切れかけた電灯の下で
私はまるで
フラッシュの照明を受ける
舞台上のファッションスターのようで
夜を纏い
黒いアスファルトの上を
踊るように歩くのです
世界は私だけを照らし ....
夕暮なのに空は青く水色で
辺りをオレンジの空気が
流れるのに暖かな記憶は
思い出に妬けた赤瓦
錆びたトタン
泣いている子供
薮蚊だらけの雑草の森
自分を分解していく幻想
神社の ....
戦争が終わって
俺は窓辺にサボテンを飾ってみる
戦争が終わって
俺は愛のあるべき形を知ったのだ
戦争が終わって
俺は誰も彼も愛しまくる
フィルピンパブで働く女を
....
海が みえるよ
海が みえるから
砂浜に座って
雨が降るのを待っている
海に
海に
新緑に冴える風景の中に飛び込んで
心に積もった埃をぬぐうように
青い空のした
駆け出した
扉を開けようともがいた寒き日の記憶
心まで凍えそうになりながらも
残り火を絶やさ ....
吹きぬける冷たい風の空高く
ひかりの鼓動は
静かにそそぐ
雪解けをあつめて川は哭いている
生まれたばかりのわたしの春に
ひとひらの可憐な花は弓使い
瞳砕けて曇りをうるむ ....
5
ささやきとゆめとで満たされている
乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる
したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女
....
さあ 遠い 遠いだろう
線路がどこまでも広がってる 遥か
矛盾の地平線を越えて
此処にはもう何も走らない
ただどこかの荒れ狂った国の
少女の吐いた溜息が風葬されるだけ
視点が届かな ....
あなたが わたしを
過去のこととして
話すときがいつか
くるのかな。
だった・・・だった・・・だったって。
時間は無限に循環しているといいます。
じゃあ、この風はどこからきたの?
....
雨音は優しく
掌に溶けていく
頼りない指先を震わせながら
包み込む無機質を織っては
瞬間を紡いでいた
蒼が泣き
灯りの落ちたアスファルト
落ちた星星が還る頃
力なく映す街灯の柔 ....
あの頃の
二人に捧ぐ
カスミソウ
無邪気なままの
君は遠くて
歩き出す
二人の旅に
タンポポを
また逢える日を
祈りて贈る
ひどく髪が傷むのは
瓶詰めの中で
チェリーが
悲しんでいる
死にそうな動物を
殴る
歯間から漏れる
折れ曲がった
釘のような嗚咽
....
そのままでその{ルビ瞳=め}のままで
僕を呼ぶあなたがいる
ほほ笑みの中で
いくつ時が過ぎたの?
やさしさは時に誰かを
傷つけるものなんだね
そんなやさしいまなざしで
僕をみつめない ....
揺れる草の歌を
聴こうというのだろうか
歌おうというのだろうか
草の名も
知らないまま
指先が風を求めている
腕が踊りだして
足取りは流れて
太陽の光に浮かれてしまえば
もう
ここ ....
消しているのか、なくなってしまったのか
あるけど見えない振りをするのか
あとからやってくるのは哀しく虚しい昔の私
晴れた日にもあの日の残像が浮かぶよ
ドアを開けた瞬間に ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった
雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
瞳孔に赤い花束しのばせて指揮棒で追う蝶の白さよ
シンバルの彼はスポーツ選手の眼、100mとか、なんかそうゆうの
部長から提案があります「なんでしょう」もっと白目を剥いてください
....
ただひとつ思い出を選べといわれたら
私はあの日を
傘をさした母と
手をつないで二人駄菓子屋まで歩いた日を
選ぶだろう
この世に完全な幸せがあるとしたら
きっとそんな遠い日の
小さ ....
剥製が
目先に
横たわっている
艶消しの暗い壇に、一枚ガラス(宙の数分の一、水族館の水槽よりは厚手)を隔てる。甘やかな怒声が響く部屋。
後ろ隣の二人連れ(性別はふめい)は、「私も飼 ....
海に還る
手続きはいらない
横たわり
網膜を青で満たしたら
循環する感情を
濾過する
やがて
余分な手足は
抜け落ちて
流線型になる
心配するな
そのころには
陸な ....
蒸発した母のかわりに満ちる月
懐かしい向日葵の微笑返してよ月!
正しい人間のはずが砂の温もり
蛍光灯割れるたびにうたううた
若葉のような生きる意味があったなら
....
春の雨が
細く断続的に降る
風が吹いて
竹の葉が軽い音をたててはじく
雨の音は
こまやかに落ちる
しまい込んでいた
奥底の溝に
いつの間にか濡れる
銀色の針のようなしたたかな ....
蒼穹はさらに深く
眩い雲はほのかに流れ行く
若木の緑をそよがす風は
初夏の薫りを匂わせながら
見晴るかす彼方へ消えて行く
雲のまにまにのぞく{ルビ天色=あまいろ}に
いつか見た白い炎が燃え ....
夏蝶が越ゆる沼にて逢ふものなし意思なきわれの明日浮かぶのみ
青胡桃にぎって家に帰る道街灯の影を父と信じて
夏空の鎮魂終わらず煙草火を擦り消し煙空に広がる
淋しいからひとり
サンダル履きの公園の夜は
ぺたぺた鳴って
つきあかりの ひとつ ふたつ
ジャングルジムに落ちて さらさら
こねこのあばらは細く細くて
何度 ....
赤い夕日が広がって
誰かの背中が燃えている
ゆっくりとオレンジ
急ぎ人が赤々と
今日の日よ さようなら
夕食の炎と共に
醜い私達 燃えてしまえ
赤い夕日が広がって
誰か ....
もう読みたくはないのだ
わたしは明るい光のもやもやと
たゆたうなかに身を落とした
ここでは視界も聴覚も澱んで
生温くて居心地がいい蜜液のような
見詰め過ぎたのだよ秒針の動く早さとたど ....
猫たちが
しっぽを揺らす街道に
昨日の音がゆるりと転がり
厚いお揚げが
二階の子どもたちを誘いだす
握りしめたガラス瓶を放り出し
世界を開く勝手口まで競争した
あの砂利道を覚えている ....
確かめるように差し出した
金魚引換券は
手のひらの熱で
もう、よれよれだ
(ううん
(いちばん小さいのがいいの
(だって
(いちばん大きくなるでしょう?
わがま ....
ななかまどの実は優しい
目覚めるにはまだ早いの、と
種を包んで眠らせる
外は雪、小鳥たちには信号
わたしはここよ
赤く光って合図する
ついばまれる実
やがて種は
生まれた場所を ....
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