しろいはな
ちいさなはな
おもいでのはな
きおくのはな
だれかとのやくそくのはな
おちてはくだけちるはなのざんぞう
ないてるきおくしかおもいだせない
ねぇあのころなんであんなかなしかった ....
にわか雨は 去り 桜草の 露の うすももいろに
ぼくは きょうを 生い 立って ゆく
( 撒き 散らされたんだ )
それは ブリリアントに かがやいて
偶成の 初夏 ....
近くに小さな森がある
魔女も赤ずきんちゃんもいない
妖精も小人もいない
むろん南方熊楠もいない
サワグルミの木がある
トチの木がある
両手をまっ黄色にしながら
固くて苦いトチ ....
鳴かぬなら 私が鳴こう ほととぎす
水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は
その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に
....
気付きを渇望していて
それは同時に恐怖でした
目を閉じれば蛙の鳴き声が
聞こえます
顔を覆う手に雨が降ります
砂漠の真中に 街灯の隅に
泥まみれのまつげが
ひとり世界を睨むとき
....
ヒトラーの「わが闘争」を
いつもポケットに入れていた
まるでサリンジャーの小説の
脇役のようなH君から
十二年ぶりに電話がきたのは
二年まえのことだった
十二年前H君は中国人の留学生に ....
朝、目覚めて、海を、見に行く。
ねぼけ、まなこに、潮風、しみる。
寝巻に、残る、熱、冷めてゆく。
寝汗が、冷えて、少し、目覚める。
海辺の、ディスコは、閉店、時刻。
....
夜をこえて 夜空を駆けて
眠るあなたのうでのなか 忍び込みたい
あなたの見るゆめ
金の砂漠 蒼の水底
耳をすませて
私にきかせて
ねむるあなたのそばにいるから
明け方のそら ....
ピカソみたいに一日じゅう
セントジェームスのシャツを着て
たくさんの女と子どもたちに囲まれ
好き勝手に暮らしたい
白くない砂浜に
空のペットボトルが漂着し
三ツ矢サイダーだの
おーい ....
みんなわたしにやさしいです
誰も彼もやさしいです
みんなわたしにやさしいです
王子さまもお姫さまもやさしいです
マジシャンも泥棒もやさしいです
みんなわたしにやさしいです
魔女もお ....
海の窓に一面咲き誇る、
世代の階段を降ろしているひかりの樹木が、
紺碧の空の濃度のなかを降りそそぐ。
ひかりは、やがて、平坦に引きわけた、
一般という名の岸のなかに、染まってゆき、
見えない ....
天分のまずしさを
逆さに かかえて
ぼくは たまゆらの
ゆめの 背理から
つばさもなく飛ぶ
ぼくは詩を書きたい
耳を澄ませば
自然の歌と心の響き
今日もまた
朝の散歩をしていると
自然の組曲に出会いました
それは夏の朝とともに始まる
どこからともなく風が吹き ....
誰かを思う、優しい手つき。
頭を撫ぜる。
互いを繋ぐ。
頬に添う。
滲むいとしさに胸を打たれ、
降り注ぐ想いのシャワーを仰ぎながら
昼しずりのそんな日に、
「ああ、あたたかい」
そ ....
ふたしかな季節を
灰の午後のかけらを
染まるようで染まらずにとおりぬけ
雲を燃す火はぽつぽつと
河口の浪を照らし出す
割れた岸を砂は流れ
夜の虫の光のように
浪の下へと沈 ....
あさがくる。
わたしはかがんだ姿勢で、静かに息をのむ。
空からおとされた、その夢から覚めきらず、
湖の底から、
裂けた形をした空を見上げる。
藻にからまり、
わたしは力なく、湖面をあお ....
雨音が響くココロに溢れてる想いはいつも透明キャンディー
夜を少しだけ手にとって
眺めてみると
それはざらざらした
細かな粒子から成り立っている
鋭い紅色のとげとげした宝石の粒の様だ
それはいつの間にか
僕の身体に浸透して ....
埃っぽい雑木林のうえで
高圧線がけだるそうにたるんでいる
(感傷に曇ったまなざし?)
しっとりとせまる落日のなかで
くまどられた丘がうずくまっている
(運命の冷遇?)
宵やみが深ま ....
おっぱいは夜明けの頃がいい
まだ暗い丘を踏みしめていくように
夢と{ルビ現=うつつ}の{ルビ間=あわい}をなぞるように
その危ういしなやかさに頬を預けたい
夜のおっぱいがいいのは言うまでも ....
空に流れては消えてゆく歌
冬の鼓動に
白の盲目に
他者を知らない目の奥に
銀の花は降りてくる
光の時計の前に立ち
影をつくり
針を止めても
流れは止まらず
星 ....
夕暮れの湖に
浮かんでいるもの
あれは
たしかに
ぼくの心だ
あの日から
消えてしまった
道連れを探す
寂しいぼくの心だ
青空の片隅で
膝を抱えてうずくまっているもの
あ ....
美しい風景を見たよ
一面に咲いている白い花が
まるで目眩を誘うように
とびきりの光の奥深くまで華やかで
美しい空を見たよ
ゆっくりと流れていく白い雲が
まるで目眩を誘うように
水面 ....
それ、心に決めた日よりも言葉に似て
擦れ違う日々の基準が誰かの
足音に少しずつ詰め寄られて
僕らは合わせた手の、窓ガラスに触れた
薄い汚れ
それでも風は透明になれる
それでも風はどこか透明 ....
夜道を一人歩いていた
道の先に立つ街灯が
{ルビ辺=あた}りをほの白く照らしていた
街灯の細い柱に{ルビ凭=もた}れると
地面に伸びる
薄ら{ルビ哂=わら}いを浮かべた
私の影 ....
霧雨の煙の中で
水色の深呼吸をする
その時がくるのがひたひたと
近づいている
ため息に少し似た
小さな呼吸が雨に溶ける
その一瞬が重なって
水色が現れる
霧雨の煙の中で ....
「狐つき」
こん と ないてはなりませぬ
こえをあげては なりませぬ
とられたくない だいじなものは
かくしておかねば なりませぬ
くらいよみちは こわいけど
ふきさすかぜは つら ....
森は沈む
銀の花に
残響に
緋の笑みに
秋を穿つ泥まみれの羽に
森は沈む
鏡の乗りものに映る青空
死が飾られた街の隙間に
冬の色の海が見える
その鳥はとどろき ....
それは些細な偶然
ころびかけた拍子に
視線が合えば
見下ろすあなた
すぐにはわからないけれど
いつかはわかる気がしてた
意識の始まり
....
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