ハロー、マチルダ
カビ臭さが紙の匂いだと思っていた古本の
ひさしぶりに太陽とすずしさの午後
公園では、抱えた小脇に
ひとつ大きななにかが終わるのを願っている青年と
ぼくが彼女に薦められた物語 ....
窓辺の四角い夜に うなだれた手をかざすと
しずかに風は
終わりの夏を打ちつけてくる
部屋中を駆け巡る息づかいは
いつもそこに置き忘れてあるから
死をつつましく夢の先に灯して
ただ耳を ....
手紙 のようなものを
書こうと おもう
声に してしまうと
儚く 風になってしまうようで
私が
今ここに いることや
この時代に 生きることや
出会った すべての人や
....
堤防のコンクリートに
へばり付いた火花のあとは
子供達の嬌声を捲いていた
水面を跳ねるきらめきは
冥く、果ての無い空間から
生まれ、育む
風はもう見えない
遠く、太平洋沖のあの島 ....
はるか彼方
静かな白の中で
円盤みたいに
私たち回ってる
ほしが生まれて、
呼吸を辞めるまで
影が夢をみはじめる
じゅくじゅくと、薫り始める
いお、四つ子のなかで
....
めくら猫のまなこに残る暑さかな
病み猫やうつらうつらと露の夢
月あらば三人なるべし手酌酒
空に書く恋文かなし秋ごころ
秋風や祖母の時計はまだ動く
午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
ブランコをこいでるときに
どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなか ....
かなしくてもしあわせでも
かぜはいつかあめになってしまう
僕の知らないところでも
発電風車をすり抜け
ロウソク工場の煙をながし
ビルの隙間で口笛を響かせ
千切れた段ボールを蹴飛 ....
夏期講習が終わる
子供たちは飛行船
坂道を駆けおりていく
誰かの夢のように
安らかにうち上げられた
深海の魚を見るために
それから少し遠くにある
犬の耳を覗き込んで
ま ....
今夜も窓ガラスを
こつこつとノックする
かぶと虫だ
息子よ
きょうの収獲はいっぴき
絵葉書はいくども読んだよ
寝苦しい夜は流氷の夢でもみたいものだ
熊の肉と行者ニンニクをかじる
....
夜の頃
いよいよ視力を盗まれて 往生する そう幾つもない階段を
丁寧に降りていく 16,17,18,19,と数えていった
山の神様が 遠い方からしょっぱい種を飛ばし
加 ....
A.外側
私を包む皮フ、下着を履く、服を着る。外に出る、隙間なくエア、広がる空、その先に宇宙。わかる、私、宇宙高志とか言うお兄さんの皮下、潤う単細胞のひとつ。
B.内側
皮フを捲れば ....
今夜も蜜のような月が出た
夜を飛ぶにはふさわしい月夜だ
さあ窓を開けて
翼なんかいらない
飛ぼうと思う気持ちさえあれば
どこへだって飛んで行ける
蒼い闇に溶けて行く
この高揚とし ....
すれ違う車の色は深紅にてハンドルにぎる手のみ見へけり
いつか王子は来てしまうのだ。
おまえが歯ぎしりして拒むとしても、
涙して拒むとしても、
涎して拒むとしても。
王子なんか来ないという戯言を信ずるな、
王子は来る。
おまえの手は雨に汚れる、 ....
タイムカプセルがくるくる回ってるみたいだなあ。
沢山のすき、とかさようなら、とかが時間がとまったまんま回り続けてるんだ。
昼は虹色、夜は星色。
あのときのすき、はまだあの中に溶けているかなあ ....
(どこへ
(飛びたったのだろう
ある晴れた日の、
見知らぬ誰かの離陸がまぶしい
(ぼくの日常は
(すこしだけ寂しくて
(それが全てではないけれど
(確かにそう ....
私はまだ、ここにいるのか。という夏の終りの焦燥にあぶられ、未だ過程の核心をつくことなく、鳴動を歩いている。
セミの声も乏しくなり、信ずる青い空はしんとしずまるばかりだ。ここに来て何を失うとい ....
鏡で色を盗むと
空は気圏のように薄らいでいく
ひかりだけで染められたセロファン
退色した虹がいろどる夜
沈黙ではない静かな
月光の耳鳴り
声は聞こえるものだろうか
それとも伝えるもの ....
日だまりの喪失によみがえる歌声
岸辺に立ち
シャワーを浴びる裸体が
鏡に映っている
流し去ることの出来ない。
視線にでもなぞれない
曲線を水がしたたり
こもれ日へ歩む旋律
お気づき ....
海を見ることもない日常と夏日がとぎれなく続き
あまりの終わりない暑さに
もうすぐ夏が終わってしまう
という感覚も続いた
季節は一日で変わることもある
どこかで聞いた言葉だが
ほんとうに ....
かなしみを
おもいだすために
すぼめられる
唇から
洩れる
外国の うた、
....
甘いアルコォルを摂取しすぎて
おなかを壊しました。
毒とは甘いものかしら、と思います。
夕べお隣で飲んでいた
おにいさんの顔が思い出せません。
モザイクかかったような人
私のような
....
長夜
颯然叢竹作哀音
長夜月明山色深
望望秋星何処落
詩人涙眼遠人心
長夜
颯然(さつぜん) 叢竹 哀音を作(な)す
長夜 月明らかにして山色深し
望み望む 秋星 何処 ....
早朝
鍋のお湯 ふうふう沸騰
畑 ひんやり
触るとちかっ 白い粉吹いたきゅうり
キュピキュピの茄子なす 路地トマト完熟
鬚が焦げ茶のとうもろこし とうもろこしは足ばや
きゅうり ....
男は昨日の
手柄話を始めた
その頃、野原で
女は鏡だった
何もないような空が
どこまでものように続き
インドから来た象は
黙って船に乗った
川の流れに人生を重ねるほど
僕は傲慢ではないので
ただここでこうして
せせらぎに耳をすましているだけ
どこから来て どこへ行くのかなんて
考えるのはよそう
流れというなら僕の中にも ....
心をつかまえに
都会を飛んで行くよ
Goodnight つかれた心を
Goodnight いやしておくれ
AM2:00のスタートライン
夜明けのゴールまで
Midnight flyer
....
函 館
黎明の
挨拶が
きみの喉から
洩れる、
と、
わたしのことばは
意味をうしなって
ぬれそぼった
草を
いたわることも
できない
窓からのぞめる
ふかい ....
Qとゆう文字が好きだよ寝転んでひととき青い果てをむさぼる
チェックメィッ(ト)まもなくぼくははがされる壁の写真のように真死角
球体を抱きしめながら沈む沼ちょうどあな ....
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