背後を誰かが
通り過ぎ

夜の雲が
後悔を連れ出して
月の光に流される


僕は

ただじっと見つめるだけで

通り過ぎる破片を
見送ります


 ....
許される蛹に樹は満ちて
もう何年も蝶を見ていない
枝を流れる蛾の骸
葉には卵も幼虫もない


ただ在るだけの糊しろの日々
いつも声と指ばかり見て
そのほかのあなたを ....
ここにいる。知らないけれどそのわけを水が一滴流れるように


ここにいるなんだかんだでここにいる。さくらの花ことしも白いだろうか
――ほら、森がざわめいているよ、
  静かに、静かに

最初、の
一滴が
少年の上気した頬に落ちる


 (それから)


飛び立つ鳥の羽や
腐葉土の上に打ち捨てられた生物の死 ....
髪を肩の上で切った
さらさらと春の風に遊ぶように
前髪はまゆの5ミリ上
広い空が見えるように


あらゆるものが芽吹き始める
一週間で空の色は変わっている
恋に似た気持ちを
だれかに ....
いつも急かされていた
一日の終わり
夕陽が赤く、夢色に輝く瞬間を
見逃すまいと思って

十二月の太陽はとても気が早くて
僕はいつも置いていかれた
その瞬間に間に合いたくて
僕はいつもせ ....
一呼吸置く、世界だったり


待ち人は来なくとも
息は吐けます
卵の丸みを写してみた紙には
吸い込まれそうな白さはどこにもないのです

変容のない毎日です
僕らは生まれていますでしょ ....
ほろりと私が手のひらを開くと
ふわりと私の手のひらに
乗せられるものがある

それは夕暮れの太陽の熱のように
網戸越しの風に靡くカーテンのように
何気なくふとする感触で

手のひらを眺 ....
  明日 でかけよう
  あの人の街へ
  もう冬が終わるからでなく
  もう春が来るからでもなく
 心揺さぶるものにしたがい
  わずかな荷物で乗り込もう
  鳥の名前の列車
  舞い ....
眼球の底の竜宮城
そこで正座している僕の絶望
ビタミン不足です
深海魚の悲しみが甲骨文字となり宙を舞う
どしゃ降り
点滅する信号機
その中心に渦巻く欲望を超えて
渦巻銀河
結晶する恥骨 ....
世界中にあふれている
たくさんの言葉たち

きれいな言葉
やさしい言葉
愛にあふれた言葉

どれもみんな素敵だけれど
でもちがうのよ

私が探しているのは
胸にかちりとはまる
 ....
工事現場に木漏れ日が舞って
例えば、私なら
指差したりするような時間
風上から流れるのは
どこかの夕飯の匂い

昨日より長い夕焼けが
何より、確かな時間を告げている
 ....
ふたりで羊羹に入ろう
思い立って三軒目のコンビニで見つけた
消しゴムふたつぶんくらいの小さな羊羹を
にゅるっと皿の上に出す

安物でいいのかと聞くと
羊羹ならば構わないと言い
ゼリーでは ....
オフィスで
若い娘に話しかけられ
とくに意識しないで冗談を言ったら
彼女が笑う
オフィスの高い空にそよ風が吹く
彼女との間に会話が流れだす
途端に意識すると
ぼくの胸に雲が発生する

 ....
 
 
 
私に手を掛ける三分前
あなたの世界は破裂したのだろうか
どろどろとした緑を排出しながら
あなたの世界は破裂したのだろうか
 
 
私とくちづけを交わす三分前
あなたの世 ....
荷を負う人々の足
裸足の足裏に小石のむごく食い込む
しかし頓着はない
人々が見上げているのは一羽の鷹

苦役に口を開き
前後の者を探す目は黄色い
荷の重さは一刻一刻と肩を歪め
頭上に日 ....
冬雨吟

誰知凍蝶愁
誰解盲猫夢
夜雨両心寒
酔吟同苦痛


冬の雨に吟ず

誰が知る凍蝶の愁ひ
誰が解く盲猫の夢
夜雨 両心寒からん
酔吟 苦痛を同じうす


冬の雨 ....
窓のすぐそば 椅子の上
ひとりぼっちの熱情は

自分に酔っていたのだか
暗い車窓を覗き込む
灯りも家も何もない

夜の列車はゆれていた
なんとはなしにゆれていた。

手提げ袋を抱え ....
合歓の木の上で眠りをむさぼるふらちな内臓
不透明な猫が目覚めたところだ
今そこにいた所に白っぽい魂を残して
静かにとなりの木に移る

走り去る猫
睾丸は膨らみ過ぎて目玉と区別がつかぬ
瞳 ....
あれは年老いたアメリカの、深い霧、僕はそこで撃ち殺された
あれは新しい恋人ができた、夜の、僕は彼女の街に埋もれた
あれは地下街の、アラバマ、というバーだった
あれは指先が濡れていた、ねぇジュード ....
寒い冬の日
凍った池の前で
あなたと二人
過ごしていた

言葉もなく
音もなく
赤色や黄色や茶色の
葉に敷き詰められた水面を
私たちは見続けていた

陽の光が緩やかに傾きかけた頃 ....
布に包まれた人の細波

めくってみると 波音は静まり

わたしは つまさきで

浜辺に足跡がつかないように

つまさきで
部屋に入って
電気はつけない

ダンボールの影にくつわむし
クロゼットの闇にこおろぎ
ほうりっぱなしの服にすずむし
冷蔵庫でたまねぎが芽吹く

ベランダに
線を抜かれた機械たち
明 ....
悲しんでいるの?笑っているの?
遠い目をした夢追い人よ
あなたは時計を止めたまま
何を思っているのかしら

愛に疲れ果てて心凍らせて
もう誰もその瞳には映らない

私の冷たい腕に抱かれ ....
種乳母の、
鱈日根野、
斜交いの、
青髭の、
いとし稚児の、
泣きしの、
見えるの、
頸もとの、
掴み手の、
荒くれた、がさがさとした、その感触の、
痛みに叉声荒げたのが伊丹まで聞 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
初空や猫の匂ひの懐かしき

お愛想もちう位なりねこが春


初夢はせつなきものぞ恋の病み
年立つもかはることなし恋あはれ


祖母恋しおせち料理の塩からさ


家のなき人もをる ....
一番星を探す



夕日に隠れた雀が
さえずりながら帰っていく、手のひら

親指から終わるあなたは
小指から始まるわたしの声に
ただ、耳を貸している



紫が雲 ....
藍色の雲をひいて
女は降下してゆく

ひうひうとした
耳元の音を拾えば
落下であり墜落だが
彼女には
降下と認識される

微笑む猶予すら私にはある

空想のスカートから
プ ....
音楽と光が止み
(ひそ、ひそ、)
雪など降らぬ、ましてや星など降らぬ
最初から諦めて、無数の
ただ、咳が
ただ、冬が
最初から諦めて崩れ落ちた白い灰の気配で
見知らぬマフラー ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
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御覧のように- 霜天自由詩509-2-4
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鳥の便り- 西尾自由詩409-2-3
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