単純もよきときあると自らと
慰むるとき 時雨の音する


ふれ合いし手の冷たさは言はずして
春雪消ゆる早きを語る

尋ねきし人は留守にて山茶花の
散り敷く庭に一人ごちする

我が裡 ....
心が切り裂かれ涙は星になって
君は呟いたね 
何を愛していたのだろうと

星になった君の涙を 
僕が一粒指で弾いて
未来に零れる流れ星に変えた

満天の星空は君の美しい涙
とめどなく ....
架空の鋲 雨に打たれる
錆びついた工場の手すりや階段
タンクローリに描かれた落書き
めくれ上がったその名残

あるいはまた
背中を丸め 雨に濡れるままに
オンボロの自転車に乗って
工場 ....
地下道で出会ったあの子は
身体の周りに薄赤い魚を
泳がせていた

着ていたのは薄い綿のシャツで
ローリングストーンズの唇 臆面もなく舌を
突き出していた

タンゴのリズムで十まで数 ....
アラハバキ
傷のあつまり
攻め滅ぼされても
なおよみがえる
ただひとつの欠片から
なお猛々しくよみがえる


アテルイ
胸に突き立つ矢と刃
ひとつの穴のような赤い花
背の ....
首を傾けたまま
縫い針を
炎で焼いて
縫いました

ひと針
ふた針

み針目で
あなたは目を覚まし

俺の目を縫いとめるのは誰だ

と申します

私は器用に玉結びをした後 ....
ハチドリたちの季節、タービンは回る、小さな声で歌うように
頭上の日輪のように、熱死しながら、糸を紡ぐ、それは機械
赤い石楠花は大輪のままに、「儚げな」見せかけで、花弁を散らし
ただ地面に積も ....
先日、祖母の誕生日でした。
80歳になりました。
「傘寿」というらしいです。
「傘」の略字が縦書きの「八十」に見えることから、そう呼ぶのだとか。
来年は「盤寿」だそうで、その後も「卒寿」「白寿 ....
六月の薄い胸に
雲の痣が白く浮かび上がる

体育座りの女の子の膝のような
山々は
深緑にけぶる

出発するはずの電車は
死んでしまったかのように動かない

信号機はうなだれ

 ....
満たされぬ言葉想いて立ちつくす
足元に身をすり寄せる猫

故里のなまりやさしく語る友
友も故里をとく出でしなり

何着ても似合はずなりし我が年を
哀れがりつつせめて紅さす

故里の老 ....
蝉の声降り注ぐ非常階段で
噛み千切るみたいにして

きっと
これでもう最後だから

甘い汗の匂いも
舌に残る塩辛い苦さも
肺から洩れる吐息も
腰を掴む指の強さも
腿の内側を撫でる風 ....
ほこりせしゴムの鉢をば雨に打たせ
ついでに心もなどと思えり

梅雨明けの豊かになりし賀茂川の
水しわに照る夏陽が眩し

云ひわけの言葉聞くとき掌に
猫のまばたく感触も知る

忘れたき ....
「もしもしかいちゃんいますか?」

かいちゃんは今日も
おもちゃの受話器を耳に押し当て
どこかへ電話をする


「もしもし もしもし」

まだ言葉にならない言葉で
一生懸命お話をす ....
傘持ちて吾子を迎えに行くことも
久し振りなり雨もまたよし

さりげなく扇風機の風 吾が方に
向けてくれし子は漫画読み継ぐ

見知らぬ子 通りがかりの吾れに寄り
トンボが居るよと ささやき ....
ー盲目ー
まだ陽の上らぬ未明の朝
風紋が鮮やかに浮き出る灰色の砂丘を
暁の月へとむかう 黒烏


凄絶な月の海に至る道は
煌々と白い光に照らされて
泥だらけの足で踏みこんで ....
カラヤンのレコード買いきて おもむろに
娘灯を消して聞くがよしと言う

萬緑を濡らして夕立過ぎゆくに
近江の里の深き静もり

緑濃き萩の道もいく曲りか
蓮の花咲く池に出にけり
     ....
シャープペンが紙を滑る音で
断ち切られる記憶が鼓動になる
遠い日、焦がれた痛みを愛しく思い

  あなたの体は柔らかいという方法
  私の融点を
  花の名前を当てるように
  ほほえみ ....
加茂川に降る雨と共に昭和逝く
 何時もと変わらぬ景色まぶしく

編隊のかたちに鴉帰りゆく平成となる日の夕空を

永かりし昭和の御代も終焉となりて
小雨降る 夜となりけり

親しめぬ言 ....
海のない海辺。
砂から突き出た、跳箱のような駱駝の死骸の瘤。
得体の知れぬ不可視光線によって蝕まれる膚。
虚空に漂い、あらゆる輪郭を溶かしだす陽炎。
方角のない土地。
風に舐められた砂が舞い ....
赤坂
佇む
電波塔
赤い
夜にライトアップで
ドレスメイク
浜離宮
綺麗
綺麗
見とれて惚ける
赤い巨塔
登って
見たんだ
夕焼け
港区を紅く覆う夕焼け
喰われていた
 ....
沙漠から取り寄せた砂を
僕たちは浴槽に撒く

言葉に塗布された意味を
一つずつ丁寧に
酷くゆっくりと落としながら
シャボン玉を
空間を埋めるために飛ばす

乾いた砂に埋もれた言葉を
 ....
かろやかに
自転車を漕いでいた風は
あの日、突然
吹くことを断ち切られ
いまは
病院のベッドで
蛹となって
眠っている


息することさえできなくて
ときおり
顔を歪め、真っ赤 ....
 
  あの
  しずかな箱のなかに
  とじこめられる 
  ふたりきりで 

  わたしたちは
  上昇する 

  風が吹いてくる/寒い/しまいに雨までふってきて/ずぶぬれだ
 ....
美しい夕方だ

そう彼は言った

わたしは気付かない振りをする

コーヒーが熱を奪われていく

あなたは答えない



清潔なベットの上で

わたしは服を脱がされる ....
一匹の{ルビ蜻蛉=とんぼ}が
脚の間をすり抜けて
小さくさざ波立つ水田
暮れ翳り始めた空に
フラミンゴの色の雲

エミール=ガレの作品集を
撫でる指で繰っていた
男のこと

苗のき ....
 心より一切の欲消え去りて青き紅葉の葉は揺れており

 水無月に外郎を求め与えてし母の眼鏡の顔浮かびくる

 さえずりの混じりて聞こゆ玄関の机に田山花袋を読む
自分の趣味で申し訳ないのだけれど、女性の書く詩が好きだ。
女性詩、あるいは女性性を持った詩、とも呼ばれるそれらは、
目に見えているのに決して触れられないもののような気がする。



贖 ....
バスが燃え
市場が燃え
レストランが

兵士を焼く
まだ若いパトロールを

私たちは奪われた者

正義と
正義が反目する
その西の国はチェスの国

ここでない
遠いオフィス ....
私のこころは、
かなしいステンドグラスです。

光を見つめると、
存在が焼き尽くされてしまう。
それで暗く、
てらてらした青や赤をとおして、
光のかたちを舐めるのです。

それなのに ....
ミンククジラのパンプスの中で
小さな金魚が揺らめいている

落雷があった駅からは
洪水が始まっていて
横断歩道の境界は灰に変わる

賭けに出る前に
豪雨の隙間ですれ違った少年は
折れ ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4552)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
14P_「短歌2」より- むさこ短歌12*07-6-9
流星群- アマル・ ...自由詩7*07-6-9
排気音- プテラノ ...自由詩4*07-6-9
ピアソラ- Utakata自由詩507-6-9
ノート(我いまだ_まつろわず)- 木立 悟自由詩507-6-8
望み- ふるる自由詩11*07-6-8
ハチドリたちの季節- がらんど ...自由詩507-6-8
祖母のこと_2007年6月- 北大路京 ...散文(批評 ...22*07-6-7
六月- ふるる自由詩13*07-6-7
10P_「短歌2」より- むさこ短歌13*07-6-7
おっぱい- 大覚アキ ...自由詩3*07-6-7
9P_「短歌2」より- むさこ短歌11*07-6-6
かいちゃんともしもし- 未有花自由詩22*07-6-6
8P_「短歌2」より_〜_昭和四十年- むさこ短歌10*07-6-5
月の朝(あした)- リーフレ ...自由詩9*07-6-5
7P_「短歌2」より_〜_昭和四十年頃- むさこ短歌13*07-6-4
しおりの_わけ- たりぽん ...自由詩16*07-6-4
12,13P_「短歌2」より_平成元年- むさこ短歌11*07-6-3
箱の隅の断想- をゝさわ ...自由詩207-6-3
都会詩- 秋也自由詩5*07-6-3
レプリカ- 士狼(銀)自由詩19*07-6-3
それでも風は- 草野大悟自由詩10*07-6-2
上昇- 渡邉建志未詩・独白607-6-2
- 三条自由詩3*07-6-1
予感- かや自由詩23*07-6-1
水無月の朝- 生田 稔短歌9*07-6-1
かやのなか- いとう散文(批評 ...18*07-6-1
落日- umineko自由詩10*07-6-1
懺悔せる信徒- jesusmihiomn ...自由詩207-5-31
合図- 士狼(銀)未詩・独白9*07-5-31

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