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わたしは生まれながらの嘘つき
嘘泣きをしながら生まれ
嘘泣きに囲まれてこの世を去る


わたしの金属
わたしの針
わたしの金属の針
わたし自身


屋上のわた ....
夕焼けの海辺には
この世の終わりを求める人々が集う
だが終わるのは夕焼けのみで
皆とぼとぼと何処かに散ってゆく
ひとしずく
ただどこまでも得るだろう
書かれなくなった言葉
階段
奇妙につづく
昼の夢


ある日さらさらと行方は途切れ
行方のままに置いていかれる
花を踏めという ....
左目はいつのまにか
左目になった
今も
怪訝な顔をしている


花を折っても
花のまま笑む
悲しくて
誰も見なくなった


海が窓を切り
壁にしたたる
冬の ....
手のひらや帽子に降りそそぐ
願われることのない星の色
杯ひとつに痛む片腕
夜を渡し 夜をこぼす


蛾と蝶のはざまの飾り
またたいてまたたいて夜となり
さらにまたたき
 ....
かたく包まれたものを見ている
濡らすたびにかたくなり
ほぐしたくてもほぐせないほど
ぴたりとはりつき 包んでいる


水の音がする
さかさまの
水の音がする
もと ....
土のにおいの月がいくつか
夜から朝へと転がってゆく
鏡を造る鏡
暗い水と溝の道


星と星のあいだのむらさき
へだたりと境の腕
羽と羽のあいだに起ち
剣のように
 ....
  うすむらさきの川に指をひたしたまま
  舟が帰らぬことを願っていました
あなたは何故そんな
紙の花のようなことを言うのか


とうの昔に終わっていたのに
今がはじ ....
冬を鏡に鎮めながら
ひとつの影がすぎてゆく
向こう岸の曇
波に消える道


足の痛み
汽笛 光
はらわたの音
はらわたの夜


風は足りて
水は足りな ....
途切れた道のその先
坂を上りきった場所の空
曲がり角をすぎてゆく陽
曇と 曇ではないものの午後


暗がりのなかの道標が
なかば暗がりになりながら
暗がりの歩み ....
許される蛹に樹は満ちて
もう何年も蝶を見ていない
枝を流れる蛾の骸
葉には卵も幼虫もない


ただ在るだけの糊しろの日々
いつも声と指ばかり見て
そのほかのあなたを ....
百年の花が咲く
音だけの虹
昇る夕べ


鳴る穂を抱く
水の穂
指の穂


おまえを
おまえに与えられずに
叫びつづけた 水に映した


明るい貝殻
問 ....
矢は左目から入り咽に止まる
わたしは振り返りおまえを見る
今までもこれからも
ただおまえのそのままを見る


はざまにどれだけ
どれだけはざまに挿し入れようか
おま ....
火と火の違いもわからぬうちに
わたしたち とは語らぬように
言葉への畏れを絶やさぬように


入口にある目は
実の奥にある目
森をひとつ逆さまに呑む


水を見たら ....
窓には
ひとつの三日月
ひとりの子と話す
風の音
油の虹


武器はなく
ひとつの羽を得て
ひかりかがやくもの
ひかり失うそのとき
居ること 居ないことを
震わ ....
灰は盲いて仄になり
灰より熱い火のなかにいる
背から腕へ溶ける羽
夜の漕ぎ手の手首に宿る


星の奥から風が来る
目のかたちの痛みに降る
十月十日後のめまいのために
 ....
影なびくほうへ
路を曲がる
前も後ろも
午後になる


花の色と
名前を忘れる
すぐそばにただ
ひとつ揺れる


雨と雪が経ち
かたちは鳴る
すぎてゆく手に ....
空つかめ空つかめよと叫ぶ声かたむけるたび赤く咲く声



ふいに鳴る{ルビ雷=いかずち}の背に乗せられて紅もこがねもむらさきをゆく



眼球の影わたり鳥つらなりて夜の城門 ....
見えぬ鳥いだく重みに耐えかねて歩み止めし時そは飛び去りぬ



一枚を破いたはずが二枚なりお前をどこに葬ればいい



あなたにはあなたの石がわからないあなたの水に削れ ....
ひとりしか居ない器を器ごとひとり呑み干す冷えた指もて




呑みつづけ呑みつづけても酔えぬのはただ両目から流れ出るため




道を燃し壁を燃す手を振りほどき歩む ....
ひとつ静けさ 眠れずにいる
泣いてしまうほど やわらかなもの
放りなげた願いを数える
断崖 砂漠
わたり鳥の背


ひとつのなかに 異なる目がある
朝と夕が
水面を碧くす ....
日々過ぎて無言の声の荒れ様に{ルビ正常=まとも}なものの異常さを知る



つながりは有るのに無いも同じことそのままでいるひとりしている



咆哮の色もかたちも変 ....
考えが考えになる前の
弱くふわりとした場所の
まるい{ルビ柔毛=にこげ}に浮かぶまぶしさ
手のひらにのる
手のひらを吸う


ふたつに分かれた音のひとつが
もうひとつの背を ....
蝶のかたちの光の前に
家より大きな花があり
ひとりの影を映していた


小鳥は話しかけた
誰にも届かなかった
道につもりつづけた


同じ姿と響きを持ち
確かに共に居たも ....
家の陰の家
窓に映る窓
白詰草 光の辺


鳥と風 声の影
低い曇を照らす原
曇とともに揺れる原


歩むもののないにぎやかな道
川岸に沿い 川に重なり
流れとは逆 ....
アラハバキ
傷のあつまり
攻め滅ぼされても
なおよみがえる
ただひとつの欠片から
なお猛々しくよみがえる


アテルイ
胸に突き立つ矢と刃
ひとつの穴のような赤い花
背の ....
骨のような柱が燃えている
燃え尽き くずおれるまで
ただ波のなかに立っている


流れ着くものが燃えている
山の影が土を覆い
波だけが明るく揺れている


昨日の足跡が残ってい ....
星の雲と砂
夜の水かさ
わたしが生まれた理由より
さらに遠くへ
離れゆくもの


サーカス 移動動物園
肉から物から聞こえはじめる
わたしではないわたしのかたち
ぬかるみの ....
頬つたう流れに小指吸われつつ鏡のなかの老いを見つめる



死にかけた小鳥を隠す藪はいま蕾の波に覆われており



窓たたく冬の名残りをふるわせて排水口をふさぐ髪の毛

 ....
光を削り描いた花が
手のひらにふたつ影を落とす
鳥の花 音の花
ついばみにくるくちびるの花


砂の花 砂の花
影を持ち去る波の花
手のひらを知らない
問いの残り香

 ....
石瀬琳々さんの木立 悟さんおすすめリスト(66)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
人よ_わたしは(メドレー)- 木立 悟自由詩522-12-1
ノート(終わり)- 木立 悟自由詩622-12-1
冬の雨- 木立 悟自由詩312-11-4
ノート(冬とけだもの)- 木立 悟自由詩512-8-23
夜と振子- 木立 悟自由詩511-10-10
ノート(濡らし_濡らしても)- 木立 悟自由詩411-6-23
ひとつ_約束- 木立 悟自由詩1511-1-19
ノート(紙の花)- 木立 悟自由詩7+10-8-11
冬と辺- 木立 悟自由詩210-3-5
夜へ_夜へ- 木立 悟自由詩309-11-4
夜盗夜- 木立 悟自由詩509-2-12
呼淵- 木立 悟自由詩508-10-31
おまえに- 木立 悟自由詩308-9-24
ノート(入口)- 木立 悟自由詩708-6-7
夜としずく- 木立 悟自由詩408-5-23
すぎるうた- 木立 悟自由詩208-5-9
ノート(離歩)- 木立 悟自由詩408-4-19
冬と声- 木立 悟短歌3*08-1-20
むすび_たかなり- 木立 悟短歌408-1-9
客人- 木立 悟短歌407-12-9
雨後- 木立 悟自由詩207-11-22
共振- 木立 悟短歌1007-11-20
日々と手のひら- 木立 悟自由詩407-9-21
ひとつ_夜に- 木立 悟自由詩407-7-31
みどり_よびこ- 木立 悟自由詩607-7-15
ノート(我いまだ_まつろわず)- 木立 悟自由詩507-6-8
ノート(柱)- 木立 悟自由詩907-4-20
ノート(腹話耳)- 木立 悟自由詩707-4-19
冬と終わり- 木立 悟短歌11*07-4-11
ひとつ_なびく- 木立 悟自由詩707-3-21

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