波に揺られど 私は私

   見分けのつかぬ たった一粒の砂だとしても
あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?

羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった

まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで
 ....
『ねえ』

世の中矛盾だらけだよって
背伸びのつもりで言ってみた


『歌姫』

ららら
ずっと歌うよ
そのぼやけた孤独にある
君の輪郭を撫でるため


『灰色』
 ....
暮れかかる
陽の手は伸びて
居ならぶ雲を
染めあげる
夜の扉をひらくため
灯された
あかりのように

瞬き、
という行為の
間に間に見える
人と人を結ぶ
曖昧な影
「優しさ」 ....
あなたはためすように
月を詠むのです
椿の花が落ちる夜に
闇から色を分かてるのか
ためすように
あなたは月を詠むのです

くれなゐは
いつぞの契り
くれなゐは
今わにみ ....
水が流れる
水車が回る
水が回る
僕は僕の血液で回る

風が吹く
風車が回る
風が回る
僕は僕の呼吸で回る

陽が昇る
地球が回る
陽が回る
僕は僕の意志で回る

星が輝 ....
昼下がり
雲がぼやぼや流れている

ハラピンが道を歩いてきた
ぼーとしながらふらふらしている
俺を見ると
ダッシュでやってきた

汗でふにゃふにゃした原稿用紙を押し付けてきた

読 ....
おかもと君は
わたしの初めての人に
なってもいいと思ってたのに
夢ばかり語って
てんこーして行ってしまった
手紙を書くよと言ったきり
年賀状もこなかった

おかもと君の夢は
とほうも ....
電車が動き出す
もうすぐ地下を抜け
地上にでる
在るはずも無い風景
白い曇り日
多摩あたりに向かう
神社や商店街
見慣れた居酒屋
風の匂い
空気の湿度

ガタン

風景が一つ ....

夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える


朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....
居酒屋で取り残されたマフラー

その日は至極寒い夜で

私は誰かの温もりに触れたかった。

そのまま、ぎゅっと抱きしめて

私はそのマフラーと一緒になった。

俺のマフラー

 ....
{ルビ梔子=くちなし}の満開の下へは
決して近寄ってはいけない



『クチナシの木の満開の下』




子が出来ぬ
という理由で離縁された女は
梔子の花しか食べられなくなった ....
空を揺らす鳴き声で
集まる黒い影に曲がる
夜は満開の花ばかりになる枝の拒絶も
なかったことにしてください
ささやかな群れでも 追われていく高さ
根こそぎの木の道連れた土が
染みこもうとする ....
えのぐのあじがする
と、遠ざけられた皿には
白いドレッシングのかかった
シーザーサラダが
盛られたかたちのままだ
野菜も食べないと大きくなれません
と云われて
娘はふくれている


 ....
外は春を告げる雨が降り出したので
虫屋さんで雨宿りをした
煙草の煙はたちまちに水の向こうへ消えてった
虫屋さんは黙って雨粒を数えていた

外は夏を告げる雨が降り出したので
どの部のかわから ....
私の想いは届かない
どんなに胸を焦がしても
あなたは私に気付かない

あなたの前を行ったり来たり
私は哀れな{ルビ自動人形=オートマタ}
涙さえも流せずに
くるくる踊る道化者


 ....
今日も箪笥に突っ立って
かんがえごと
目玉に電灯が焼き付いた
心は未だに
無味乾燥
白く硬い肌を持つ
針葉樹林に囲まれて
上を見上げれば
満天の星空
一つ一つの星から放たれる光線が
私の体を貫通する
体は八つ裂きにされて
はらはらと宙を舞い
落ち葉と同化する
静けさ ....
はがきをかってきてください
かわむこうのおみせにたちよって
はがきをいちまいかってきてください
呪文のような声がして
我に返る

誰もいなくなった
午後の大通りには
牛車がのろ ....
生まれてはじめての雪に
子どもは小さな手を伸ばす
白い雪花をつかもうとする

指を開いても花はどこにもない
黒々とした丸い目が
さらに丸くなる

降る雪を
つかんではひらき、ひらいて ....
複雑な感情を うまく説明できないんだ
名前のない衝動や 感覚が幾つも絡み合って 

本当は自分でも まったく解ってないんだ
難解なコトバ並べて それらしく それらしく

  う ....
宝石を散りばめたような闇
この世で一番大きい水溜り

そこには彼らがいることが
絶対であって
世界の暗黙の了解であった

でも
時にはその場から消えたい

訴えているのを
私は ....
風は暗がりから吹く
私の影は滴りつづける

誰も居ない
かつて誰かが居たかもしれない
そのわずかな痕跡も
とうの昔に温度を失い

記憶を失い

頭上には黒い星座たち

ただ脳裏 ....
角を曲がると
小学校
目の前に
小さな文房具店
信号が変わるのがいつも遅い
大きな道路への抜け道
自転車も足早に過ぎ去る
空は青く
遠い
いくつもの別れ道
何度も間違った
家に帰 ....
{引用=よだか、かあいそうよう
かわうそうよう}

四歳のわたしは協会で泣いた
よだかを想って泣いた
かあさまが牧師様に頂いた絵本を
わたしは涙でくしゃくしゃにしてしまった

十八歳は ....
荻窪の町には昔ながらの駄菓子屋がまだあり
自分の足音がちゃぁんと聞こえてくるのです
ゆっくり道端の雑草や花に目を向けたり
空を音もなく区切る電線に止まるすずめを数えたり
荻窪の町には年老いた夫 ....
私は時々
雑踏の中へと
足を運びます

人々の声と
足音と
それらのざわめきから
あなたのささやきが
生まれてくるようで

太陽の熱で
大地から水蒸気が昇り
その粒は集まって雲 ....
それはなにもない

深い溝の底に ひとり

夜の国の兵士が闇色の

滾々と注がれてゆく若さの中で

ぽつんと座っていました

小さく切り取られた夜空を見上げると

この夜の三日 ....
月のしずかを詠むほどに

月を
寡黙に封じ込む


 聴きそびれていたかも知れない
 のに

 細い肩には雲をのせ
 風をたよりに
 風さえも
 去り


物云わ ....
水道の蛇口を軽く捻ると
中から水がポタポタ流れ出てくる
「それは涙だ」
と誰かが呟いた
言われなくても分かっている
これは涙だ

それは音を立てて溜まっていく
洗面器の上の鏡に男が映っ ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4552)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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僕は僕の夢で回る- ぽえむ君自由詩15*07-1-16
雲はぼやぼや- ふるる自由詩14+*07-1-16
おかもと君の夢- ふぁんバ ...自由詩35+*07-1-16
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ファミリーレストラン- 佐野権太自由詩36*07-1-15
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夜鷹- 士狼(銀)自由詩7*07-1-13
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三日月の詩- 相馬四弦自由詩2*07-1-12
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