丘に立つ
ただ背伸びばかりして
何にも手が届くことがなくても、
輪郭を名乗っていた頃より 透明がはっきり見えるようになりました
透明を知った私は、そのかわり
色が体の底のほうに溶けていって
 ....
 怖い怖い、闇が怖い、私の嫌いなイロは黒なのさ。
 ああ、恐ろしい恐ろしい、私の嫌いなジカンは夜なのさ。

 それでも私は黒が無きゃ、夜が無けりゃ生きられない。なんてこった涙が出そうだ。なんてこ ....
ひとでなしになって とことん堕ちてみたい
いちばん底の どん底の 暗いところから
じぶんがまだ ひとだったころに見ていた
透き通った景色を 見上げてみたい
ひとでなしでさえなくなる そのときま ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする

この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
部屋の入り口に傘がかけてある

黒いのと水玉模様の傘

「晴れたから・・・・」

帰って行く君の頬に

朝の光が白かった

今はもう雨の日どころか

台風の季節も過ぎて

 ....
器の水と空気を揺らし
敗れたものの記を奏でる
青い氷の空と雲
青い氷の土地をゆく影
途切れたものをつなぐことなく
そのままのかたちで送りだす
自身で自身を選べるように


 ....
 君はまるでアン・シャーリー
 夢見がちなアン・シャーリー

 小さな部屋の大きな窓から
 初夏を彩る青 黄 緑
 小鳥のさえずり
 お日様に お月様
 つぶらな瞳に映して
 今日 ....
toku toku と振動音
なにを感じるの
その小さな心で
やがて想いは想いでへと
日々の木漏れ日のような
優しさに埋葬される
白い春の夕暮れ
浅い眩暈が意識を通過する
柔らかな距離がゆるやかに傾き
西に沈む誰かの声 遠い声

傍らの抽斗の中で
淡い儀式の記憶が疼く
それはやはりある春の夕暮れの
古い棟のうらさ ....
  朝焼けがまだ
  始まらないので
  本当は昨日
  あなたに届くはずだった
  手紙のことを思った


  夜明け色の
  手紙を贈って欲しい
  君と一緒に
  指差して、 ....
小さい、部屋。手を伸ばせば窓になれるし、空を少し撫でることだって、出来る。秋がくる、それまでにまだ、これほどの空気の壁が出来ていて。目を閉じても、耳を塞いでも、短い呼吸で手を伸ばせば、僕らは寄り掛かる .... 一杯のレモン水が
少女の潔い清らかさを崩壊させる
振り払ったはずの
輪切りする手のぬくもりを
思い出す指が水滴に濡れて

この苦悩は
億千と繋がる母らのつらみ
そうであるなら耐えてみせ ....
空がほつれ 花になり
空を淡く照りかえす
むらさきになり 羽になり
まぶしく逆さの金いろになる


廃屋がひとつ
いつか走り出す列車のように
窓だけをにじみかがやかせ
少 ....
あなたが
海辺の砂に横たわって
その乳房をわずかに星が象っていた時
僕はただ
少しの影さえも見のがすまいと
シャッターを切りつづけた
星はうるさいほどで
波の音さえ聞こえなかった

 ....
夕暮れて
暮れなずみ

夕闇に
うちしずみ

静かに
   下がっていく
         温度
静かに
   暮れていくの
         音

あなたがノオトをめくる音 ....
ゆらゆらかげろう 
玻璃の向こうに 
柔らかき草萌ゆる 
丘、ありて 
音もなく 風渡る 景色に 
あきもせず 
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く 
頬杖つく 
椅子の背は 
しっとりと ....
{引用=
ちいさな野原。白い宇宙。街角の冬。さざめく星空。静寂。月の光。天文台の記憶。

春の方角。夕陽の轍。ぶどうの風。かすかなピアノ。やさしい目。風邪の熱。水蜜桃のゆめ。

向日葵を持つ ....
とおいひの
うたになまえをあげましょう

ながいこと
おまえさまの 「な」をしらなかったね
はじめまして、なつかしいうたよ

ひとひら
のーとの「きれはし」にやどっておいでだね
はな ....
花の雲 上弦の月 人形と為れるわたしと遊んでよ{ルビ貴殿=あなた} かごめかごめ籠の中へと残されてさくらはひとり散っていきます

口惜しく散って逝くならあわれむも花いさぎよく嫉妬するのみ

たとえばと、たとえるものを探しても見つけられない春の終わりを

 ....
{引用=そんなことより私、空を
さかさまに見る方法を知りたいの}


少女のすっと透き通った声
は何ものにも染まらない唯一
瞳は映した空を綺麗に切り取って
私はあの子に、
あの子の繊細 ....
あたしは二月三日が嫌いなのだ

豆まきが恐い
豆まきと言うより鬼が恐い

鬼のお面があたしを見るのだ
鬼のお面に開いた二つの穴からあたしを見るのだ
二つの穴から覗く目は

母であると ....
    春の夜の

    朧な月を仰ぎつつ

    草露を踏む

    真白い素足 
藍色の少女は密かに夜の匂いを纏って
透き通った肌からは昨日が覗いていた
音もなく窓辺に降り立つと
そっと私の手に触れる ひんやりと
夜が私の体の芯に入り込む

裸足の爪先からは 夜が
生 ....
その翠、春は終わってしまったの素数のページを少女はひらく

やわらかな春雨が去り残る青、桃のリボンで包みましょうか

白襟のリクルートスーツたくましく南にむかう汽車を待ってる

あの山 ....
やまびとの散文詩・断片1

春の息吹が、空から地面から次々と芽吹いて、
美しい山々の栄光は、
わたしたちの赤い血液のように循環する貨幣と、
太陽の動きと星々を絶えず観察して、
それを文字や ....
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください

いま 
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに


やさしくふきぬける
風のよな
寂 ....
やまびとの散文詩―断片9

青白い炎でゆらぐ教会のなかで、わたしたちは、
旅をする黒だけの簡素な衣装を羽織った
右眼が見えず、右手が無い一行が、一心に祈りを捧げながら、
すすり泣いているのを ....
やまびとの散文詩―断片4

緑色の太陽が沈まない夜が、軋み、傾き、唸りを上げて
動揺する、わたしたちの長い旅は続いた。
黄金を隠し持つ禿鷲が棲む不毛の大地は、ときに、わざわざと
道を次々と造 ....
欲しかった物がひとつ

縁日で買ったラムネ瓶の中で
からから回るビー玉
何度も取り出そうとしたけれど
出来る筈もなく
ただ瓶を透かし見ては
溜め息一つ

割ってしまえば手に入るのに
 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
丘に立つ- 夕凪ここ ...自由詩6*06-5-11
暗闇製造機- ふじわら自由詩2*06-5-10
ひとでなしの恋- 大覚アキ ...自由詩306-5-10
面影橋- 落合朱美自由詩31*06-5-10
梅雨- 自由詩206-5-10
三華遠季節_Ⅱ- 木立 悟自由詩206-5-9
アン・シャーリー- 山崎 風 ...自由詩4*06-5-9
- 佐藤伊織自由詩3*06-5-8
遠い声- 塔野夏子自由詩15*06-5-7
明星- 嘉野千尋自由詩17*06-5-7
明日、いつも通りに- 霜天自由詩606-5-6
少女- かや自由詩6*06-5-5
狂光花- 木立 悟自由詩306-5-4
星の刻印- ノボル自由詩206-4-28
- ふるる自由詩13*06-4-25
春の吐息- 紫翠自由詩7*06-4-22
LOVE_SONGS- 青色銀河 ...未詩・独白506-4-20
うたになまえを- 紫翠自由詩2*06-4-18
桜あそび- 桜鬼弓女短歌106-4-16
さくら散る- たにがわ ...短歌806-4-13
明日には、さかさまだった- 夕凪ここ ...自由詩12*06-4-12
両目に潜む鬼- ユメアト自由詩106-4-7
春の冷気を泳ぐ女(ひと)- 服部 剛短歌10*06-4-7
藍色の少女と- 夕凪ここ ...自由詩10*06-4-6
春は終わってしまったの- たにがわ ...短歌306-4-6
やまびとの散文詩(一)_- 前田ふむ ...自由詩5*06-4-4
流花- 紫翠自由詩7*06-3-30
やまびとの散文詩(三)- 前田ふむ ...自由詩4*06-3-25
やまびとの散文詩(二)- 前田ふむ ...自由詩6*06-3-22
幼年期の終わり- キリヱ自由詩306-3-18

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