黒と白のダンスが始まり
君と私が交互に入れ替わる
私が君で君が私
君が私で私が君
くるり くるり
くるりり くるりり
いつの間にか気がつくと
暗いなかに一人きり
白い私が一 ....
一、 某月某日 冬
凍る雨を浴びつづけて、一年を跨ぎ、
わたしの頬は、青ざめて、
虚ろな病棟の、白い壁に残る、
黄ばんだ古いシミに親しむ。
難い過去を追走する暗路を、
エタノールの流れ ....
自ら檻の中に入って
ビクビクしながら水道から
水滴の落ちる音を数えていた
定規で正確に書いたはずの
直線は曲がって一個の円になった
目から流れる涙には
....
ジョニーは今年の書初めに
「酔狂」と書いた
なんのこっちゃ、
とたずねたら
きみ、
人間は、
ゆかなければいけないんだよ、
とジョニーは言った。
男は、ゆけ。
ゆかなくちゃい ....
わたしの中に棲む猫は
夜の闇のように黒い
{ルビ天鵞絨=ビロード}の艶やかな毛皮をもっている
そして
悩ましい緑の目をしている
人に媚びたりしない
いつも物陰から{ルビ窺=うかが}うように ....
いつの日も 青空は明るい
紅茶に溶けた 角砂糖
スプーンの渦が 止まる
こんなに悲しいのは なぜだろう
テーブルの光に カレンダーを描く
....
あなたに
結ばれることの
よきことと美しさを
なにかのために
ではなく
理由をみつけるために
くだらない世間が
一番近しく思えてしまう陳腐さを
蹴飛 ....
この類の話に猫がよく似合うのは
僕らには秘密が多いからさ
だって考えてみて
君は大体ずっとあの人達と一緒にいるだろ
言われたことは何でも従うでしょ
どこにいたって呼ばれたら飛 ....
羊の群れに飛び込んで
いつかそれは白い雲になり
最後の命を燃やすように
白い線になって消える
青いガラス玉をフローリングに転がして
透明な影に恋をする
きらめきを乗せて
....
プラスティックケースの上に
並んでる、ふたつのせっけん
小さいほうが、お婆さん
大きいほうが、息子さん
「 生まれた時は逆だったのに
わたしに向かってハイハイしてた ....
ああ、傷だらけの天使たちよ!
天使のながす涙をボクは見た
愚鈍なボクたちは、
天使がひどく疲れているの知らない
嘆きや不満や愚痴にうんざりしているのを知らない。
だからボクたちはそろ ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです
運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
可愛いやつと一羽のレース鳩を胸に抱いた
彼の眼差しは恐ろしいほどに優しかった
自分の弱いところを見ているようで
彼と一緒にいるのが嫌だった
彼と友だちだと誰にも思われたくなかった
それでも誘 ....
もし
海の中でも
ずっと呼吸できるっていうなら
どこかの澄んだ海の上に
大の字で寝そべって
そして
そのまま
澄んだ底に沈んで
....
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている
{ルビ些細=ささい}なこと ....
(言葉は知っていた)
朝の光をみて、未来を信じた。
沈む夕日を見て、思い出に浸った。
あの子の涙を思いだしては、悲しさを感じた。
街行く女をみては、男を感じた。
....
今日も雨
一人で寂しく部屋で
手紙を書く
コーヒーを飲む
今日は餃子だ
模様替えをして
防虫剤を入れる
星がキレイだ
グランドピアノの音
ペダルの音
虫の声
胎児の鼓動
今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
僕が知っているのは
大手町で働き始めた頃のあなたの瞳からだ。
コンクリートの照り返し、
液晶モニタの照明、
窓の無い会議室の蛍光灯、
非常灯の赤いランプ、
最終退室の暗闇、
....
呼んでいる
呼んでいる
濃紺の夜長に虫の音響き
深くこころの闇夜のなかで
銀の鈴をしゃん、と鳴らして
呼んでいる
待っている
待っている
金木犀の匂いが止み
あたりに静け ....
俺たちみんなでジグゾーパズルだ
誰もがどこか欠けているのは当たり前だから
みんなでくっつき合えばいいんだ
誰もが世界平和のかけらだから
傷つくことは不幸なことじゃない
傷つくことを不幸なこと ....
外は雨
暗闇を縛り付ける
窓を閉めて
鍵をかけて
眼鏡をかけて
解放
生き物の真似
目玉効果
ノルマは10匹
かわいそうな自分を助ける
話を作る
ゲームオーバー
理解する
....
優しく、なりたい
暖かい部屋でうずくまると
人たちの裏側が透けて見える
思うほどには
複雑に出来ていないのかもしれない
優しくなりたい
おはようと言うように
季節を捲って ....
目の前に
サムホールの油絵二点
右手が自由に動く時に
君が描いたものだ。
ひとつは
テーブルの上の4本の瓶
もうひとつは
テーブルの上の4個の洋梨
どちらも
ペインテイン ....
君って
すんごいスリムだけどさ
場所によっては
そうでもないよね?
そういうと
君は高らかに宣言する
今
戦争がぼっ発しました!
もう戦争です!
戦争しかありません!
こらこら ....
ジェットコースターに乗って
鋭角の下り坂を転げ落ちるように
とろけたチーズを素早く伸ばして千切り
ピザを片手に口説きつづける野郎
テーブルの上の赤いキャンドル
♪〜ダバラ/バラ 〜シャバ ....
子どもだったあの頃
放課後みんなと遊んでた
空が赤くなる頃
もう帰らなくちゃと
誰かが言い始め
その日が終わるものだった
一人で家に向かうその道で
夕焼けがやたらとまぶしかったけど
....
どうして兄弟でもない男の人と
いっしょに暮らさなければならないのか
結婚前に、たずねた
そういう決まりになっているんだ
と 彼氏は言った
あんまりあっさりと言うので
笑ってしま ....
秋の深むる道すがら
吹かれ漂ふ紅葉葉の
{ルビ言=こと}に出づとはあらずとも
心鎮むる文となる
風の流るる草の野に
そよめそよめく{ルビ薄穂=すすきほ}の
波を立つとはあらずとも
心 ....
昼間のうちに
おふとんの模様いっぱいに
あつめておけば
夜には部屋のなかいっぱいに
少しずつ溶けだしてきてる
ざまあみろ
光をこんなにあつめられるのは
おふと ....
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