永久氷土に閉じ込めて
大事に大事に封印しよう
隠し続けていた君への想い
隠しきれなくなったとき
あの夜二人はサヨナラした
きっと最高の笑顔で
駅で逢うたびドキドキしてた
そ ....
きみにはもういくつ寝ても売れない芸人でいてほしい
売れないで売れないで売れ残って最後にわたしが買ってあげるから
しっかりしないでダメでいて
働かないでそばにいて
お母さんの遺伝子
お ....
『婿殿!』と
あざ笑われる
その夜に
俺に遭ったら
それが命日
デザートイーグルの銃身のイーグルの顔で明日も勝利を引き寄せろ
極上の一行目をひねり出せた夜はすぐさ ....
昨日をかばんに詰め終えた
坂道 秋の木立 四種類の蝉の歌
清掃工場の煙突と浄水場のタンク
ダンスを始めた稲穂たち
鎮守の丘と用水路
高速道路の高架橋
思い出の風景をぜんぶ閉じ込 ....
スーパーマーケットの
タイムサービスで
父が売られていた
お惣菜売場の隅に
さみしそうに立っていた
私が買った
うれしそうな顔をする父に
何か食べたいものはないか尋ねると
....
久しぶりに酔いつぶれた
たった瓶ビール2本で
その日はなにか その人に
無意識にメールをしてしまった
新宿で待ち合わせて
1時間だけ飲む
何年ぶりだろう
いっしょに飲むな ....
線路というやつはなんだって
この直線的な箱を
ねじ曲げることなく
流していけるのだろう
緩やかに曲がってくクセして
ぼくは客車のぱさぱさとした手触りの赤い
キルトのようなベッドの上 ....
白い塔の表面を
カッターナイフで削ってみると
そこから
赤い血が滲んできたので
包帯を巻いてやった
それが正しいやりかたなのかどうかは
知らない
コンビニのゴミ箱に捨てられていた ....
100824
方違えが面倒なので
裏口から出て
裏道を通り
表門を閉めて居る振りをしていたら
ケータイが鳴ってすぐに切れる
....
会社で毎日のルーティーンワーク
すると
ぼくの肩を叩いた同僚が
ぼくを名前で呼ぶ
生きてきてから今まで
慣れ親しんだ響きじゃなく
初めて耳に飛び込んできた名前
驚いて振り返ると
....
美しすぎる貴方を
自分の躰の一部にしてしまおうと
よこしまな私は
咀嚼して貴方を消化した。
三十六歳児
ランドセルを背負ったら
肩を脱臼した
自宅で昼間に一人でさ
三十六歳児
ランドセルを背負ったら
肩を脱臼して
人生初の119番さ
ランドセルを背負ったまま
救急搬送され ....
笑いたければ笑えばいいって
素敵な台詞をあなたが言うから
思い切り腹を抱えて笑ったんだけど
わたしってどうして殴られてるの?
どうして鼻を中心に殴られてるの?
正中線が人体の急所だってことは ....
この町じゃ烏は阿呆って鳴く
俺はダンジョンじゃ名の知れたはぐれ者の逃げないメタル
....
呑まないと
ねむりかたすら分からない
昨夜よりやや
多目に注げ
満たされないものは何か
一人分の静かな夜が
季節の終わりに問いかけてくる
それを孤独と呼ぶ人もいるけれど
一人でいることと孤独は異なると
何時か何かの文章に書いてありました
{引用 ....
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