また会いましょう)


その黒髪の薫りは
つげの櫛に波立つ海原であった
その深海にひそむつめたさのかたちに
ささえられている波が
{ルビ風色=ふうしょく}の移行を生んでいた
静まったか ....
◇雁

ビルの間を

雁が渡る

窓からいくら叫んでも

届かない

天上の

賑はひをもつて



◇火口湖



火口湖に

白鳥がひとつ

燃えて ....
今は昔、をとこありけり。
いとあやしき箱の詩歌の会にしげく通ふ。
投げ打ちたる文、すなはち返し給う局ありけり。
誰にか会はむと入りしかども、いらへなかり
ければ、つれづれなることを語るうちに、 ....
カレーパンは秋に食べるのが
一番美味しい

道を歩きながら
秋空に向かって食べる味は
格別にうまい

袋を開けると
油の匂いが風にブレンドされて
まろやかな匂いになる

開ける口 ....
無数の石英が軋む、秋の夜
明滅する、星座を杯に乞う 煙草の音に
OとUとに似た精密な空の藍が
戸外で嘔吐する彼岸花の背を冷やす
track#不明のループにトランプが踊る
火照る足跡は地下の ....
この時を封じ込めるように
祈る

静かな瑠璃色は
両のてのひらを祈りのかたちに
そこに少し息を吹き込むようにして
そっと閉じていて
ひそやかに夢を育んでいる

あなたは
わざと大雑 ....
しんと静まる部屋の片隅
迷い込んだ虫の声
リリリと鳴くは鈴虫か

秋の気配が深まりつ
冷気が足先に絡まって
空を切る目に
眠気はちっとも訪れない

天上を柵に見立てて
ひつじを数え ....

曖昧に舌を含んで
ただ笑った
あなたの考えている事は解らないと
言われたから
悲しむだけの隙間も無くして
ただ笑った
薬は二週間分出たから良かった


フォークを持つと
人 ....
遠い国から
のろいに満ちた手紙が届いた
開くと燃えてしまったから
何と書いてあったかは知らない

遠い国から
いかりに満ちた電話がきた
電波状態が悪いらしく
途切れ途 ....
ハーモニー、櫂のしずくに呼応する空が茶色に透過する午後



目という目、口という口あつまってAの会合ひらく廃村



風の影みつける蝶やカーテンのおおきく呼吸している窓辺
 ....
今まで包まれていたものが割れ 
開いた胸の中にちょこんとおさまって
さいごのごあいさつ

ぽつりと佇んで微笑んでいる 
あなたのからだが
いまはこんなにも
はっきりと見えるのです

 ....
光の精たちは

淡い 淡い

透明感の中で

激しいキスをした
【Three Haikus about countless lovely bugs in the world】
【この世の愛すべき虫けらたちにおくる英語俳句】


On a rainy day ....
暗闇
の中で見開かれている
一つの目

暗闇
そのものであるかのような
黒い目

僕はいつも
その目に見つめられ
全てを記録されている

カラダノウゴキ
ココロノウゴキ
カ ....
青信号になる。人の波が横断する。
上場企業のアナウンスがされる。数字は行ったり来たり。
工事現場の警備員が赤いスティックを振る。交通安全と家内安全。
ベルトコンベアー式に一日が流されていく。
 ....
絡みつく蛇たちの螺旋の夜
巧みに縺れあう虚無と/いのち
淫らな匂いのする、耀う肌の粘りに
虹色の鱗は冴ゆる星の瞬きを映す
やがて消失する碧暗い空にむかって
聳える漆黒の怪奇な木々は
だらし ....
ひざっこぞうは
いつでも
こぞうのくせに
ぼくがころんだら
いちばんに
まっさきに
そこだけでいいとでもいうように
すりむけてくれるんだよ

赤チンキぬってさ
カットバンはってさ
 ....
朝焼けのプラットホームで
始発の列車を待つ間
陽炎の向こうに
見知らぬ土地の幻を見た

二人をはばむ世界から
飛び出した鳥たちは
今ここから飛び立って行く
自由な巣を求めて

   ....
疲れたようにうずくまる
動物園のダチョウは堅い地面に佇んで
見渡すことのできない世界で
それでも何かを見つめている

鉄の柵は頑丈で
あっちとこっちを隔てているけれど
本当に隔離され ....
 ある朝、敷きつめられた黄色の並木道は上り坂で、賑やかに下りてくる人々の顔といったら、酷くせわしく時間に追われ、それぞれの世界に憑かれた恐ろしい真顔をしていた。踏みつづけられる銀杏の葉。ふと、「秋扇」 ....  
 ぼくにはわからない
 明日の風がどこにむかうのか

 ぼくにはわからない
 自分がどこに行けばいいのか

 ぼくにはわからない
 あなたに何を語ればいいのか…

 でも
  ....
一、 某月某日 冬

凍る雨を浴びつづけて、一年を跨ぎ、
わたしの頬は、青ざめて、
虚ろな病棟の、白い壁に残る、
黄ばんだ古いシミに親しむ。
難い過去を追走する暗路を、
エタノールの流れ ....
ブルーとピンク

アルミニウム缶に映りこむ

開け放たれた窓際

置かれた甘いパイナップルの缶詰

遠く町のさわぎが耳元を波立たせる

アスファルトとタイヤの関係

微笑む路地 ....
 いつの日も 青空は明るい
 紅茶に溶けた 角砂糖
 スプーンの渦が 止まる
 こんなに悲しいのは なぜだろう




 テーブルの光に カレンダーを描く
 ....
alfa.---

風に乗り空を遠く渡っていくために
鳥は翼を手に入れた
遠く遠く 自分の生まれた場所など忘れ遠く飛ぶために

どこまでも似た大地が続き
同じ海原が続いた
地平線一杯に ....
百回の答え木陰に距離のある踏み切りで聞く隠れないから

月までも切り落とせる線 読み上げる声も干上る土まで落ちて

傲慢な鼠の影が掘り返す雲の裏の陽 夏も終わった

虫のにおいの残る毛布が ....
可愛いやつと一羽のレース鳩を胸に抱いた
彼の眼差しは恐ろしいほどに優しかった
自分の弱いところを見ているようで
彼と一緒にいるのが嫌だった
彼と友だちだと誰にも思われたくなかった
それでも誘 ....
 さて君の心のうちは傷になるほどよくわかったが、
 それでも君は奪えまい
 その匂いと
 ふたつの瞳
 君のこしらえた憶い出は
 思い出すほど麗しい
 そして君にはおぞましい
 晩年 ....
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々 
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし 
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている 

{ルビ些細=ささい}なこと ....
久しぶりに訪れた{ルビ報國寺=ほうこくじ}は 
雨が降っていた 

壁の無い 
木造りの茶屋の中 
長椅子に腰かけ 
柱の上から照らす明かりの下 
竹筒に生けた{ルビ秋明菊=しゅうめいぎ ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4552)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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びょ、ーき- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-4
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