時折天井から記号が滴る

灰色の水槽の中には青白い都市が浮遊している

祭壇めいた台の上で
少年はくる日もくる日も
華奢な実験をくりかえす
時々淡いひとりごとを呟きながら

ほのかに ....
まよなか
くらやみの中から線路が延びている
金属のレールの上に耳を触れると
同じ路線の上を歩く子供の足音が遠くに聞こえる
もう帰らない
もう帰らない
稲穂が風にしなう
線路か ....
鍵穴から注がれる
細やかで執拗な視線に
いつまでも見つめられていたくて
わたしは部屋を出なかった
魅力的な、傾いたものへの憧れで
まとめて深い息をつく
……幼い頃、誤って内側から鍵を掛け
 ....
穴の夜に可憐な花を引きちぎる 心の底から憎まれたくて


『やさしさ』という字はとても丸いのでやわらかなものと誤解していた


ワンピースに西のワインがふりかかる とれない染みに焦がれど、 ....
『若いということにはそれだけで価値がある』
『たとえそれが目減りするだけの財産だとしても』

そういった彼女の小指のつめは
鮮やかな朱鷺色をしていた
赤ではなく
紫でもなく
朱鷺色、とし ....
知らない町をゆく
晴天が聳え
すかんと何もかにも失せている
なるべくうまく置きざりにされて老いぼれたい

乾きたい乾きたい ああ 
かあ わ きたい の
曲がりくねった坂道むちゃくちゃに ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる

呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま

ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
冬の永く寒い夜
ふと目覚めると
胸の近く
暗がりの辺り
うぶ毛に包まれた
小さくて黒いかたまりの
軽すぎる体重が
かわいらしい

ちょうど昼間に
家の子猫を呼ぶと
飛んで跳ねては ....
(いつだったかよく覚えていないけど
 まだ寒い季節のこと)

シャッターの下りた商店街を
手を繋いで歩いたね
ふたり

(生ビール×5杯
 芋焼酎ロック×4杯)

酔っ払って
お ....
本の隙間から
光が溢れている

行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない

見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
 ....
†ヒスイ†


緑まばゆいこの丘に

君のヒスイを埋めよう

哀しみが溶け込んだ

君のヒスイを埋めよう


ぽつりと流れ落ちた

その温かなしずくの中に映りこむ ....
君は月の背に腰かけ
ハイコントラストな
羽衣を織っている



僕は
凍てつく風を避け
木のうろにもぐりこみ
草の蔓をあつめて
ささやかな輪を作 ....
沈んでく夕日みつめてひとりきり誰を待つのか知らない黄昏

さよならと言えないままに日は暮れて君と二人でどこまで行こう

終わらないあの日と同じ夕間暮れ悪夢にも似た遊戯は続く

いつまでも日 ....
文字のとおり
捻りなんて何もない

暗い
冷たい
厳しい
季節
でもその下で
新たにはじまるものがある

暗いからこそ
明るさを
冷たいからこそ
温かさを
厳しいからこそ
 ....
君のまぶたと
君の四肢が重くなだれる
夜、
セミダブルベッドの上で耳をすまして
スーパーカーが空を飛びまわる音を追う
「月に向かうあの人たちには
 わたしたち、きっと一生届かな ....
いつからか
従えずにはいられないような
ある種の隷属のなかで
炎をおぼえた


つめたい石を蹴飛ばしながら
無言の
雨に

含まれ、ながらえ、



水たちの森は
 ....
もう一度、
てのひらに
つつみこむ仕草で、ストレッタ。

空間を割いて、
胡桃のような空間を割いて、
胸の奥へと、ストレッタ。

時の鮮明な切断面は、
もはや誰のものでもない。
ひ ....
浅い眠りから醒めると
海鳴りが 体を満たしていた

分厚い波が海岸を打つ重い震え
また ゆるやかに 砂の眠りへ引きずり込む共鳴

海辺の午後 
見知らぬ世界に降り立った身軽さ
過去を投 ....
雪の記憶は少ない。
桜の花びらより軽い雪が降るのを見てみたい。
電車に乗って、山々を抜けて、
おばあさんの一団がおしゃべりをするホームで乗り換えて、
長い乗車時間に退屈しながら、
 ....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり

耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する


すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
 ....
  あなたがねじを巻く
  ぼくが歩いてゆく



  あなたが茶を沸かす
  ぼくが独り言をもらす



  あなたが哀しんで……
  ぼくはなにも言えない


 ....
満月のしたで

とぼとぼとメールを見やる

いま妹と一緒にいるんだ、

月を見ていると、

顕微鏡をのぞいている気がした、

そんなことが綴られていた

月以外は夜の空だった
 ....
それなりの
背丈と重みとがあるわたしに
自動扉は開いてゆく

容易に
開いてくれることが
当然でなければならない、と
わたしもすっかり
慣れてしまって

背後で閉じられる
自動扉 ....
ころがる
しずかな すいへいせんの上



あさ
お茶をわかしながら
てのひらで
背骨をなぞった
恐竜のように
そらへとつづく梯子の ように

あなたが
つづいている ....
沸かし過ぎた珈琲に冷めた珈琲足してすするすする深夜淋しさなし マスマイ
マスマイ
ナリマスマイ
生キテユカネバナリマスマイ

ツラクテ
ツラクテ
悲シクテ

詩ヲ書キ
絵ヲ描キ
泣キナガラ

マスマイ
マスマイ
ナリマスマイ
生キ ....
そびえる山の向こうの山模様

鳥、または忘れられた鳥

珠玉、飽きられたそれ


怪人たちの忙しい、何も起こらない毎日過ぎ過ぎる 怪奇の
背中まわり込むまでの歩行と ....
愛犬ガラス戸に>―<の字に飛び掛り はかなきはI love you



ぬくぬくと陽だまりに眠りを包みをり 若さすら包みをり猫は



襤褸(ぼろ)で作りし偽物(つくりもの)か 戦場 ....
いつの日にかめぐりあいたい
半生のうちで別れたひとたちと
春の朝なら花園のなかで
 夏の昼間なら木漏れ日のしたで
  秋のゆうべなら紅葉のしげみで
   冬の夜中なら街灯のかたわらで

 ....
{引用=
2005.10/23





灰皿に残った
くだらない意志の燃えかす
それはただ そこにあった

その向こうで
ステレオが鳴っている
英詞を理解できない君
意 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4552)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
実験室37−C- 塔野夏子自由詩16*08-2-11
まよなか- Utakata自由詩408-2-11
鍵穴- よしおか ...自由詩3*08-2-11
穴の夜に- 石畑由紀 ...短歌3508-2-10
朱鷺色- 亜樹自由詩208-2-8
彷徨と空- 「ま」の ...自由詩7*08-2-8
アースシャイン- 夏野雨自由詩64*08-2-8
真夜中の子猫- りゅうの ...自由詩11*08-2-8
目をつぶるよりもかんたんな方法で- 大覚アキ ...自由詩308-2-8
偽物の光と影を借りにゆく- 小川 葉自由詩508-2-8
想い出カタログ- Song Is Love自由詩408-2-7
そのときから新しく刻まれる- ホロウ・ ...自由詩4*08-2-5
黄昏遊戯- 未有花短歌12*08-2-5
インスタント(冷たい小指)- FUBAR自由詩6*08-2-5
人生のうちで一番笑う日- ________自由詩1*08-2-4
樹木の日々- 千波 一 ...自由詩5*08-2-4
Gravitation- パンの愛 ...自由詩208-2-4
海鳴り_何も特別ではない一日- いねむり ...自由詩208-2-3
雪を思って- たけ い ...自由詩108-2-3
青い鳥- 千波 一 ...自由詩26*08-2-3
ねじ- 草野春心自由詩2*08-2-3
満月のしたで- 吉岡ペペ ...自由詩308-2-2
自動扉- 千波 一 ...自由詩4*08-2-2
花時計- はな 自由詩21*08-2-1
冬季深夜- A-29短歌3*08-2-1
マスマイ- 三州生桑自由詩208-1-31
変身- ヨルノテ ...自由詩308-1-31
愛玩・動物- 音阿弥花 ...短歌108-1-30
遠い国- 信天翁自由詩408-1-30
君を壊すのは- 自由詩9*08-1-30

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