老人たちの寝息が 午後を 静かに揺らす 時折 
声にならない声が 響いてくる 痩せた腕で
眠らない彼女は 本を 差し出す

名前を呼んで 
私の名前
忘れえないでいるものを

彼女の眼 ....
ひらり、と
スカートがひるがえる
木枯らしだろうが
春一番だろうが
関係なく
吹く風にあわせ
ひらひらと、揺れる

その頼りなさが苦手だった
ひらひらと、揺れる
その頼りなさでは
 ....
どこかに風がふいている

耳を澄まして
あなたは言った。
ほら、あの渓谷の流れに
風がほほえんでいる。

私たちの幸せは
どこかに眠っている

登り道ばかりつづくとき
あなたは言 ....
  停止線を越えたぼくの感情のかたまりが
  きみの言葉で編まれたハンモックに絡め取られた
  ぼくが自分の臆病さを知る頃にはすでに
  第二の呟きが世界の水面に波紋を描く



 ....
    


好きだよ 君の言葉が空っぽの心を満たしていく
でも間に合わない
この乾ききった星は潤うはずの心を何処までも吸収し還元する
サイクルが足りない
駆け足で通り過ぎる日常を横目に ....
静かな水面を犯す
色あせた小船
風に運ばれ
流れ

中ほどで止まり
つっと少女が生え

東雲の空を仰ぎ
湖に
か細い背を預け
ざばん


透明なほのお飛び散り
幾多の波紋 ....
心臓の裏から散る紙吹雪赤

時差で今発煙筒を挙げている

刺した画鋲の並行世界で画鋲抜く

引き裂く手の感覚思う丘の上

人魂がある草原はずっと青

何を思えば月のように浮かんでい ....
雪の日は
音がしなくなる
そうしていつのまにか
幼い頃に戻ってる
いつもうちに帰りたくて
どこへ行っても泣いてばかりいた
お母さんが大好きで
世界は
まだ白くて
君の親指と僕の親指が身を寄せ合う
床をスレスレに蝶が飛ぶ
窓に張りつけた五本の指が解かれるまでは
外の世界はその手の中に

薄い壁に挟まれた僕らはヒソヒソ話す
水槽の中の金魚が誰か ....
どこまでも続くかのような
朱に覆われた道を歩み進むうち
母の胎内から生まれいずるような
新しく生まれ直せるような
そんな心持ちになりましたが

かあさん

一度 生まれたわたし は
 ....
{引用=クリスマススター
どうかあの子を助けて
クリスマススター
炎ですべてを燃やして
クリスマススター
クリスマススター
この聖なる夜に 神様!}

雪の降る寒い夜
あの子は裸足で ....
(夕火の)
雨がふっている
多分、あの崖に植わっていた木の枝
くすぶっていた赤や黄は

ゆうやけが
いや葉っぱが
お互いを見ながら
しばらくのまどろみを
一日のしめくくりを
見つめ ....
私はある国際犯罪組織の一員である
バスで移動中、バスから転落し、組織のリハビリセンターで
再起を賭けた治療を受けていた

「えらく簡単に完治しましたね」

若くて美人だがその物言い、しぐさ ....
太いがそれだけの腕である
誰かがしがみついた腕である
ふたつ浸ければ
たいそうお湯のあふれる
腕である
  それは光のなかに
  夕暮れどきの街灯にある
  一〇〇円ライターの炎のなかに
  乱反射する水面にある
  やさしい気持ちが消えないように
  祈り続ける心の奥に



 ....
暗くない人生なんて嘘だ
もはや
明るい夜ばかりじゃないか
泣かない赤ん坊のように
日常は霞んでいる

急行電車は
一種の共同墓地だ
それは鉛が割れたように扉を開き
音のない夕暮れを連 ....
ぼくが遅れてきたからね
君のことが見つからなくても
しかたのないことなんだ

いつも遅れてしまう
バスにも試験にも
日焼けしたり、泣いたりするのも
少しだけみんなより後で
時計やカレン ....
在る様に見えた向かいのプラットホームに
止まる列車ばかりを待っていた

落ちかけた陽に照らされ
辺りの羽虫も塵も金色に飛び交う中
次第に此処へと近づく車輪の音を聴いていた

けれどそれは ....
裸のはずが
あなたの手のひらで再び
脱がされる
シーツ
ではなくテーブルクロスの上で
たなごころを探られ
そして
入口は見つけられていた

酔いざましの道のりは
選ばれることを好ま ....
蹈鞴川

それが、何処の、監獄の壁から吹きつけてくる風なのか、
匂いなのか、鉞の一閃なのか、夢は深海の泥土に塗り潰されていて、
傷のように甘い、一瞬の移ろいをへて、妹が何度でも私の、
 ....
そう、あんなところを抜けてゆくんだ。
寝ぼけた猫に道を訊いたってだめだよ、
古いゴミ箱の脇にいるちっぽけな蜘蛛、
テレビの後ろの埃にまみれたカマドウマ、
そんなやつらだって実は道を知らないんだ ....
 
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
 
あなたの空を見せて
それがどこまでも続くことを
教えるように
 
 
私に映るあなたが
限りなく、あなたに
 ....
小さな啄木鳥が
枝のむこうに
隠れて鳴いている
霜に白く
苔に覆われた墓石の上に
戯れる小栗鼠

韜晦する記憶のメレンゲ
青い雫

仄かに紅く冷たく
かじかんだ ....
ぼちぼち夜空も透明になってゆく
そんなことを考えながら歩く
田舎の道は
陽射しの衰えを感じさせない。
秋風に道を失ったのではない
私はただコスモス咲くなかを
君を訪ねるのだ。
コスモスと ....
真っ白い画用紙に
夢を描くな
人物を描くな
風景を描け
風景を描けば
人物は自然と生まれてくる
夢を見るのは貴方じゃない
夢を見るのは 絵の中の人物だ

人物が歩くと
風景は加速す ....
夏の朝
朝顔が咲いている
なぜ咲いているのか?
それを完璧に説明することが
できないように
冬の夜
雪が降っている
その向こうにいつも
待ち焦がれるあなたがいる
なぜいるのか? ....
冬の夕暮れは早い
福岡でも

5時を過ぎれば
西鉄ストアーの前は女たちでざわめく
自転車で
徒歩で
女たちがやって来る
バスからも降りてくる

たまに
おっさんもいるけど
ほと ....
『鼻を失敗したの』
『だから自殺するの』
吊り革を握る手に力が入る。私は、隣りに立つ女が手に持ってゐる、携帯電話の液晶画面を盗み見てゐた。
『目はうまくいったんだけど』
女の髪は長く、俯いてゐ ....
ひかりの葬列のような夕暮れに沈む、
クラチャニツァ修道院のベンチに凭れる、
白いスカーフの女の胸が艶めかしく見えた。
捲り上げられた白い腿は、悲しげにも見えた。

わたしの少し疲れた掌のなか ....
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だっ ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
名前- kaori*自由詩9*07-12-23
スカート- 亜樹自由詩507-12-22
どこかに・・・・- 草野大悟自由詩507-12-22
つまずき- 草野春心自由詩807-12-22
なだれ- 川口 掌自由詩7*07-12-21
湖にロボット- ふるる自由詩9+*07-12-21
受動パラレル- 黒川排除 ...川柳607-12-20
雪の日- チアーヌ自由詩407-12-20
「密室」- 菊尾自由詩2*07-12-20
千本鳥居- 明楽自由詩407-12-20
クリスマススター- 未有花自由詩8*07-12-20
夕葉- 唐草フウ自由詩8*07-12-20
- A-29自由詩2*07-12-20
- A-29自由詩3*07-12-20
かなしみについて- 草野春心自由詩807-12-19
海の音- だいたば ...自由詩207-12-19
ぼくが遅れてきたからね- 佐野みお自由詩407-12-18
落陽- 松本 涼自由詩707-12-17
たなごころ- よしおか ...自由詩4*07-12-17
蹈鞴川- るか自由詩707-12-17
井のなかの- 佐々宝砂自由詩207-12-16
あなたという、- 山中 烏 ...自由詩507-12-16
ふゆのレモン- shu自由詩1207-12-15
十月_コスモス- 音阿弥花 ...自由詩2*07-12-15
真っ白い画用紙に- 狩心自由詩6*07-12-13
なぜ?- 小川 葉自由詩107-12-13
夕暮れ- A-29自由詩1*07-12-13
整形手術- 三州生桑未詩・独白407-12-12
十二月の手紙______デッサン- 前田ふむ ...自由詩23*07-12-12
窓ガラス- たもつ自由詩1207-12-12

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152