ひとり きりの キッチン

包丁の 手を止めて

ふと

顔を あげた 窓の外

枯れ葉が 一枚

はら はら と 落ちてゆく


まだ 半袖のわたしは

深まり行く 秋 ....
公園の大きな吊り橋を渡りきったところに、イカの握り寿司が一貫置いてあった
ちょこんと、二ツ揃へて、地面に置いてあった
そりゃ好物だけどね
せめて小皿に載ってりゃな
しゃがみ込んで、つついてみる ....
近所の本屋で、新訳の「ロリータ」を探してゐると、以前に好きだった女性を見かけた
彼女の髪の色は、見るたびに薄くなってゆく
今日の髪は、まるで黄ばんだ白髪のやうだった

「ロリータ」を手にしたと ....
秋に咲く
花の淡さの可憐さに
光が射し
風が舞い
そっと揺れる

土の道では
こおろぎが
自分の場所を求めて
秋の見物席を探している

自分もどこか
秋の席
探せど落ち着く場 ....
いつもの散歩のコースを延ばして
枯野に入つていくと
遠出の猫に出合つた
こちらも私と同じく
猫族を逃れてきてゐるのか
それとも人界を逃れてなのか
しばらく様子を見ることにする
いくら ....
お前の髪
蚕の繭だったらなあ

白くて細くてふわんとしてて
綺麗だろうなあ

俺はお前を紡ぐんだ
糸車を
カラカラ言わせて

それから織って
お前は美しいすべらかな生地になり
 ....
 
 夜風さすらう夕暮れに
 秋はひとりで花を買う
 辞書は窓辺でつまみ喰い
 寂しさに 疲れあぐねて・・・

 花篭は からげのままに
 草わけて 進みゆく歩哨兵
 やがて時計の喇叭 ....
遠くまで 届きたい
おもいが 橋となる
その たもとから
深淵を のぞいて
たちすくむ
片手でぽきりと折れそうな
一本のもろい針金
小さな闇にぽつりと浮かぶ
銅色の月 ただ独り
まだしっかり帽子をかぶった黄緑の
君の大切なたからもの
やわらかい手が両方ふくらんで
哀しそうに助けを求める
ひとつも手放したくないんだね

小さなポッケを教えると
手の隙間から零れない ....
東京行きの列車が
一番線のホームに到着する
 あれに乗ればトーキョーまで行けるのね
娘は言った
 うん、行けるよ
 行きたいな、トーキョー
 この間の日曜日みんなで行ったじゃないか
 ....
線路の周りには草が生えていて
私は今日もそこへ行くのをやめる

私を理由にするの?
意気地無しだわ

綺麗な顔で笑う花、は
秋の空気には
透明な金木犀が棲んでいる


陽射しに晒した腕が
すこし頼りなく感じ始める頃
甘く季節を騙す匂いは
思い出の弱いところを突いて
遠くにいるひとの微笑みだとか
風邪気味の ....
9月の夜には魔物がでるらしい
特に満月の夜は危ないらしい

そいつはとなりの街からやってきて
寂しさを土産にかついでくるらしい

そいつの足跡には孤独の花が咲くらしい
そいつのた ....
彼岸の頃になると
その場所は
真赤に燃えるようでありました

急な勾配の細い畦を上れば
今来た道を遠くまで
見渡すことのできる墓所
形を成さない朽ちた石版と
名も読めぬほど苔むした石碑 ....
太陽の素顔が見たいなら
ここに来るがいい
ただひとり来るがいい
そしていつまでも
地平線をみつめるのさ
今は夕暮れ
心まで夕日色
果てしない夢追いかけた
あの頃がよみがえる
空想の空青空も軋んで

ひずみから一斉にフルーツドロップなだれ込む

ブルーグリーン

イエローそして強い赤

ブルーブルー消えそうなイエロー

色を刷り込んだ世界に色の水滴が落ち ....
布団だか
地べただかわからなく
倒れこみ
かいだ匂いは
金木犀

嗚呼
わたしは

それだけで
しあわせ者だ
ソーダゼリーが好っきゃ
めっちゃ好っきゃ

でっかい青いソーダゼリーをな 用意してやな
裸になって 飛び込みたいんや
体の内側も外側もソーダゼリーで満たすんや
息も絶え絶えに溺れるねん
 ....
秋がわたしをとおり越す
わたしはわたしを置いてゆく
いつのまにかわたしは
残されたものをふりかえっている

ずいぶんと昔が重なりつづけている
重なったところどころのすき間から
青いものが ....
 あと四年若かったら、
 僕は碇になって、港に沈んでいるだろう。
 船をしっかり支えながら
 壮大な出航式を待っただろう。
  それはおだやかな海を渡って、
 詩人という島まで、のんびり旅を ....
地上へ向かう木の葉が見せる
一瞬の華やかさ


揺らぎ


心の根幹は
頑丈にできているけれど
心の枝先は
いつも何かにあおられている

言葉が
木の葉のように舞い落 ....
青空と風と光と・・・
さうして夏はやつて来た
麗しき少年の日々よ
君の白いうなじを光らせ
駆けて行く あの鬱蒼とした森へと

君の涼やかな瞳が笑ふ時
・・・それは光に似てゐた
君の白い ....
 花の枝


夕景の中
もの思ひに沈んで
俯き歩いて来ると

花の枝が
通せん坊した

朝出掛けるときは
なかつた

―花の枝―

それが夕方
出現してゐる

天使 ....
 詩が何処へ誘うというのか、
 行きつく処といえば、せいぜい
 薔薇の砂か 酒瓶の底だろう

 私達はいま この安宿で
 たしかに褥のうえに居る
 そうして眠る、嘘つきながら
 
 夜 ....
憂鬱はいつも、ライムグリーンの滲みのようにぼくたちに襲いかか
る。よく磨きこまれたボディ全体に周囲の景色を映りこませたライ
ムグリーンの車が、速度を落とさないまま滑るように交差点に入っ
てきて、 ....
彼女は二度、嘔吐して、蒼茫とした死者の距離を巡る。
傍にいる三毛猫は、
笑っているテレビを見つめて、溜息をつきながら。
(イラクから自衛隊が撤退するそうだね。
(おばあちゃんはね―。戦争は大嫌 ....
夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達 
仕事帰りの疲れた男に 

 わさ わさ わさ わさ 

大きい緑の手のひらを振る 

日々の職場では 
密かな善意を誤解され 

  ....
?.

あなたを
あなたのすてきなところを

一日
大切にする

あなたを
あなたの汚れたところを

裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
灰色の空を{ルビ背景=うしろ}に
 黒い背広を着た男、
 街燈の、直立不動の寂しさに、
 北風に、灯は揺れる・・・・・・・その昔、
この道を{ルビ通=かよ}った男が
 そこに見た嘘の女を
 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秋は静かに降り積もる- Lucy.M.千 ...自由詩7*06-9-23
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凶夢- 三州生桑未詩・独白306-9-23
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あなた- 水在らあ ...自由詩76+*06-9-19
氷った街角- 白雨自由詩6*06-9-19

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