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満天のこの空には名をつけない
億光年の果てに焦がれる名を
風の音かなしさ遠くここに僕
百億年分からず君に会いたい
巨大な質量と速度でどこへ?
静止して ....
蜃気楼の港に棲む体毛薄き猿
鍬を捨てる恥じらうほど山が近い
水面に枝吸う葉また葉の降る音
遠方のドアノックするシャボン玉
花の籠実は籠売る籠売りも籠
造天の深みに澱む書の ....
一説には窓である茎暮れだす町
うつむけば夜の野原ひとり歩く誰
消えねば風鳴る 消えても風になるばかり
足首しか見えぬ石段からコップ
鏡からせり出す背中森に行きたい
塩の塊 ....
瓦礫と郵便ポスト白く白く輸入
歩み寄る 影で谷底汚すべく
伝え聞く神話の沖にブイひとつ
島に立ち残像から残像見下ろす
和紙の空二重に見え足首から見た
まだプールに飛び込む ....
四角い仕切りから踊ったままの少女サークルへ
供物の書開く度開く音疼く疼く寺院
接続部位死ねば友の思考に割り込む糧
湿布の群が河となり流れる岩沿い
市が粒に見える坂の天辺から粒
....
心臓の裏から散る紙吹雪赤
時差で今発煙筒を挙げている
刺した画鋲の並行世界で画鋲抜く
引き裂く手の感覚思う丘の上
人魂がある草原はずっと青
何を思えば月のように浮かんでい ....
欺く地図逆さにし折る鶴の形に
光る雲なんか見たことない黒い水の排出
やまくさかんむりさんずいへんひとはしらはし
町並みを星が遮ることもある
渦なれどなぞるには感覚を要する
....
頬を伝うスペードの影月光浴びて
滝のそばで膨らむぬいぐるみの静けさ
想像上入り組んでいる鯨は筒
生まれ変わる前に貸した三輪車でやって来た
髪を外に垂らす日の夜の長い髪
船 ....
麓浮上懐の時計二時を過ぎ
性を秘めてシスターなにかの水を撒く
冷蔵庫の側面ふと息つきトマト揺れる
線路錆びて夜の街濡れているという
建設途中のロビーで次の語り手待つ
妻は ....
蒸発した母のかわりに満ちる月
懐かしい向日葵の微笑返してよ月!
正しい人間のはずが砂の温もり
蛍光灯割れるたびにうたううた
若葉のような生きる意味があったなら
....
ベニヤ板敷き詰めても敷き詰めても虹
脈絡あり命に別条空に船
囲まれて災禍に値する喝采
庭園中に仏壇ひらく昼下がり
目に見えぬうたになり推し量られる
極度に簡素化されて棒に ....
杖で次の間に導かれた煙と同席
みずからすいと立ちあがり山へ みずを張りに
岸辺の壁椅子で殴り第三の破片
折れるまで陸も日照りも続きます
コーヒー垂れるグラスにバザーの犇めきある ....
先代よこころに蔦が下りてきた
門番見られていることに気付き互い違いの塀
火を焚く婦人会 屋上に別の一団
苦闘の末つかんだ藁 海がそこまで
林に風ガスコンロの火力と左右
通 ....
君の左胸に棲むような美しい臓器になりたい
カップラーメンに朝日差し込めばきっと天使の死期も近い
冥王星なくなり平穏に過ごす日々
まさか虫歯にチェンバロが効くとは
....
息止めてトランペットを組み立てる
菜を並べるまっすぐ雨になるように
遠くのビルを飛び降りる無数のドミノ
日没に窓砕かれ見え出す透明街
誰彼の名前叫んでねじまく熱
鮮やかに ....
来賓は枝を内蔵したカナリア
倒れた門の影が立って入口
電報打つ行方不明者の虚ろなバリトン
雪塊囲む石 消えゆく 一時間毎に
無心の蔓の侵入百年間許す
ペガサスの腹筋白く雲 ....
この街を見上げるいつかを歩いている
夕焼けを毛布に焼き付けて夜の火
ハンカチ横切る誰かの頭上を傘で愛す
全ての弦こともなげに切れ黒い目のヴァイオリニスト
星雲を気配として佇む地 ....
綿眺めて暮らす明くる日も明くる日も朧
不慮の隣人また白黒に配信され
キリツキリツと鳥が鳴き針だらけの天井
米量る音血の減る音が手をつたう
動力装置をちぎる人形たましい見えて
....
からっぽの川に背中と角が見え
致死量の置き絵またの名を個展
扇子に隠れる微笑と極北の流刑地
痩せ細る身で貫く廊下のスープ冷える
見たことあるよこの火事このあと親が死ぬんだ
....
くすむ孤児院の支柱誰かである時間
鉄吹雪やんでくれ動悸がとまらない
かんむり授かる牙 まみどりからやりなおし
目が冴えて月光よりも静かな猿
もう末代本能寺から髪の傷み
草 ....
きのうのじぶんと重なりにゆく彼岸まで
落ちた空の木片踏んであげる悲鳴
そんなに脇腹を痛めなくてもいいよお別れだ
旅の終わりより先に鳥居見えてくぐる
過去へ戻る ゼロはもう閉じて ....
フードに雨ふりくるしくなる息
手の鳴る方へゆけば故郷が遠ざかる
草の燭台と書けば美しき火災
帽子肩にかけ競技場に頭部もちよる
血の気引く手あまたといえようツンドラ地帯
夜 ....
鳴かぬなら 私が鳴こう ほととぎす