善悪の徴(しるし)を見たし満月の
澄清(ちょうせい)のそら雲ひとつなく
端々へ光が渡る天空に
在って在るべき雲流れ行く
夕焼けがビル ....
{引用=街}
街は
灰色にかじかんで
遠くを見る
{引用=鳥}
丹念に編み込まれた
木々のレエス
鳥が壊す
{引用=画廊}
画廊の扉は
今日も閉じられて
あの絵も ....
箪笥のいない夜更けに
わたしは廃屋に棲む四つ目と会う
四つ目を思うとなんだかせつなくて
夕暮れ時からたまらない気持ちになる
廃屋が見える路地まで来たら
心臓が喉元ま ....
トランプをあまりにも鮮やかにきったから彼は神様にマークされたの
洞窟のくずれる音が聞きたくてそうぞうじょうの空はももいろ
こころない歌がうまれた2秒後に全力失踪してく体 ....
おもしろくなきゃ死んだって構わない神もニーチェも死んだことだし
壊れてもとりあえずそこに置いといて夜中に急に光りだすかも
特撮のキューピー3分クッキング電子レンジが爆発するぜ! ....
( ピエロは独りよたついて
( {ルビ歪=ゆが}んだ後ろ姿で
( 深夜のネオン街を横切ってゆく
早朝 夢から覚めると
そこはネットカフェの個室だった
昨晩は酔いどれたまま
揺 ....
◇尾瀬ケ原
虹に遇ふ
もつとも
さやかなるときに
◇車窓より
白鷺は立つ
点々と
四、五枚の
刈り田に
一羽
....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
どこにも行かないで
そばにいてみつめて
月も凍えるこんな夜は
誰もが人恋しさに震えながら
星の{ルビ運命=さだめ}に想いを寄せるの
流星がスパークしながら
落ちて行くわ涙のように
....
猫のいる家は{ルビ密=ひそ}かな契約の匂いがする
猫を飼うときには年季を言い渡すきまり
人の家に長く居すぎると
{ルビ猫又=ねこまた}になってしまうのだ
こどもらが自分の部屋を持ち
夫婦だけ ....
陽だまりのベンチで
あなたの姿を見つけたよ
何気ない仕草のひとつひとつから
幸せのあり方を掬いだしては
これで良いのだと
ひとり頷くあなたの姿
大きな卵でも抱きかかえるように
胸の前で孤 ....
この街を見上げるいつかを歩いている
夕焼けを毛布に焼き付けて夜の火
ハンカチ横切る誰かの頭上を傘で愛す
全ての弦こともなげに切れ黒い目のヴァイオリニスト
星雲を気配として佇む地 ....
月明かりの海に
ほのかに明るい雲の輪郭が
宙に浮かぶ島のように流れていく
無数の星々は灯台で
動く飛行機の灯りは
湾に停泊する船の灯りなのでしょうか
そして
それを見上げる私は
....
放課後の淡い窓から金管の音よ羽ばたけ青のたかみへ
とおせんぼされてる明日に手を伸ばすように螺旋階段のぼる
コピー機が光をシャッフルする影でちがう切札のぞむ我がまま
....
ガラス瓶のなかの
北風に乗って
飛んでいく一羽の鳩
おまえは
空に引かれた
ひとすじの水脈
かぼそき涙の痕跡
花のようにふるえる声
おまえは
幼年時代
滴りこぼれゆくはずだ ....
あ
瞳の目覚め
限る
あ、あ、
朝は、まず長方形
確定されてゆく窓枠の朝
薄青の東、もっと東の
薄青が
チチチチチッ
微細な鳥を組成してゆく
ああ
次 ....
よるのとばりはもうおりて今はたいようもあくびし月も眠っている。あなたの影ももう堕ちて今は月影とともにカーテンの向こうだ。夜っぴいて詩を書いていた友人はもう眠り彼の昼間の喧噪ももう閉じて今は静かに眠りの ....
みなし子にかける言葉があるか
みなし子に
かける言葉はあるか
霧のような冷たい雨が降る日
孤独と不信に凝り固まった心を持つ子
その子の瞳は何も知らない
知らないけど知っている
日 ....
母ちゃんは台所(だいどこ)飯を炊く
父ちゃんは精出し仕事する
祖父ちゃんの戯れ言聞き流し
祖母ちゃんよ天国で見てろ
嗚呼、宵や宵や
夜風よ冷たくて
何億光年先も見えそうさ ....
「冬へ」
波の立つ浜で声を待っている 強くなる匂い 「わたしはここよ」
「神話 ?」
母眠る 零る血吸いし地下茎に 乙女は実りてそのときを待つ
「花を宿す」
管の中 ....
きみは
花のみるゆめ
よりも
冷酷さ
けれど
くちびるが
とじられると
小鳥が
鳴いてる
風が
吹いてる
きみは
ぼくの
好きなひと
そっと
やさ ....
がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている
かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか
呟いた息が白い
夜空には
おおぐ ....
エンジンはフルに入ったこの身体(ボディ) 愛の火花が欲しいこの頃
メーターはとうの昔に振り切った 一目で惚れたあの夏の日に
アクセルとブレーキいつも間違える 恋の免許はいつ取れるのか
{ルビ銅=あかゞね}の地に影なす禿げ山は峙ち
ひと足もふた足も早く夜を招き入れる
時のか細き尾は見え隠れを続け
遠くより線路の軋む音が届く ....
海の音は巻貝の中に閉じ込められた夢の残滓である
それは耳の奥で息を潜める
息を
息を潜める渦巻いた器官のひそやかな記憶である
僕は肺魚の涙
細かな砂粒の上に身を横たえて
黒曜石のつやや ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月
死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由
黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
....
正午を過ぎ、 電車に乗った。
静かな その車内で、腰かけていると、
ときに、いろんなものを目にすることがある。
その人は、片足がなかった。
....
青空に鉄塔高くそびえたり
ワイン色の暁の空に酔いしれて
虹の橋渡って会いに行きたいな
星月夜君と二人でランデブー
首筋に冬のくちづけ雪の華
雨上がり君 ....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
誰にも言わないでください。
決して誰にも言わないでください。
私はミサイルです。
史上で最も長距離の射程を誇るミサイルです。
あなたのところまであっという間です。
誰にも言わないでくださ ....
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