ちぎれ飛んでゆく

ちぎれ飛んでゆく
それぞれの痛みを

誰もがみな
語りうる限りの言葉を使って
それぞれがぶっ放しあう

あらゆる方法を試みたところで
結局は
痛みを分かち合う ....
父去りて夏去りて今日ほどく紐



熱を捨て陽は降り急ぐ石の丘



涼やかな花には寄らぬ鳥と虫



触れるほど水はすばやく風深く



誰ぞ置く錆びし{ルビ ....
うばすてやまについて考えている
祖母をそこへ連れてゆきたい
訳ではない
昼下がり
冷えた湯呑みが二つ
並んでいる

祖母が歩くと
割烹着のポッケットから
何かがこすれ合う音がする
 ....
風ひとつ
赤い首輪の放浪者
立ち止まって後ろを振り返るのは
淋しさを断ち切るため

お行きよ お行きよ
赤い首輪の旅人よ
風は追い風 君の味方さ
淋しくなんかはないはず

お行きよ ....
名、をつけて、指間からこぼれ落ちる、もの、そこまで愛せ、そこまで愛せ、よ、


彼はいろ我はひかりか 赤青黄おなじ要素で対極に立ち


半分の顔で笑みたるその闇が満ちて怯えん君温け ....
子供たちはうとうとと、
昼寝の狭間のこころよさ。

隣では
浴衣をつくると、ミシンの音。

遠くでは
どこかの子供の笑い声。

風が黙って走り去る。
まわりから、忘れられたよう ....
うやむやに秋の一日を寝過ごせば影なき夕に喉の痛めり 夜中の3時
ふと目覚めたあなたが言葉にならぬ言葉を私に向かって発する
私もまた
不完全な声の断片をあなたに還す

同意を求めるかのようなあなたの「ねえ」の
「N」と「E」のあいだにかろ ....
昔々、日々は葡萄狩りだった
形よく大きなものを探し廻るのに懸命だった
憂鬱は出来事などでなく世界そのもので
頬を切る風は冷たいけれどやさしかった
横から奪っていく手のことなど ぼくはちっとも知 ....
菩提樹の上で交わるけだものの系譜の果てに立ち尽くす我



吼えるものただ自らに背くもの震えるけもの響くけだもの



膨れては刃のごとく雪を斬る寒さ忘るるための憎しみ
 ....
品詞の群れが
淡青く固まって
規則正しく
埋まっている
あの砂浜の
崩れたお城のあたりに

それらは風化し
擦り切れて
最早
意味など成さないのに
皆が使いたがるのは
如何して ....
真夜中 岸辺に泳ぎ寄る魚は
不吉なほど黒い


昼の海からは
想像もできないほど大きく
ものものしい動きをする


これは
寝静まつた陸に
少女をさらひにきた悪魔の影だ

 ....
朝顔の 露に張りつめた花びらは
美しい
しかし 弄れば弄るほど萎れていく
ダイヤは研けば研くほど
耀きをます


あなたはどちらが真に
美しいと思ふだらう
いや 野暮な問ひは止め ....
台所に座り込み
勝手口から空を眺めると
柿の葉が広がっていた
とても濃い緑

よく耳を澄ますと
じいい、と通奏低音みたいな
音がする
理由はわからない
たぶん夏の名残

もうすぐ ....
ねえ 窓を開けて
ねえ ちょっと見るだけでいいの
まるでそれは火の海よ
燃え盛る炎の中で
私が立っているのが見えるでしょう

ねえ 目をそらさないで
ねえ まっすぐに私をみつめて
想い ....
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち

「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く

「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り ....
電車は学芸大学を過ぎた
橙の薄日が
くすくす眼を射り
わたしは数年前に
逃がしてしまった犬の事を
茫洋と考えていた

毛並みの良い犬だった
ルクスと云う名で呼んでいた
或る日鎖をひき ....
こがねに濡れた葉を踏みながら

いつしか夕餉の音も消えて

百年を灯している

弱く深深と佇む街灯を数えるように

ぽろぽろと

灰色の雨粒がレインコートを滑り落ちる

街外れ ....
窓外に 
枯れたまま{ルビ俯=うつむ}く 
{ルビ向日葵=ひまわり} 


辺りを照らす
太陽の花に
振り返っていた人々 

秋 
{ルビ独=ひと}り汚れ身を{ルビ晒=さら}しな ....
 見上げた天井にそれは映る
 夜更けに甘い罪を犯す僕には
 その幻が見える

 艶やかな黒い髪の毛が輝き
 そしてまた好奇心に満ちた黒いつぶらな瞳
 僕に向って微笑んでいる

 きっと ....
イチジクの実の組立てが壊れて
甘いものだけが畳の上にこぼれた
あえなく絶えた通信の最後に
とても明確なかたちでお別れを告げて
甘いものだけがどこまでも遠くへ転がり続けた
あたりいちめんの下り ....
日が沈み
冷めてゆく土
その上を静かに
秋の夜を泳ぐ

月はすでに
凍てついたかのように
冷たい光を
地上へと降り注ぐ

その光を頼りに
秋の海は
風とともに波を起こす

 ....
ふと庭に
光漬けになって
泣きだしそうな 彼女


まぶしいのは
もうまくがやわらかいから
だったろうか
もし
私が死んでしまっても
このせかいが
ぷつんと
終わったりしま ....
秋は風
そよそよと風が吹き草の丘へ
薄穂が揺れその動きに
虫たちが自分の楽器を
思うままに奏でる

秋は色
はらはらと葉が落ち野の道へ
小枝が揺れその動きに
小鳥たちが自分のパートを ....
それは自然のなせる業にはちがひないが

梢からまつすぐ

命中するやうに頭に降つてきた木の実

重たく硬い木の実


何か不当な打擲を受けたやうで

穏やかではなかつ ....
私の尾骶骨が泣いているのに
誰も気づかない

そんな哀れみを乞うようなポーズをとってみても
誰も気づかないふりをする

だって
自分が哀れんで欲しいんだもの
みんな

 ....
大嫌いだった あの日に
いつの間にか 戻ってきて
掛け違えたままのボタンも
そのままに 走り出す
どこまでも
白く
どこまでも
くらい
あの空

君ニ恋シタ心マデ 嘘ニナッテシマウ ....
くらやみの中
また携帯のひかりだけだ
通りには車の行き交う音が
すこしだけきょうの反省のような音にきこえる
ふるえていた似ている夜のかおは
きみのぬくもりみたいに温かくはなくて
オ ....
白川通を自転車で下る
夕暮れが少し濁っているのは
街灯やら電飾やらがうるさいからだ
と、解釈する


岩倉の秋は早い
キンモクセイがもう落ち始めている
一週間前には満開だった


 ....
日向落ち日陰落ちする{ルビ欅=けやき}葉の涼やかならん秋の朝とき
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4554)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ちぎれ飛んでゆく- 大覚アキ ...未詩・独白506-10-18
ノート(風にあれ)- 木立 悟俳句9*06-10-18
うばすてやま- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-18
- 未有花自由詩9*06-10-18
#2006.06〜09- 石畑由紀 ...短歌1606-10-17
- ネコ助自由詩206-10-17
喉の痛み- A-29短歌2*06-10-17
あいだ- 山本 聖自由詩106-10-17
昔々、日々は、- 新谷みふ ...自由詩8*06-10-17
系譜- 木立 悟短歌706-10-16
品詞の活用法- 吉田ぐん ...自由詩606-10-16
正義のパトロール- 杉菜 晃未詩・独白9*06-10-16
それは_あなたの中に- 杉菜 晃自由詩12*06-10-16
丸い空- チアーヌ自由詩606-10-16
サルビア- 未有花自由詩9*06-10-16
ミゼット(1〜10)- ミゼット短歌3*06-10-15
『ルクス、』- 吉田ぐん ...自由詩1006-10-15
夜と夕陰を別つ道- 相馬四弦自由詩3*06-10-15
向日葵_- 服部 剛自由詩12*06-10-15
いつも幻が- 山崎 風 ...自由詩506-10-15
復唱- 砧 和日自由詩4*06-10-15
秋の夜は海と変わりゆく- ぽえむ君自由詩13*06-10-14
彼女は- はな 自由詩12*06-10-14
秋は心- ぽえむ君自由詩11*06-10-14
頭に弾いた木の実について- 杉菜 晃自由詩12*06-10-14
尾骶骨- 蒼木りん未詩・独白306-10-13
a_b_w_e_s_e_n_h_e_i_t- 李伍 翔携帯写真+ ...206-10-13
あまやどりの停留- キメラ自由詩306-10-13
秋風- さいらと自由詩306-10-13
けやき通り_(二)- A-29短歌206-10-13

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