つめたい
匂い、縁取りは
複数のかけら
こぼして
きらきらと、して
積もったことを
そんなにも、きれいな
両手で
拾うように
きみは、


言葉は、薄く
ひかっただろう
け ....
六月の森に泣く
道化師の
ガラスの涙

こぼれる
すべての助詞

〈をとととがとで とのとへと…〉

遠心力のない世界が
一回転すると

不意に頬よせる
少女の
杏子のく ....
そしたら
遠まわりをして、
ゆっくりと忘れていこう

したことのすべて、
思ったことのすべて、
何度でもおなじふうにするしかない
春のすべてを

すみれ、れんぎょう、えにしだ、は ....
昏がり
伸ばされた少女の白い腕
僕の地平線のすべて

そうよ
私がいなくなれば
永遠に陽はのぼらないわ

僕は鳥
魂は地平線の彼方---

不意に少女が腕を下ろす

僕は
 ....
冬の滑り台は
凍ってしまって
子どもたちの
渋滞が起きている
春になると
一斉に放流されるチャイムで
淀みなく帰路に着く
足がたくさん生えてくる

(きみがいいと言うのなら
(もう ....
液晶のなか目覚めたように
数字が淡く点滅する 淡くて少し掠れていて
なぞる 指がつめたい

わたしはまたほどけようとする
全部がいちぶ いちぶは全部のごとく移ろい
そうか海は個と全の明 ....
冬の明け方は
張りつめた
無数のピアノ線が
地面と空を繋いでおり
知らずに触れてしまうと
冬の心音を奏でてしまう
透明な波のように
冬の涯てには
凍りついた楽章が打ち寄せる
夜が明け ....
噛み砕かれた
朝の死がいが転がっている
果実の並ぶ
健全な食卓からは
冬を裂く音が聞こえてくる
雪解け
のような発声で
猫が毛玉を吐いている
猫から吐き出された毛玉は
新たな猫になり ....
殴り書き
しかできないぼくの
不誠実を
非難したいならすればいい

 *

「さとう」の三文字を書いた
マジックペンはまだ
筆箱に入っている
この、
「さとう」
の、三文字を書 ....
わたしは生まれながらの嘘つき
嘘泣きをしながら生まれ
嘘泣きに囲まれてこの世を去る


わたしの金属
わたしの針
わたしの金属の針
わたし自身


屋上のわた ....
夕焼けの海辺には
この世の終わりを求める人々が集う
だが終わるのは夕焼けのみで
皆とぼとぼと何処かに散ってゆく
理科室で 実験できないあなたは
窓ぎわで光り こぼれる(り……
あなたと 婚約する
大きなおとと
擦り切れた脳みそで
何か(何だったか……
言おうとしても
言葉が虫歯に引っかかり
(痛 ....
「rain」

雨、という現象が
印象派の庭です
水の詩集をさらさらとめくる雨音が
萌芽の眠りを妨げて
やわらかく湾曲してゆく
午後からのカーブを描いてゆきます


「あの人は、光 ....
発掘された、在りし日の六月の
古びた雨音が
薔薇の設計図を、紐解いてゆく

忘れては、いなかった
あたたかな泥土を
何度も重ねてゆく、あなたの
華奢な白い指さきで

白く、ぼんやりと ....
花は
花としての言葉を失い
季節もまた色を失う
渡し損ねた言葉があるように
雨もまた
流れてゆくのだろう

春の窓辺を飾るもの
無言の結露
人見知りの鳥たち
か細い茎の名前の知らな ....
それは、静かな石だから、(青い)のです。
きっと美しかったであろう、
きみの石。

一億年の沈黙が(きみ)を呼んでいたから、
石は、ゆっくりまわれ右をして、
きみのもとをはなれていった。
 ....
足音たかく
雪崩れる嵐に乗って
賊の頭巾をかぶった隣人が
柵をまたぐ
花壇の若芽を
踏み荒らし
扉を蹴破りざま
きみの鼓膜の奥にするどく
怒号する
〈俺の家のものになれ!〉
〈俺の ....
「廃墟/光」

その人は
十月の淡い光がこぼれている
窓際に立っていた

下生えを啄む鳥たちが
驟雨の後に立ち去った庭で
透過性の
グラン・ジュテ
軽々と
その人は
超えてゆく ....
斜めに射す陽が影を落としていた
鍵は壊してしまって、
わたし
しぬかも、あした、
閉じていく
排気口のような喉ごと
告白が流れ落ちて
そうかな そうなら


傷ついた背中に額を ....
君がいた夜は
物語のように遠くなってしまって
いくつものビルが建て替わった

なつかしい詩を読み、
ぬるい水を飲み
二足しかない靴を交互に履く
平和な日記を過すうちに
こんなところ ....
2021/10/26


翻訳できない午後の足音を
窓からの昏い星の光を
勝手に手に取らせて
勝手に息をさせて
もらっていただけ
あなたからただ
それが酸素でなくてもよかった
息を ....
─まいにちうまれるものたちが
─まいにちしんでゆく

眠り、浅い夢からさめたような春の予感のする少しつめたい風が、名付けられているはずなのに誰も名前を知らない雑草の頭を、さあー、と撫でてゆく放課 ....
音程のない記憶
短い温度を重ねて、夜は
こんなにも深く、洗われた


斜度の、



おぼろげな周期の指は害意だと思う
なにもかも透明な世界のことだった
AとBの色のない ....
澄んだ秋のむこうに
傾いてゆくやわらかな光があり
時折 小さな風がうごき

耳はおのずから澄まされてゆく
この秋の虚ろをよぎる
ひそかな呟きのようなものに

それはひくく何かを語ってい ....
雨時計とは雨のふる街をさす
誰もが知らないふりをしたことだが
秒針は環状線のアシンメトリーに似ていた

夜、神話としての男と女が踊り出すと
点と線をむすぶようなあいまいさで
ビニール傘 ....
遠い故郷を浮かべ
群青を帯び輝く細面が
水中に揺らぐように
潤む月は 夜闇に光沢を湛え
ぴんと張ったしずかな冷気が
月の無言を呑んでいる
しやめかな夜空に

散る
散る
熟れてゆく ....
ことばは、はっした時点で幻になる。
よくも悪くも。

ね、みみをもつってそういうことだよ。
幻のみみは幻を受けとれる。

昔、にんげんのみみがとても好きな王様がいて、
その王様は ....
幼さは
蕾が花になることを知らない

蕾を一つ一つ摘み取って
分厚い本に挟む
毎日少しづつ色あせてゆく

蕾の押し花を
手に取り飽きもせず眺める

昼間のまどろみの中
手の力が抜 ....
どこからも遠い、ここへ
千々の風に吹かれてたつあなた
雲のようにおおくの面影をうつす
あなたへと伸ばされる
わたしの影、暴きたてられた白き砂、
ああ今ここに在らざるひとよ

空はぽっ ....
  瞳からのぞくと
  馬たちが みえた


  日が薄ぼやけ
  あたりは冷えて
  草の においだけが
  ほそながくかがやいていき
  わたしたちの
  愛はきえた
 ....
石瀬琳々さんのおすすめリスト(4554)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カフカ- ねことら自由詩223-4-23
紫陽花の森- 藤原 実自由詩3*23-3-29
春のすべて- はるな自由詩623-3-27
少女よ_地平線のすべてよ- 藤原 実自由詩2*23-3-20
春ヲ、告ゲル。- ちぇりこ ...自由詩1323-2-8
冬眠- タオル自由詩3*23-1-25
Winter_Dawn- ちぇりこ ...自由詩1223-1-18
朝の行方- ちぇりこ ...自由詩623-1-13
信じる- フェルミ自由詩322-12-12
人よ_わたしは(メドレー)- 木立 悟自由詩522-12-1
ノート(終わり)- 木立 悟自由詩622-12-1
ガラス- フェルミ自由詩622-11-6
water-garden- ちぇりこ ...自由詩1222-6-28
Rose-Garden- ちぇりこ ...自由詩622-6-8
アネモネ- ちぇりこ ...自由詩1122-3-4
風のにじみ_ii- 青色銀河 ...自由詩522-2-23
隣人- 天寧自由詩222-2-2
秋〜冬/短詩群- ちぇりこ ...自由詩922-2-1
pianissimo- 星染自由詩122-1-31
夜明け- はるな自由詩422-1-9
スーヴェニア_2021/10/26- 星染自由詩122-1-7
風化する放課後の- ちぇりこ ...自由詩8*22-1-5
sway- ねことら自由詩121-12-31
秋の物語- 塔野夏子自由詩3*21-10-31
雨時計- 新染因循自由詩12*21-10-21
花吹雪- 天寧自由詩321-9-20
幻視- タオル自由詩3*21-4-1
- ◇レキ自由詩2*21-3-24
くちづけ- 新染因循自由詩621-3-19
馬たち- 草野春心自由詩421-3-7

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152