新しいページを開くと
本は一羽の白い鳥となり
窓の外へ
飛んでいってしまった
カーテンを揺らす
やわらかい風に吹かれながら
日曜日の公園へ集まる
たくさんの本たちのことを考えてみる
羽 ....
モネよりも
ルノワールよりも
キスリングの絵が好きです
彼の描くミモザは
その小さい花の一つ一つが
どれも眩しいほど鮮やかなのです
それは美しい憧れです
あなたの目に
私はその ....
路面が凍りそうなほど寒い朝
彼は社長を迎えに行った
自宅に着くと
リビングのソファで社長が
頭から血を流して倒れていた
頭の中身は
アンティークの柱時計に ....
秋はゆっくりと来ていた
朝夕の風を
冷たくすることから始めて
草花の種を気まぐれに弾き
ななかまどの実を
少しだけ赤く染めてみた
けれども空はまだ若い
夏の面影を残していた
梢には ....
きょう
ぼくは少年だった
両腕をいっぱいに伸ばして
いちにち
空を憧れていた
ぼくのノートは
かなしい文字でいっぱいだ
さようなら
さようなら
みんな さよ ....
{ルビ朝凍=あさじみ}の
利休鼠に
朱を刷いて
きと{ルビ誘=おび}かるる
垣の山茶花
暗香に
袂を引かれ
仰ぎ見つ
名残の雪に
....
佇みし
紅に身を寄す
我が心
幼き頃より
君は山茶花
白雪に落ちる一輪 寒椿 その紅に近き死思う
いつからか
巨大な目/まばたきをしない目が
わたしをじっと見る
青い/緑の目をしたきれいな雌鹿
自分を巡って戦う牡鹿を
じっと見る
興味深そうに/興味がなさそうに
丘の上にある一 ....
クリームの眠りと
常夏の布団小屋、
紙とエンピツと寝返りと
片目と、
真夜中の薄曇りと
静かと静かと、
嘘と旅行カバンと嘘と
軽い興奮癖と
厚着と、
明日の無予定 ....
水鳥は冷たき水に群つどい湖のほとりの枯れ草の宿
一日を二人過ごして今宵また妻は聖書に読みふけるなり
絵に描くか詩によむか玄関の雲間草可愛ゆく咲く
優しい歌は誰にでも降る
って
空が言ってました
本当?
なら、
あの子にも降りますように
今の空は水色で
すぅと雲が流れてる
この歌も降るのかな
水色と白の音
....
いちごのような空です
つぶつぶしています
あのつぶつぶは、何でできているんだろうね
つぶつぶは、やがてゆっくり落ちてきて
見えないように、頭の上に降り立ちました
「静かに。今種を植えるよ ....
夜は海
街も時間も
何もかも飲み込んでしまう
私の体も海の底
静かに息をしている
夜空の星たちは海に沈んだ金貨
海賊たちに盗まれぬよう
あんなに高いところにある
ああ もうすぐ夜明けだ ....
凍りついた重たい大気に圧されて
密やかに凍えるお前を
私はそっと抱きしめる
けれどお前は
私に触れられた瞬間
はっとしたように
すうっと空気に溶け込み
私の指の間をすり抜け ....
たとえば
それは、
晴れわたる夢に
やさしい雨がのこした跡
テーブルのオレンジは
断続的におとずれる早朝、
半透明のまま
ころがっていて
方向性をなくした部屋に
ふりそそ ....
暗闇で君のことばかり考えおり手術終わりし深夜の病室
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る
どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
死んだ鯔が漂っている
ゆらゆら ひれをふりながら
近づいてくる 油の浮いた港の水を分けて
俺の思い出を裂いて
一漕ぎで 鯔はあきらめる
記憶の追跡を 死というやわらかな退廃を
この ....
詩を書くのは楽しい
なんだか冒険しているみたいで
時間も忘れて書いてしまう
それも夜の帳が降りた後の深い時間や星々達が消えてしまう前に
詩になる生き物達を失う前に僕は目を泳がせてキー ....
?.
日が沈むぜ
ウォッカの氷に
日が沈むぜ
おまえの鎖骨に
観覧車に
モップ犬に
道行く人に
カモメの声に
書くしかない
書くしかないんだ
おれたちこんなに ....
今日はずっと雨だ
だから歩かない
雨が降るとこのへん一帯
泥沼みたいになって
すげえ時は渦を巻いてその奥へ引き込まれる
墓標の上に座っていれば引き込まれることはない
さあさあ降り続 ....
静かな真昼の道端に
ぼくは黙ってころがったまま
小さな石ころのようです
三月の風がやって来て
ざわざわ気持ちをなでるのです
ほらブランコもゆれてい ....
夢の中に出てきた白いうさぎ
ゆっくり時間を止めてゆくように
振り向きもせず私の伸ばした腕を
そっと摺り抜けて消えて
追い付けない追い付けない
この脚じゃもう走れないのだと
気付かされて ....
深々と 寄せてくる
夜の 間に
下弦の月が 静かだから
開かれた 秘密の扉
漏れくる 天界の光
倦む事を知らない 瞑想だから
月の鍵穴を そっと 覗く
幽かな 天空の序曲に 耳を ....
実を言うと俺は男の身体も好きだ
前も言ったっけ
そう言うとゲイやバイの奴らが集まってきそうだが
残念ながらその気はねえ
天国に連れてってやると色々誘われたりもしてたんだが
ツボをよく分か ....
水音、雪の降る体
その白い音、針の先です
柔らかさのデフォルト
時計が降る
音が降る
針が
みみずは濡れたままだまっていました
そうすることしか、できなかった ....
触れ合う木の葉音
高い空を見上げる
言葉はそこになく
風はただすり抜ける
なだらかなサイクル
優しさの温もり
確かな偶然
僕の森に 与えて
流れゆく水の音
陽だまりが浮か ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
きみが森にはいれば
木々は青さを増し
きみが空に手をのばせば
雲はきみに近づこうと雨になり地におちる
きみが猫にふれれば
その三毛猫は、2丁目界隈の王になる
海がみたい、君がときどきそ ....
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