◇尾瀬ケ原


虹に遇ふ

もつとも

さやかなるときに



◇車窓より


白鷺は立つ

点々と



四、五枚の

刈り田に

一羽



 ....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
喜びのうたが
空から零れてくる

おはよう、おはよう、おはよう

躍動するエネルギー
まあるく紅く凝縮すると

ほら、朝が来る

大きな蒼い空に雲

浮かび、たゆたい、 ....
陽だまりのベンチで
あなたの姿を見つけたよ
何気ない仕草のひとつひとつから
幸せのあり方を掬いだしては
これで良いのだと
ひとり頷くあなたの姿
大きな卵でも抱きかかえるように
胸の前で孤 ....
途切れさせないことを唯一の目的にして
わたしは
大きな夜を千切り続けます
半分をまた半分に
それをまた半分に
そうしていればいつまでもなくならないのです

君の髪 ....
今晩も冷えますね
こんな夜は
ゆっくりと埋もれたいので
わたし
暖かいお湯を今沸かしているところです
お湯が沸くまでの
細切れの手持ち無沙汰の時間
少々わたしのおしゃべ ....
元居た部屋の
顔のない人物に
猫の笑顔をはめて見た
ステンドグラスが煌めいて
ほの暗い部屋にも光がさして
顔のない人物は喜んで
跳ね回り
踊り回って
暫し黙祷
祈りを真似て
十字を ....
* とまどい *


夢の中で
わたくしは
おんなだった

目覚めても
なお
わたくしは
おんなだった


こんな朝もあるのね



* デイズ   ....
君が疲れきっているのは
ずっと走ってきたから

君が泣いているのは
ずっと戦ってきたから

君が落ち込んでいるのは
ずっと努力してきたから

君が笑っているのは
ずっと耐え続けてき ....
■1

知能は現象である
あるいは人間のような形として存在するのでなく
人間からなる社会の上に存在しているものを
知能と呼ぶ

■2

風は物だろうか
火は物だろうか
それは途切 ....
人に知られぬ山奥の
地下から湧き上がるその泉
やがては一筋の川となり
海へと流れてゆく

人が届かぬ大空の
空から湧き下りるその泉
やがては一筋の風となり
海へと流れてゆく

地下 ....
去年のいまごろ

わたしは受験生で

センター試験の勉強に追われて

とかなんだかんだ言いながらも、

みかんに落書きなんかしていた

あの頃もっと必死になっていれば

今とは違う環境

出会わなか ....
ガラス瓶のなかの
北風に乗って
飛んでいく一羽の鳩

おまえは
空に引かれた
ひとすじの水脈
かぼそき涙の痕跡
花のようにふるえる声

おまえは
幼年時代
滴りこぼれゆくはずだ ....
マホガニーは薄明で 薄命の夜を始める
教室の窓から身を乗り出していたら
まさにいま
夢中で描いている赤い紫のペイズリーが
絨毯が
迎えに来ないかしら、と よぎる
若者よりもはしゃぐ現在進行 ....

瞳の目覚め
限る
あ、あ、
朝は、まず長方形
確定されてゆく窓枠の朝
薄青の東、もっと東の
薄青が
チチチチチッ
微細な鳥を組成してゆく


ああ
次 ....
みなし子にかける言葉があるか
みなし子に
かける言葉はあるか

霧のような冷たい雨が降る日
孤独と不信に凝り固まった心を持つ子
その子の瞳は何も知らない

知らないけど知っている
日 ....
「冬へ」
波の立つ浜で声を待っている 強くなる匂い 「わたしはここよ」



「神話 ?」
母眠る 零る血吸いし地下茎に 乙女は実りてそのときを待つ



「花を宿す」
管の中  ....
冬の日に、自宅へ帰ると彼女がいたので
それから彼女と生活をするようになった

彼女はハチミツがとても好きらしく
尊敬する生き物に習ってすぷーんで食べていた
食べづらくない?と聞くと
うんう ....
はるは さくらのおちるそくどでやはり

おちていく

はるに かぜをまとった やどなしびとと
おなじ ことばで

おちていく
   

   ひとつの恋の終わりは、
   ひとつの音楽とひとつの香りを残す―――




いつだったか
すれ違った文庫本の帯が
そう主張していた

乾かないルーズソックスの ....
人生を18きっぷで旅したい心はいつも青春のまま がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている

かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか

呟いた息が白い

夜空には
おおぐ ....
窓際に
置かれた
書棚

その窓はすりガラスで
鉄線が格子状にガラスの中に張り巡らされている窓で
北側の壁にはめ込まれている

僕の腰ぐらいの高さの書棚の上には

郵便物用の ....
腰のまがったひとが
夜のとばりに 星をうえていた
しんぼうづよく ことばを
なくす過程が 大切なのです
と おしえてくれた
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた

僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
 
 
οわだい

すべての話題を鮮やかに
祖父の話へと導き
帰結する

この人はたぶん
愛を知ってると思う



οあんこ

粒あんの饅頭と
こしあんの饅頭と

 ....
兄ちゃんのヘタクソなギターを思い出す
12月、寒い夜

妹は彼氏が出来たとはしゃいでた

東京には空もないし、星も見えないぞ
父ちゃんは乱暴に俺の頭をはたき
戻ってくるなと言った ....
少し 太陽を見る。    


   それでも、あたしのブライアンは
   はっ、はっ、はっ、はっ
   なんて、口をあけてからだぜんたいで呼吸をして
   わずかに首を傾けているだけだったし

   こ ....
カステラたべたい

ロールケエキを
うちでは
ばあちゃんが
カステラとよんでいたので
いまもそれで通る

家庭とは
そおいうものである


ちなみに

ブランデーケエキや
 ....
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