やがて来る 浸水した床下から
新しい手が生えてくる

風が走り去った午後の遊園地
ベンチには黒い影が二つ 揺らめいている
そして二つの風船 雲の彼方へ消えていった

全ては千切れた羽の様 ....
ビニールの傘持って
忍び寄る夜から逃げて

敷き詰められた落ち葉を蹴って
去って行く夕日を追って

彼女は暗い森の中

ビニールの傘差して
溢れそうな涙こらえて

そしてタバコに ....
糸電話、もしもし
壁に繋げて、もしもし

お返事は、とても静かで
耳に水が入ったみたいに

こおおお、こおおお、と
冷たくもなく


母なき胎児になりました
繋がるものがありませ ....
ナイチンゲールの鳴く夜に
私はひとり詩を綴る
月明かりの射す窓辺で
せつなく悲しい恋の{ルビ詩=うた}を

ナイチンゲールの鳴く夜に
薔薇は色を赤く染め
残酷な結末を知らずに
今宵も甘 ....
追いかけるのはいつかの夢
{ルビ揺蕩=たゆた}うのは幸福だったころの記憶
抱きしめるのはあのひとの気配
口づけるのは囁かれた愛のことば
燦燦たる陽のしたで赤く爛れるのは向日葵の花

瞬きの ....
ていきあつていきあつ
と いっしんに唱える、
上空を
旋回するビニールの屋根
めがけて
いっせいにひかりは弱まった。

自転車にのって上昇したのだ
こどもたちは眼下にひろがって
車輪 ....
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や

誘蛾灯十枚の爪かかりけり

泳ぎきし手足を埋めて砂の城

真夜中の汗つま先へ到達す

扇風機ふいに大きく頷けり

蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
油蝉の断末魔に
ふりむくと
老婆がひとり
まどろんでいた
石段にひろげられた紙の上に
硬貨をひとつ
投げてやった
老婆は顔を上げると
おれの目を
じっと見つめた

あくる日
老 ....
鉄の匂いを
僕は知っている

あの金属のぬめりを
僕は知っている

太陽が反射する

鉄の匂いもそうやって
空中に反射されて
四方に鉄の柱を
延ばし続ける

一面にはえた鉄の ....
いつもの時間を
いつもと違う場所で過ごすだけで
いつもの場所の
景色が少し変わっただけで
何だかすご〜く新しい気分になる

いつもの朝
一通の手紙が来ただけで
いつもの昼
誰かと少し ....
日向葵が ずっしりとこうべを垂れ


その種は またいつか
踏むであろう 土へ と
眠る



夏が終わる
夏が終わる




嵐のように 吹き抜ける


夏が ....
列車のベルが鳴る


どうして

どうして

僕らは旅に出て行くんだろう

小さなリュックをさげた女の子が
泣きながら
走って列車に飛び乗った

大きな声で
彼女を呼ぶ声が ....
彩る街の中を、寄り添う船が
あの銀色の平原を
滑るように進んでいった

街の中では
音もなくすれ違う人波、灰色の星
それでも
君は華やいでいると言うのだろうか

もう遠い船は
ただ ....
一番目の男が言った。
「彼はいつになったら来るのだらう?」
「いや、彼はもう行ってしまったのさ」
と、二番目の男が言った。三番目の男は黙ってゐた。
「それを残して行ってしまった」
三人の男達 ....
やわらかいメロディで
押しつぶして
お願い

僕の中で君が渦巻いている
目が回って気持ち悪くなりそう
また何かを巻き添えにして
何かを犠牲にしていく

やさしいメロディで
押し ....
  しんとした
  もりのおく
  ざわめいた
  ゆめのあと
  くちびるで
  きみのこえ
  ゆびさきで
  きみのこえ
  たしかめる



  たしかめる
 ....
息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる

煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる

傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節 ....
あかりを 消して
ひらいたら きずあとを
指で なぞって
たがいの からだを
すみずみまで 読む
臨界点ならとうに越えた
 さぁ
 夜がくるよ


さよなら お月さま
俺は、あんたに届かない


こうばしいパン
かぐわしいコーヒー
光が蔭る砂時計とともに
ひまわりの形をした ....
秋に拾う貝殻は
なぜか哀しい

貝たちも
その海底で
小さな泡をながめたことも
あるだろう
射し込む光を感じたことも

いまは
生命も抜け落ちて

拾った貝殻を
わたしは持て ....
庭より白猫の帰り来るもう秋 きらきら きらきら
シルバースター
しんしん しんしん
夜の音
ぴかぴか ぴかぴか
イエロームーン
ぴこぴこ ぴこぴこ
空飛ぶ円盤
朝はこくこくと
近づいている
鞍馬に行ったときに
欲しくてしかたなかった狐面を買った
祭では私の後頭部から祭を見ていた

私が見ているものの
後ろにあるものを見ていた狐面
私の後ろにいる人に
話しかけていた狐面
頭 ....
顔のない女の顔に
雑誌のモデルや
女優の顔を見ながら
僕は毎晩好みの女性の顔を描いた

僕たちは抱き合ったり
キスをしたり
僕のものをくわえさせたり
卑猥なことをして遊ん ....
せせらぎに

優しさよりも

愛情を



虫の声

心に戻せと

願う夜



轟流に

逆らう事も

芯になり



水の色

透かして見てる
 ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
描かれた無数の黒鉛の跡は
私の知りうる中で
最も綺麗な色へと染まり
それは束となって
脳へと滑り込む
 
シナプスを経由して
緩やかに飲み込まれるのを
私は瞬きをしながら
じっと、見 ....
低い空に積乱雲が育ちはじめる朝
目が覚めたら痕跡はなくなっていた


夢じゃない証拠をさがして
扉をあけて外へ出たり
勝手口へまわったり
冷蔵庫をあけてみたり
蛇口をひねったり ....
 この病んだ時代に咲き誇る花
 その輝きは時代を超える

 傷つきやすいガラス細工の心
 その心は昼も夜も
 霞のかかった丘の向こうを見据えている

 飛び出したい衝動を抑えることは
 ....
太陽の抜殻が
うすく影をのばし
速度を落としていく

過ぎゆくものはみな
風の一部となり
思いとともに
彼方へとはこばれた

恋人がいま
海のまんなかで
夏の手紙を書いている
 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
廃墟- 佐藤清児自由詩307-9-12
- naho自由詩407-9-11
糸電話- フクロネ ...自由詩2*07-9-11
ナイチンゲールの鳴く夜に- 未有花自由詩9*07-9-11
花のなまえ- 月下美人自由詩13*07-9-10
気球観測- 南 広一自由詩207-9-10
怪談俳句- 渦巻二三 ...俳句19+*07-9-10
夏の終わり- 渦巻二三 ...自由詩907-9-10
金属- 佐藤伊織自由詩3*07-9-10
シンプル- 愛穂未詩・独白2*07-9-9
ゆらぐそら- リュウセ ...自由詩207-9-9
Image- 瀬田行生自由詩807-9-8
冬のミラノ- 智鶴自由詩6*07-9-8
第四の男- 三州生桑未詩・独白207-9-7
ナミダシロップ- ゆうと自由詩4*07-9-7
ゆれる- 草野春心自由詩507-9-7
晩夏の指先に- たりぽん ...自由詩8*07-9-6
そろもん(寝室の話)- みつべえ自由詩1007-9-6
おくられた影法師(月が輝く大地へ。たぶん愛をこめて)- 空雪自由詩8*07-9-6
美しき抜け殻- 風音携帯写真+ ...6*07-9-5
もう秋- A-29俳句1*07-9-5
夜明け- 未有花自由詩9*07-9-5
狐面- 明楽自由詩107-9-5
顔のない女- なかがわ ...自由詩3*07-9-4
- 森川仁司俳句407-9-4
夏のあとがき- 佐野権太自由詩28*07-9-4
ノート- 山中 烏 ...自由詩307-9-4
昨日の痕- 久遠薫子自由詩7*07-9-4
あなたに似合う帽子- 山崎 風 ...自由詩307-9-4
秋の海辺- 小川 葉自由詩407-9-3

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