昔 ともがいた 。圓い瞳が印象的な 黒い髪が 印象的な うつくしいこだった 。 彼女はわたしを 先輩 と呼んだ 。彼女は うつくしい こだった 。 彼女は わたしを 先輩と呼んだ 。   
 あのひとは淡いきみどりに似ていた

 ひどくひどくつきおとすような感覚にまみれている
 しんそこ愉快そうなわらいごえは
 不似合いすぎて、なきそうだよ
 いつでもどこでもやさしいひと ....
蝉の羽根は綺麗だね
落葉樹が真冬に
枝に張った
シャボンの虹色だ

大人になりたかったかい
ほんとうはずっと
いごこちの良いこの樹の根元で
ずっとずっと、すごしたかったろう

 ....
休日の静かな午後 
図書館で借りた
図録の頁を{ルビ捲=めく}っていた 

今は亡き画家が 
キャンバスに描いた野原に 
ぽつんと立って 
空っぽの{ルビ笊=ざる}を両手で持ち 
木苺 ....
陽気の中で囀る小鳥
陽気に響くその歌声
あてつけのように

心待ちにしていたのは私
軽やかに舞い踊る水色の空気
柔らかに頬を撫ぜる緑色の風
そこに見つけた新たな季節
 ....
小市民の怒りは高層ビルのうえ浮かびて月は夜を満たさむ

聖燭をみがき輝かしたる夜工人ヨセフを愛してやまず

カモメ飛び立てるを遠くながめをり意思なき男は飛べないカモメ
夜風をくれるひと
真昼の温もりがさめた後の
森の湿り気の冷たさ
ビル風が懐かしいとき
吐息のように
寄り添って

いつも真夜中を知るのは
まぶたを閉じる仕草
あちこちに仕掛けられた
 ....
まだぎらつきはしないけれど
充分に
強烈な熱を発散しはじめている
五月の太陽

日暮れがきて
それはすこしだけかげりはじめて
万緑は
急速に輝きを失ってゆく

気温が下がる
夜の ....
捕まえた蝶々を逃がしてやる
ガラクタの中から見つけ出した
君のような美しさを見る

近づいたね
もう戻れないのに
知らないよね
こんな言葉の意味

見苦しいばかりの詩を
不器用な腕 ....
北へ行く電車の音を聴きしよる瞼の奥に郷里はありて

五月空美貌眩しく輝きて刃のごとくにわれをつきさす

夜風吹き揺るる蠅取紙の蠅われの孤独は夜に膨らむ
小雀を埋めてスコップ温まれり

陽炎に十八歳の逃避行

電車過ぎ青田の中に風ぬける
つかの間の安らぎの季節が
近づいている
湿った空気と渦巻く憂鬱の中でこそ
私は鮮やかに
笑い放つことができる
そして雨の夜の
ノスタルジー

あの街行く人々の
暗い顔が好きだ
あの ....
車窓の視界が
きらめく波でいっぱいになり
埠頭を渡る風の翼が
一瞬、かたちとなって見えた午後

岸壁の釣り人は
ただ垂れた糸の先と
深さの知れぬ水底近くを
くろい海水に遮られながら見つ ....
吸い込んだ肺が
うすむらさきと群青のすきまで止まる
絶えられなくなって
風の匂いのせいにする

つめたいガラスが知ってる よるの密度
ひとつずつはがしていく
その指先で  ....
夏蝶が荒野をぬけて来し時に大地の眼はするどく開く

青年はミケランジェロに惹かれやすく告げし身深く一羽の鷹に

夏の夜に堕天使つひに優れたり星月夜すぐわれに近づき
メーデー歌泥つく靴で地をならし

いもうとの髪梳く夜や沈丁花

手の平に青空統べて修司の忌
とおくながれゆく
やすらぎの衣は
たしかに
あの日
おれたちが纏っていた日常

じゃれあいながら
風に泳ぐ魚たちは
たしかに
あの日の
おれたちの心

べた凪の
深い
もっ ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
青空にわれをおさめし帽子舞ふ故郷はいつもわれを拒まづ

街灯に蛾はなに求め集まれり夢なき高校生の分身

マッチの火点けて拡がる夕暮れに未来に逆らひ運河薔薇色
別れを含んだ歌は
薄紅の花にかけられて

何処へ行くにも
ただ 自由です


悲しいなら

今しばし
耳を塞いで

ふるえる胸を
なだめてやるのもいいでしょう


もし ....
わたしはわたしを見ていた
夕暮の公園の砂場にわたしを見ていた
わたしはわたしを見ていた
朝焼けの庭先の花壇にわたしを見ていた
わたしはわたしを見ていた
昼下がりの小学校のグラウンドにわたしを ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
杉の林に静ひとつ
靄の立ち込める朝
靄に紛れて時間が漂う
暗闇から聞こえる森の声
林は何を考えている

杉の林に静ひとつ
緑の湿地に隠された
緑の夢と宝物
眠りから覚めた林の向こう
 ....
霧の村に石を投げれば切り開く明日の地平は放浪型に

五月空どこ見渡せどあを続き少年雲を翼にかえる

シーザーを刺して終わらむ野外劇星は夜空にあふれて消ゆる
風が、やんだ

鳥の声を探して
下草に濡れたのは
迷い込んだ足と
慰めの小さな青い花

遠ざかっていた場所へ
私を誘う手は
湿っていて
それでいて
優しいから
触れたところから ....
くるくる踊る たんぽぽを踏まないように 最後の季節の

幼子の髪の

ように甘い香りの

ぴんと露を弾く若葉に覆われた丘で

怪人は身体をあたためる

とてもおいしい 熟れた潮風  ....
塔を隠した樹々たちがくりかえす
やわらかな墜落

螺鈿の微笑を浮かべる遊星たちが
結晶状に形成する空間に
浮かべられた白い柱廊に
並べられたフラスコ

時折それらのいくつかの中で
新 ....
去りがたき旧家にひそむ精霊も君もわが青春の影とす

穂草は種を密かに飛ばすイエスよりマリア若きをその罰として

満天の星は人の不幸ならむと決めつけ孤児はおのれなぐさむ
気がつくと、渚が後ろにあった

最近やけに足が濡れるなと思っていた矢先のことだった
後ろなど滅多に振り返らないから気がつかなかったけれど
ふと振り向くと、後ろに渚があった
ひたひたと波の打ち ....
カーテンの裾の隙間に見ゆる風桜桃の実は食べ尽くしたり
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4553)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
友へ。_- すぬかん ...未詩・独白307-5-7
きみどりを知ってる- 弓束自由詩807-5-7
シャボンの羽根で- たりぽん ...自由詩1207-5-6
麦藁の少女_- 服部 剛自由詩14*07-5-6
追憶- 朝原 凪 ...自由詩3*07-5-6
飛べないカモメ- 村木正成短歌2*07-5-6
夜風、夜の風- たりぽん ...自由詩1107-5-6
- 佐々宝砂自由詩7+*07-5-5
産声- おるふぇ自由詩507-5-5
蠅取紙- 村木正成短歌2*07-5-5
風ぬける- 村木正成俳句2*07-5-5
梅雨を待つ- ゆいしず ...自由詩307-5-5
夢釣り- 銀猫自由詩15*07-5-5
夕風- アオゾラ ...自由詩8*07-5-4
堕天使- 村木正成短歌5*07-5-4
修司忌- 村木正成俳句3*07-5-4
たとえば太陽が- 草野大悟自由詩8*07-5-3
初夏の森には秋の風- 佐々宝砂自由詩1807-5-3
運河薔薇色- 村木正成短歌4*07-5-3
徒然ハルノタビ- 藤原有絵自由詩307-5-3
影踏み- 土田自由詩707-5-2
夏が生まれる- ぽえむ君自由詩28*07-5-2
杉の林に静ひとつ- 未有花自由詩16*07-5-2
五月空- 村木正成短歌4*07-5-2
霧の朝、森に帰る- LEO自由詩34*07-5-2
怪人は最果ての岬に- 相馬四弦自由詩1*07-5-1
実験室65−F- 塔野夏子自由詩10*07-5-1
満天の星- 村木正成短歌3*07-5-1
- ふるる自由詩18*07-5-1
隙間- A-29短歌2*07-4-30

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152