三度減圧を繰り返した

潜水夫の足取りで起き出す

昼間はほとんど何も見えなくなった

月や星は

正午にも光っているというのに
砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されな ....
露草色の空を
のどかな雲が流れて行く
いつか見た雲が白い蝶をかたどって
私の頭の上を
風に吹かれて飛んで行く

どこへ行くのと手を振ると
今度は白い子馬となって
東の空へ駆けて行った
 ....
わたしの影まで、赤く染めてしまいそうな
真っ赤なカーディガン
お気に入りなの
夜は、まだちょっと肌寒いから
もう少しだけ着させて
昼間はバッグの中に入れておいて

こんな中途半端な季節な ....
梅雨の晩送られし日々の紙一重

夕立の山小屋のよな紙一重

麓から頂上までをなぞる指

折り紙を折る指に癖あらわれり

夏服を脱いで蜉蝣乱舞せり

青簾恋匂い立つ畳の間
めくって
そのページ
スタッカートな舌触りで
透明なベッドをぬけだし
格子硝子の窓の隙から
そっと外に腕を差し出せば
つめたい風に吹かれ
植物のゆめとなって
旅をつづけるわたしは
そのまま尖りはじめた
伽藍のそらへつづいていく

 ....
   黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
   スクリーン上に映し出されたままの
   夏の星座がゆっくりと回転し始める


   古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
   その歳月 ....
素潜りで
{ルビ鮑=あわび}を密漁する


丹後半島の
夜明け


海で生まれた太陽と
山に入る月の夢、
肩がこる


髭の男が少年や
座礁した五月


白身のま ....
 1

もう、
ふりかえらないのだ
髪をゆらしていった風は
束ねることはせず

つまさきは
後ろに広がる汀を
走れない世界にいて
こころだけがいつまでも
波になりたがっている
 ....
太陽が沈み世界が透明になる頃
アルコールランプを消した


吸い出される琥珀は僕の記憶
人目を憚る様に
そっと吸い出されていく

吐き出す息は世界にあわせ
透明に消えていく
僕は酷 ....
あなたは物静かだった
あなたを背負うと
その軽さの分だけ物静かに温かかった
だからあの家は部屋は
この空の下突っ立つ一人の人間は世界は

今でも物静かなまま
極めて物静かで
見渡す限り ....
 とかく、そのフォームの美しいこと。
 僕は退屈になるとよく相談したものだ、
 ねえドリー、君の肺癌以上にかっこいい死に様ってあるかな
 ドリーはヤニが浮いた歯茎を扇子で隠して
 腐るほどにあ ....
風が

砂の上に言葉を残していく

見えない指先が作り出す

美しい波

足跡を残すこと が

躊躇われる日に

その言葉の意味を知りえたなら

どんなに救われるだろう
 ....
       1

ひかりは、不思議な佇まいをしている。
向かい合うと、わたしを拒絶して、
鮮血のにおいを焚いて、
茨のような白い闇にいざなう。
反対に、背を向ければ、向けるほど、
やわ ....
空の曇った暗い日に 
ざわめく森の木々に潜む  
五月の怪しい緑の精は 
幹から{ルビ朧=おぼろ}な顔を現し
無数の葉を天にひらく 

わたしを囲む森に{ルビ佇=たたず}み  
ベンチに ....
もうどうせ間に合わないと知って

少年はランドセルを鳴らすのを止めた

土手に咲く花々の名を

どれひとつとして知らない

草笛はこんな風に鳴らせるけれども
大抵の車は白き色にして街も大概白き夏かな さよならは青い背もたれ始発にて四月の夢を温めにいく



アンニュイな晴間が秘める春雷に片目をとじて君を待つ午後



ないしょです。星くず燃える屋根裏で子猫と愛し合った日々など

 ....
空の草原を
風がそっと撫でてゆく
空が左から右へ波打つ
その波を追いかけて
鳥が飛んでゆく
今日の草原は
青に満ちている
草原からの潤いは
地上の緑にとって
かけがえのない
命の源 ....
街燈の光から
裸にされた
月世界のモノローグ

夜の哀しみの
ねぐらを見据え
月光に混じりあう
葬列を往けば

緩和されゆく
視界のほつれ
伏した肩肱は
硝子の時計を踏 ....
みずたまりにおとした
あなたがくれたとけいの
ゆらしたわたしのめと
ちいさなきおく

やわらかにかさなる
みどりのそら

あなたをまった
こもれびのないひはずっと
わたしのかさを
 ....
携帯はコンパクトに似ている
電車のなかで
そして街角にたたずみ
見つめる先に映っているのは
わたしであったり
わたしの知らないわたしだったり

お気に入りに登録した
サイトを巡る

 ....
咲いた
咲いたよ
黄色い光が一面に

これが初恋というものでしょうか
泣いて
泣き濡れても
涙が止まらなくなりました

風が吹き
風が吹けば
あなたに悲しい雨が降り
わたしの涙 ....
まっすぐにそそり立った夜から
はねあがるようにおきた明け方
まだ覚めきっていない体の白身を残して
黄身だけが流れだし
キッチンの冷蔵庫におさまってしまう

白身は悠長に時間をかけ ....
はつ夏は今年も空から降りてきた
すこし遅参だった
寄り迎える雨と

春の安らぎは訣せられ
季節の溜りから
そっとこぼたれ

そぼ濡れる外火のふるえながら吐息する
犬も女もさみだれ ....
五月雨に映えて{ルビ清=すが}しや草緑


散歩道寝そべる蛇に邪魔をされ


木漏れ日に透かして緑の影模様


憂鬱な世界を壊せ青嵐


吹き荒れる緑に心さらわれて


 ....
何度と俺は、この坂道を、上り下りしたものか。

旧街道の家々に、時に幸福、時に不幸を思いつつ、
夏は太陽よりも美しく、冬は月よりも{ルビ哀愁=かなしみ}をもち、
山の緑は、こうも愚かな我らのこ ....
波打ち際にゆきちゃんがひっそりと立っています。
おまえ誰やねん。
ゆきちゃんです。

ゆきちゃんがそう、答えました。

///

25世紀の春、消滅寸前の太陽のもと、
ゆきちゃんは草 ....
真昼の沖に浮かべた
大きな蓮の葉のうえで
みんなが寄り添って眠る

母のない子も
子のない母も
夢を見ることのない
安らかな眠りの底で
みんなが寄り添いあって眠る

涙よりもやさし ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
正午- 曠野未詩・独白307-5-23
メランコリーの砂浜- soft_machine自由詩16*07-5-23
露草色の空を_ー海へー- 未有花自由詩22*07-5-23
Red_Spring- 壺内モモ ...自由詩2*07-5-23
青簾- 小川 葉俳句507-5-23
怠惰- チアーヌ自由詩407-5-22
午前4時- 青色銀河 ...未詩・独白807-5-22
プラネタリウム・アワー- 嘉野千尋自由詩26*07-5-21
密漁- はらだま ...自由詩29*07-5-21
海と声- まほし自由詩36*07-5-20
琥珀の月は静かに笑う- プル式自由詩6*07-5-20
午後_p.2- ロカニク ...自由詩6*07-5-20
ドリーは吸殻を投げる- 錯春自由詩1007-5-19
創書日和「風」_風紋- 北野つづ ...自由詩8*07-5-19
ふたつの曳航- 前田ふむ ...自由詩27*07-5-18
森ノ潮騒_- 服部 剛自由詩13*07-5-18
草笛- 曠野未詩・独白607-5-18
夏始まる- A-29短歌5*07-5-18
さくらさくら- まほし短歌17*07-5-17
空の草原- ぽえむ君自由詩14*07-5-17
葬列- たね。自由詩12*07-5-17
trefoils- 高橋良幸自由詩9*07-5-17
- 恋月 ぴ ...自由詩33*07-5-16
初恋- おるふぇ自由詩607-5-16
たまごを溶く- なまねこ自由詩10*07-5-16
あゆみ- soft_machine自由詩14*07-5-16
緑したたる- 未有花俳句12*07-5-16
街道- 蔦谷たつ ...自由詩5*07-5-16
ゆきちゃん- ひろっち自由詩11*07-5-16
ひかりかがやく涎の海をこえて- 大覚アキ ...自由詩407-5-15

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