春のみちしるべが
ぼんやりと
さくらいろにほどけて
くるり

かすかに温む指さきを
ひきしおの隙間に
おきわすれ
どこへゆくのか
しおさい

水平線の午睡
波の ....
凍土の独白 そのあとさき
訪れる安寧の息づかいは
無色 無音の
不可視の原野に
手放しで放り出された
あっけない夕暮れなのかも知れません

色の無い花びらの
おどる薄暮の
ながれ ....
はらはらと降り注ぐ花びらの中
おさげ髪をなびかせて
少女は桜並木を駆けて行く

誰に会うために急いでいるのか
息を弾ませながら
少女は桜並木を駆けて行く

君のその澄んだ瞳の奥に
誰 ....
まだら猫助がゆく
いつもの道
誰かが落としたパン菓子
甘い出来事を
拾い集めた夕暮れ

街がほどけてゆく
線路の上で
夕陽が犬釘に染みている
色違いの銀色を見分けるように
不思議な ....
朽ち果てた約束たちが
影の中に横たわっているけれど
これまでの全ての喪失たちが
僕の背中を見つめているけれど
今はただ何もかも
そのままにして待っている
浅い春の窓に
しずかな光が満ちて ....
「星の名を昨日知ったのさ」

「夜眠れない子供達が
それを指差して笑う」

「星の数え歌を知らない僕達は
鬱蒼とした森の中を掻き分けて
始まりの場所へ向かう」

「夜の虹が吹 ....
フラウ、
きみの瞳が黒くなかった頃、ぼくらは、
花畑を見つけるのが殆ど唯一の、楽しみだった
十分おきに鳴るセルフォンに、きみは、
いちいち振り返った そして、ぼくは
なんでもないと、答え続け ....
  雨が降り木々の葉は濡れた
  川沿いに張られたガードレールの錆び
  秘密を抱えるように口を噤む家並み
  けれども日記帳にしみこんだ太陽の匂いを
  夜がきてもこの胸に憶えている ....
 
 
 
手を伸ばす
先に
ほどかれていく放物線の
空 いくつも数え切れないほど
通り過ぎるものがあった
今夜
聴いた
天球の音楽

八時間先を東へ回るきみの


こ ....
?


漣の壊れた
三月の浜辺



カモメの死体が、





海岸線を歩く

足跡を残しながら


振り返る
消えている足跡


波にさらわれる軌跡 ....
もうひとつの冬へ帰る
小鳥は脚に
小さな赤いリボンをつけて
少年の手を飛びたつ

椿の木から木蓮の木へ
ためらいもなく羽はうつり
空の色に
吸い込まれて消えた

手のひらに残る
 ....
芳しい薔薇をあなたにあげると
差しのべられた手をつかんだのがそもそもの間違い

やがて薔薇は枯れてしまい
私がつかんだものは幻だと知らされる
私が愛したあなたはもうどこにもいない

恋は ....
そのジャケットにはかもめが飛んでいた

水晶の静寂が永遠の砂から響いて

僕の胸ポケットの中には人生の請求書しかなかったのだけれど


静謐がほしかったそれ以上に孤独が

体のすべて ....
ふるえるのは、風がふくからだと、夢の人はいった。
あるいはあなたのたいちょうがすぐれず、ねつのよう
なからだから、みえない思いがはっしているからであ
るのかもしれない。そのようにして、ぶるぶると ....
昔私は直線だったの
――そう。
昔二人は交わらない二本の直線だった
或いは一つの茎から分かれた二つの花
片方は恒星で、もう片方は流星だった
昔あなたはピアノの鍵盤の一つだった
そして昔私は ....
部屋のくらやみを流れ落ちる飛沫 不動の過去を裏切れなくて
 ....
海であったかもしれない、その水たまりを、誰かは容易
に跳び越えてしまう。とめどなく溢れながらこぼれなが
ら変遷していく歴史だったかもしれない、それが映す風
景の色味について、語ることもなく。
 ....
粉雪のリフレイン
埋め尽くす真っ白な想いは
あなたに会いたくて会えなくて募って行く

悲しみのリフレイン
降りしきる雪の華の中
私はひとりきり淋しさを{ルビ弄=もてあそ}ぶ

あなたに ....
背骨が浮いている
間に挟んだピアノの音階は、 じわりとけて霧散する夕暮れ
歩くことをやめた亡者の形骸に後退
軋み続ける
撓っている
真白に、正常に伸ばされた骨の上で清く

ゆるやかに逆立 ....
からだを波のようになびかせて
白いあわだちをむかえる
いくつもの永遠が閉じこめられる

かつて少女だったすべての女性たち
かなしみを取り込んだなめらかな体に
くちづけをするとき
 ....
#1

きんいろのふりこがゆっくりと放たれて
はらはらと粉を撒き散らしていく
とがった屋根のさきっぽに
逃げ出した雲がひっかかったまま
夜がくる

そのまちでは風が吹かない
時計の ....
新しい付箋を買いに出かけた
道すがら
ほろりほろりと
煙が立ち上っていたので
立ち寄った
少年がたくさんの栞を燃やしていたので
一枚もらった
少年は
本を持っていないと ....
シクラメン曇りガラスの向こうから微笑み返す師走の窓辺

気づいてよヤドリギの下に立つ私キスして欲しいなんて言えない

雪の降る聖なる夜に祝福をポインセチアの火よ燃え続けて

凛とした清楚な ....
ごちそうさま
長く永い みちのりでありました。
ひさしの
蜘蛛の巣ごしにみえる
青空は澄んで高く
深まってゆく秋です。
すこしすこし
冬はちかい
手をあわせる
まなざしは ....

目が覚めるたびにひとつの果実がつぶれる
一面に広がる光の前で
目を閉じることができない
生まれたままの姿で
死ぬことのできない光たち
僕が主食にする甘い果実をつぶしていく光たち
生死 ....
封筒の右端に犬小屋を建てました。
赤いペンキで塗りました。
そこで手紙を書きました。
とても短い鉛筆で。

さいしょに友達の名前を書きました。
つぎに夜のあいさつをしました。
あたらしい ....
高層窓には

飼い馴らされた
セレモニー



夜毎
あどけない肯定が
滑らかになる

背筋は
かたいまま



柔らかな囲いは
重たくなって

屋上 ....
月の舟に乗って
子供たちは夜を往く

魔法の絨毯
空飛ぶ木馬

月明かりに照らされて
夢を喰らい
子供たちは夜を往く

月の舟に揺られて
夜はそっと更けて行く

月の舟に乗っ ....
プロペラは淡くめぐり
煙を追い出す、雑木林に目をやると
(野良犬にこじ開けられた)
トタン塀の隙間から人影のような雑草が
生えていて
風が吹くと意味もなく揺れる。くすんだ
ビニールのコルセ ....
実家にはいま父と母が住んでいて、いまは、黒い子犬も住んでいる。
母が名付けた、「宝籤」という意味の名前を呼ぶと、尻尾と耳をすこしふって転げてくる。それも、この二週間でずい分としっかりした。
宝 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海の四月- 佐東自由詩8*13-4-4
風を編む。- 佐東自由詩3*13-4-3
少女は桜並木を- 未有花自由詩15*13-4-3
向こう側の人- うみこ自由詩5*13-4-1
窓辺の人- 塔野夏子自由詩6*13-3-25
- 赤青黄自由詩2*13-3-21
フラウ_No.1_〜How_about_you?〜- 破片(は ...自由詩4*13-3-21
- 草野春心自由詩9*13-3-19
鳥たちはいつも永遠へ向いて鳴く- 動坂昇自由詩513-3-18
海に捧げる四つの断章- 赤青黄自由詩4*13-3-12
春愁- yo-yo自由詩413-3-11
幻影(まぼろし)- 未有花自由詩7*13-3-2
半島の午後を- 梅昆布茶自由詩18*13-2-17
ふるえる- 岡部淳太 ...自由詩513-2-17
比喩- ソリッド ...自由詩4+*13-2-9
【五つ】- るか自由詩113-2-8
内陸- アオゾラ ...自由詩713-2-8
粉雪のリフレイン- 未有花自由詩10*13-2-4
背骨が浮いている- 水川史生自由詩213-2-3
いくつもの永遠/椅子- はるな自由詩513-1-26
てのなるほうへ- 小夜自由詩413-1-26
付箋- knit自由詩613-1-9
Flowers_〜冬〜- 未有花短歌10*13-1-7
風光- こしごえ自由詩5*13-1-1
不眠- 葉leaf自由詩312-12-29
ジョン、より。- かいぶつ自由詩3312-12-14
つややかリップ- 千波 一 ...自由詩5*12-12-12
月の舟に乗って- 未有花自由詩12*12-12-3
:detour- プテラノ ...自由詩712-11-18
犬のこと- はるな散文(批評 ...512-11-16

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