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遊歩道 風化の隅にももいろの雨が逝く午後 そっと手つなぐ
触れられるそばから羽化をした 二度と同じではない スプリング・イズ・ヒア
目覚めると輪郭だけが残っていた はまって遊んだあとで、笑った
ソファの上に速度の違う一日あり胸とくとく打つ猫と私と
いまはもう見えなくなった補助輪のかろかろ我の胸に鳴り在る
....
1という字のように立ち 一という字のように眠れ 孤独な無限
0なんて発見するからいつまでも君の不在が消えないままだ
ON/OFFのあいだに広がる宇宙にて親指は祈る メール、 ....
三度目はもう事故じゃない 手のひらで古い磁石が廻り続けて
喉笛は砥石の音色 組み敷かれ我意志のある屍となり
呪いである 凝固と気化を繰り返す二つの肉を月光が刺す
....
奪われないので
今日もひとり分を生きた
果てのない風船の暗闇で
惑星の君が手をふっている
伸びる道は無限に存在し
いつでも繋がっていると同時に
いつでも一定の隔たりがあり
謎 ....
ひねったら水が出ます ひかっています で? 好き、に理由なんてないよ
踊り場の全員うえを向いている スカートの嬌声がひびく、午後
うす目あけて口をあけてぎゅっとにぎってゴムふうせん ....
非常ベルなんども押した 標識のない建物とわかっていても
「もう誰も信用するな」と声がして 拒むまぶたに緑、明滅
ほら、もうすぐ出口だよって歓喜して振り向いたと ....
あれから2週間が経ったっていうのに
なぜいまも頭が膨れ上がってるのか
理由は自分でもわかっていて
そのうちのひとつは、トーキョー 打ち上げの席でもと子さんが話してた電車話が
私の旅路にふりかか ....
乱暴に呼び鈴鳴らすその指のリズムに乗ってやってくる夏
目薬のほうも緊張していると今知りました、テーブル越しに
交通事故ゼロの記録が途切れたから明日あたらしい香水を買う
....
闇のなか駆けゆく闇の静寂にもうひとすじの闇が寄り添う
戦友よ焼けつく火花の森を越え君とたどり着きたい場所がある
書いては消し、
書いては、
消し、
夜 、
に書いた手紙は朝にもういちど読みかえしてみよといいます、
雪は残らずとけてしまった、私は雑 ....
穴の夜に可憐な花を引きちぎる 心の底から憎まれたくて
『やさしさ』という字はとても丸いのでやわらかなものと誤解していた
ワンピースに西のワインがふりかかる とれない染みに焦がれど、 ....
十六歳だった
終わったあと
ひとつになったんだね、と囁かれ
雑誌の読みすぎだとおもった
このベッドの下に隠れてるなにかかしら、とか
制服がしわしわになっちゃった、とか
私ははじめてで ....
{ルビ後=ご}にまわり我の影、という君がいて 君に見えざる影 我にあり
『君がため』 粘土で出来た{ルビ人形=ひとがた}は受け入れがたき奇形児となる
夕焼けに踏みだす我 ....
本当の入り口はどこだったのか
わかったのは
いつだったろう
どこまで上昇しても
融点はなく
波はひきかえしてゆく
そうやって
のまれても、のまれても
打ち上げられるしか
なか ....