かかとが脱げちゃう
つま先が脱げちゃう
溶けそうな足の付け根
そっと触れてみたんだよ
小指が脱げちゃう
親指が脱げちゃう
ほんのりカラメルいいにおい
外で野良猫鳴いてるよ
....
草のしないだ後が 私の靴後
手の中にある と思うものだけ
鍵だから いつまでも開かない
ふさぐ風だけ 私を知ってる
つぶれない 心の輪 とじない宇宙
弾く ひくく
触れさせ ....
あひる
醜いあひるの子は
永遠に醜いままだ
白鳥になんてなれない
なのに誰もそれを口に出したりは
しない
ねこ
ねこのかお
よく見なくても、 ....
ナイチンゲール
あの人のためなら
ナイチンゲール
命など惜しくは無いわ
あの人に出会って心震えたの
高鳴る思いに初めて
人を愛すること知ったのよ
もしもあなたが望むなら
この胸 ....
指先で爪
らしい
爪 らしく
きちり
、血のうずく)。不安定な水晶時計(、
の公転にはなじまないけれど
今日のような雨天では
暗雲にさらされて
爪を)紅くぬる
さっと泳ぐのは ....
春のおだやかな日溜りの中
土のにおいがわかりますか
春の息吹で
緑の香りに隠れた
土のにおいがわかりますか
あなたが今
しあわせを感じずに
春をむかえているのなら
この土のにお ....
落日の音がした
ごとりと 夜の底を叩いて
日の落ちる音が響いた
繰り返す目覚めに溜息して
むせ返る生活の臭いに眉を寄せた
「しあわせをきめるのはだれ?」
加 ....
夏の終わりの河原は
餌付けされて、もはや野生とは呼べない鴨たちの
小競り合いを眺める人、も まばらで
あなたは
鴨と
餌をまくジャージ姿の老人を眺めて
微笑んでいた
すこし曲がったそ ....
この世に生まれたときから
自分という列車が動き出す
時間というレールの上を
一秒ごとに走り続ける
過去は思い出
振り返ることはできても
戻ることは許されない
未来は追いつけ ....
ハニーカム
あなたは先に行って待ってて
甘い桜の薫るあの大きな木の横で
ハニーカム
これは小さな幸せの呪文
擦り減ったスニーカー
石ころを蹴飛ばして明日に辿りつけたらいい
私 ....
わたしたちはみんな
従軍慰安婦という
福利厚生とかみたいな匂いがする
こぎれいな肩書きをつけて
さらってきたおんなこどもを犯すような
そんな生き物と同じDNA構造の生き物です
だか ....
生暖かな風が吹き抜けてゆく
ようやく緑の穂をつけた
オーチャード・グラスが
ざわざわとざわめく
雨が降る
雲はまだ薄く
北の空には光が残っている
ふいに、蕗の葉が大きく翻って
....
耳奥で焼き増しされたセミの音が我を迷宮入りにしている
デフレーション起こす八月森の血は居眠り空は高く冷えゆく
ヒグラシのサイレン、夜の上澄みに震えて詩集をよむ手も止 ....
どこかが ほつれているんだけど
見えない のは きっと
背中のあたりだから と 思う
(ハンスが)堤防の割れ目に腕を突っ込もうとしても
割れ目が見えないのはきっと 割れ目が
表面じゃなく ....
今夜
熱を吸い取った風がするりと逃げていくね
もうすぐやわらかくて軽い布が
肌を覆い隠す季節
そうして、君のためだけに体を磨くよ
そうして、こっそりと見つかってしまっ ....
葡萄の葉陰に{ルビ抱=いだ}かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました
花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました
高い空
すうと流れる
赤 ....
まだ青き紅葉の枝に止まり来る
秋はまだかと茶色い蜻蛉
夏らしい暑さも過ぎた昼下がり
石に腰かけ秋が流れる
その風に誘われたのかまた空へ
どこへ行くのか茶色い蜻蛉
吸われゆく雲の形は秋の ....
森の出入りは
神秘のベールに包まれてゐて
だれがその中に入つたかなど
識別できるものではない
少女が森に吸はれてゆく
光と闇の二極が
あまりにも霊妙に
相和してゐる扉を押 ....
秋の風の宙へ
何処か遠い指のピアノが示す
美しい階段を、わたしの指は
駆け上がることが出来ず
小さく折った、愛しくて、
そうね、耳があればピアノは聞ける、けれど、
つたない ....
輝くものはいつも
はるか遠くに置かれる
届かないとわかっていても
暗闇の中で
求めてしまう
温もりのない光とわかっていても
そこで燃えているものを知っている
そして永遠を誓ったりする ....
溢れるほど、満ち足りた言葉に、埋め尽くされて、
わたしは、天空を飛翔する鳥のように、
爽やかなひかりの音階の裾野に舞い降りる。
花々は寄り添い、一面を、湿潤な色香の帯を輝かせて、
痩せ ....
ビルの20階から見渡す
大阪、18時25分
真っ黒な夜が街中を包み込んでいて
環状線を走る赤いテールランプの群れは
終わりのない葬列の円環
あの光のひとつひとつが
同じ数か
それ ....
大きな木の下に置かれた
ベンチに腰かけたまま
静かに目を閉じる
大きな木の大きな葉が
サワサワと揺れ
その呼吸に自分の鼓動が合い
いつしかまどろむ
夢の中で
自分が何かを探して ....
都会の夜に出る月は
ひんやり冷たいムーンライト
街角に漂うほのかな香り
そして誰かのひとり言
街の明かりに人影ひとつ
後ろの正面だあれ!
目隠しをして逃げたのはだあれ
ひちりぼっちの影と ....
みづうみは傷ついた渡り鳥の
保養所
三日も水に浮かんでゐれば
癒しは全身に及び
いざ
出立の羽搏き
あがる飛沫の半ばは
鳥の離別のかなしみ
みづうみは
....
喪服の婦人が森から出てくる
入れ替はりに
首うなだれて一羽の鶴が
森へ吸ひ込まれる
霧たちこめて
婦人も鶴も胸まで霞んで
二者はどこで擦れ違つたのだらうか
ともにもういづこに ....
遠くの月と
近くの猫
しなやかな背を撫で
月の色した目を眺め
そして少しのお酒を飲む
幾枚かの{ルビ花弁=はなびら}が舞い落ちる
淡い光のあふれるいつかの場所で
あの日の君は
椅子に腰かけ本を読みながら待っている
いたずらに
渡した紙切れの恋文に
羽ばたく鳥の ....
小さな幸せ
たとえばいつもの道に
花が咲いている
その花の名前はわからないけれど
小さな幸せ
たとえば道を聞かれ
教えてあげたら
「ありがとう」と言われた
その人の名前はわからない ....
さみしく囁く
そっと静かに
夜は
流れる
川面には
風
さよなら言葉
これから二度と
言わない
好きだとか
嫌いだとか
忘れてしまえ
昨日も今日も
明日も未来も
全 ....
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