私がふたごだったとき
ずっと森で暮らしてた
ふたりおそろいの服を着て
毎晩同じベッドで夢を貪りあった
ふたり一緒にいること
それが当たり前の世界だった

私がふたごだったとき
世界はひ ....
―台風が通りを真っ直ぐに染め上げる
 今日起こったことはもう昨日に飛ばされて今日じゃなかったみたい

すこしずつ記憶が混濁し始める
それぞれのわたし いくつかのわたしの死
分裂して  ....
基礎を崩すと  雪崩落ちてしまうようだ
君の にわかに始まる劇中劇に
恐れおののく夕暮れ
掃ききった残骸をビニールに
いつもどおりの蝶蝶結び
『あれが僕』君の語る君なりのシャイニング ....
ばくだんの解体
まるで私の心をいじくりまわして
夜空の花火になるのに似ている
そしてあるいはハイウェイ
灰色の街の一本道を
バイクのように飛ばす鼓動
棘のある私の心
もう少しロマンチック ....
空のどこかに 始まりと終わりがあるのか
いつまでも一日が終わらない ぼくたちの
浮遊する魂の 影を見失うころ
すべてのかげが消えて そこから
すべてのかげが あたらしく生まれる


幾夜 ....
わたし
蝉の脱け殻を着て雨を凌ぐ
小さな鳥になって、
探す
虫入り琥珀のえいえん。

跳ね上がった水の群れ
地面に海面に雨粒
幾万幾億個もっと、もっとだったから
よろよろと力なく流れ ....
あなたが始めたわたしを
あなたが終わらせてくれる。と
どこかわかっているわたしの夜は
静かだ


夏よ、あなたが
夜に満ちているよ
夜にこそ誰にも触れられずに
(ひそ ....
マラカイト・グリーンの風を追い越して
夏の扉を開けようと私は急ぐ
白い教会を通り過ぎ
聞こえる賛美歌に心はずませて
私は急ぐ 風に追い越されないように
向日葵の花の中で
白い蝶たちが私をせ ....
朝という朝の綴じ目があいて
空が少しずつ明度をあげていく
鳥と電線と鳥と蟻たちと
まだ鳴き声はない蝉としかいない

ウォー

アイニー

声には振り向くこともなく開き続け ....
言葉はなく、光
それは
すべての
不能、わたしの夜よりもきみの
夜が、より存在する
ように、もうそこでは
何も見ることが
できないように、何もすることが
できないように、言葉は ....
点と点をつないで
海岸を無数の貝殻を踏んで歩く

やがて落ちるだけの


大きな

*
点と点をつないで
星座をつくるように窓の外
どこにもない
ただ落ちるだけの
硝子板
 ....
「心で書かれた詩」という言葉を話すとき、藤井わらびさんの『むらさきの海』を外
すことはできません。

外すことのできない理由は、連動していることです。
連動しているのは、彼女の考えていることと ....
夏休み前の教室で
ぼんやり先生の授業を聞いていた

教室の窓の外では
アブラゼミがうるさいくらいに鳴いていて
授業に集中できない僕の頭の中を
これでもかというほど占領していた

ジージ ....
 雨が葉に、チラチラ揺れ動かす

 うすきみわるい湿気は懐かしいような

 植物の膨張気配で。

 
 朝、アナタに会いたいと鳥は鳴いている
 アナタというのはもっ ....
雨が降る
丘に埋められた木の実の底に
たゆたう森を燃やすために

ほつれた右目から
麦の穂がゆれる
ぼろぼろの人形をくわえて
金網をくぐる裸の猫に
背中にゆれる麦畑に

ちぎれた腕 ....
*

ゆめの形をたどって
かくある という言葉を
隠しておく

あなた

小さくうなずくのは
あなたではなく

*

空間を触る


*



*

おお ....
その前に決められていた雨上がり言葉をひとつ少女は知った

ひそやかに水は逆流していると富を嫌った国語教師は

ペンギンと乗れば寂しい 24時25分に出る終電車

いましがた呼び合いました。 ....
密生している高木が
お辞儀をしているのでした
すると明るい時間に立つのは
随分とひさしぶりだと解ります

きらきらと光りに靡いている
真っさらな仮面をつけている
その地獄のやうな風が ....
僕たちは行進する
雨と雨と雨の合間を
かなしみの残る青空に
バシュポン
圧縮した空気は開放され
白い弾丸は
砲の初速を逃れた彼方で
小さな羽を広げる

あの
遥か積乱雲と日輪草の
 ....
大好きなあなたと
笑顔をともに重ねたい
陽の見えない換気窓から
影とほんのり外界の時を伝える



枝豆をパチン・パチン
鋏でとってゆく
土のにおいが
なぜか懐かしく
ゆらめい ....
シグナルを待つ間
雨の音ばかり聞いていた
せつなさが押し寄せて
あわててアクセルを踏めば
頬を伝わる涙に気付く

外はサイレントレイン
あなたの声も聞こえない
まるで逃げるように車を飛 ....
突然のことを「風」と名付けた
まだ受け身を覚えてもいない
優しい、と言われるほどに優しくはなく
平均化された僕らは、どこにでもあった

人がいなくなって初めての夏はとて、も暑かった
ぶら下 ....
あなたの胸に
耳をあてたら
はじめての音楽


街の魔物に
惑わされずに
ゆるやかに流る


とうめいの
とうめいを

何と呼べば
何と呼べば

とうめいの
 ....
僕の知らない過去と
わたしたちの未来に
長く伸びる辻占の影
いつもの帰り道には
いつも違う待ち人が
真っ赤な花を散らす
嘘つきなあなたの頬
なのに ぎこちない
まなざしは いつも
ほ ....
かもめが旋回する、その
時間、いかなる
記憶もなく、きみは
目を覚ました、朝
くだけていった、多くの
もの
窓ガラス滴る雫数えては不実な愛を嘆き悲しむ

雨の中傘もささずに飛び出せば君に出会えるそんな気がした

レインボウ追いかけて行くよどこまでもいつか君にたどり着くまで

紫陽花の冷たい青は君 ....
扉が
壁になった
観音開きの合わせ目には一ミリの窪みもなく
錠前も、蝶番もなく
光も、ざわめきも、向こう側の気配はなく
ひた駆けてきたあなたの
汗と、一千万秒が
消散した その静寂で
 ....
庭先に佇んでいたものたちのことも
雨宿りをした六月のことも
匂い立つ土や
おまえの首すじ
おまえの乳房がしなだれてゆく午後には
もう振り返ることができない

36度5分の雨が
37度5 ....
婚姻するハツカネズミの
店先の行列を
にこにことながめている
クリーニング屋のむすめが

やわらかく透過する
窓辺の
病院の待合室で
おんなのこが
アン・ドゥ・トロワ、アン・ ....
あれは馬だよ
あの、大きな生きものは
教科書にあったとおりだ
はやく駆けるそうだ


背中には、古い古い文字があって
誰も読めないのだけど
そこを撫でると
ぶふふう
と鳴くそうだ
馬とはそういうものな ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4554)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
私がふたごだったとき- 未有花自由詩24*09-9-3
台風一家- カナシミ ...自由詩209-9-1
治癒- ogawa hana自由詩309-8-19
ばくだんの解体- 未有花自由詩14*09-8-18
星の命名- yo-yo自由詩8*09-8-15
軸のうえでは/右矢印- 佐藤真夏自由詩4*09-8-12
甲虫の沈黙- A道化自由詩709-8-8
マラカイト・グリーンの風を追い越して_−サナトリウムへー- 未有花自由詩11*09-8-5
アイニー- あすくれ ...自由詩8*09-7-26
より存在するように- こもん自由詩609-7-22
点と点- 佐藤伊織自由詩109-7-19
心が運動している詩集_藤井わらび『むらさきの海』- イダヅカ ...散文(批評 ...309-7-17
夏の魔法- 未有花自由詩23*09-7-15
雨と食事- ヨルノテ ...自由詩409-7-15
ロアン- 氷水蒸流自由詩809-7-11
三唱- 佐藤伊織自由詩1*09-7-11
雨の構造- 中山うる短歌209-7-7
可変の風- 長押 新自由詩109-7-6
鳩砲- 佐野権太自由詩27*09-7-2
残照- 唐草フウ自由詩5*09-7-1
サイレントレイン- 未有花自由詩11*09-7-1
雲梯- 霜天自由詩509-6-25
すきと_るるる- 青の詩人自由詩109-6-21
まなざし- フクスケ自由詩209-6-18
かもめが旋回する、その時間- こもん自由詩409-6-12
六月の恋- 未有花短歌14*09-6-9
春の終わり- 伊月りさ自由詩16*09-6-9
_- 石黒自由詩809-6-7
波紋のように広がってゆく- mizu K自由詩7*09-6-5
馬とは- kawa自由詩309-5-31

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