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手にとって
読み返す葉書
紙の山に埋もれていても
あなたの文字は
見つけられる
その文字が
私を君と呼ぶ
綴られた言葉を
私はきっと
諳んじてしまう
遠く失った恋が ....
放課後には少しはやい 午後
夏の始まりを
逃がさないように
自転車同士
つないだ手
ふたり 風になって
長い長いお休みは
もうすぐそこ
追いかけるように
でこぼこ道
スピードを ....
逢いたい、と
喉が呟く
けれど。
誰にあいたい、のか
わからない
私は一体だれを 忘れてしまったのだろう
あなたをなくした
景色の中で
私も風景のひとつとなり
日々を ....
葡萄の葉陰に{ルビ抱=いだ}かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました
花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました
高い空
すうと流れる
赤 ....
ずみの花が咲いた
夜にかくれて ひとつ、またひとつと
ふくらんでは夢のようにひらく優しい花よ
ずみの花が光る
風を香らせ たわわに揺れる
蜜蜂達が 遊ぶ梢に
私も腕を拡げて 飛びたい ....
夜をこえて 夜空を駆けて
眠るあなたのうでのなか 忍び込みたい
あなたの見るゆめ
金の砂漠 蒼の水底
耳をすませて
私にきかせて
ねむるあなたのそばにいるから
明け方のそら ....
ゆらゆらかげろう
玻璃の向こうに
柔らかき草萌ゆる
丘、ありて
音もなく 風渡る 景色に
あきもせず
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く
頬杖つく
椅子の背は
しっとりと ....
とおいひの
うたになまえをあげましょう
ながいこと
おまえさまの 「な」をしらなかったね
はじめまして、なつかしいうたよ
ひとひら
のーとの「きれはし」にやどっておいでだね
はな ....
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください
いま
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに
やさしくふきぬける
風のよな
寂 ....
ほう ほう
風が鳴いてる
シグナルはしずかに震え
ぽつり ぽつり
話す声がとぎれ
遠い踏み切りから
鐘の音が ただよい
届かずに消えゆく
銀の車両は
鐘の音のな ....
若葉に抱かれ
ひっそりと眠る
ぐみの実
指で触れる
ざらりとした果実は
甘くて苦い くちづけ
次の春には芽吹けよ、と
その種子を天へ飛ばそ
春風よ
月の優しさを知る
アーモンドの
ほころんだ花びらを そっと波間にうかべ
遠い異国へ 運んでおくれ
涙色の伝説
その震える肩を包んでおくれ
歌えよ 鳥よ
闇をつらぬ ....
うるうると ながれては こおりにかえり
うるうると みたしてゆく
つちを かぜを
たちのぼる霧は
こおりをむすび
春待つ木々を
冬に還す
光 ....
みつめている
うつくしい景色のむこうに
誰かへつづく ひとすじの想いがありますか
胸の中 熱をおびた
夏の風は ふいていますか
どこからか
あなたへつづく 想いがあるように
わ ....
午後の陽射
見上げる、瞳
山吹色の世界で
あなたが 私に残した言葉は
今も 胸の中を響いています
遠く想う
あなたの生きる 街の風
あの日 藍色の翳りは
今も その胸の ....
街に灯のともる 夕暮れは
さびしくて
たえられないと だれかがいった
群青の空に
森の影が 長くのびて
かたかた風に つららが揺れる
でも
私はしらない
この夕 ....