ぼうぼう山の狸が言った
そっちの煙がくさいから
こっちも負けじと火を付けた
乾いた木々が燃えていく
嗚呼燃えていく燃えていく
これであんたの山の煙も
気にならなくなった
....
碧の海 砂の珊瑚色
青深き遠 黒深き深
板根のもごよう森の床
少女の裸足
太陽の斑点と汽水域
泥を馳せ蟹をとらえる
森の精が瞳を閉じたまま
揺らす少女のキャミソール
鉛 ....
湯船に
アヒルが浮かんでいて
わたしは
とっても不安
テーブルに
知らない人が
座っていて
やっぱり
とっても不安
冷蔵庫を開けたら
包丁の先が
こっちを向いていて
とにかく不 ....
僕の心の海鳥たちよ
涙を拭いてやって来い
白い翼広げて潮風をつれて来い
悲しくなんかはないけれど
僕の心の海鳥たちよ
僕に勇気を与えておくれ
たったひとつの道をみつけるために
大空へはば ....
夜ごと歩く月を追い、
旅に出る。
月は夜ごと、
誰かに囓られている。
夜ごと歩く月を追う旅は、
太陽の下を歩く。
容赦なく照りつける、
我が儘な太 ....
もうこれ以上失わずにすみますようにと祈るように残ったがらくたを数える一番大切なものはまだ失っていないはずとは言うものの確信はない一番大切なものはまだ失われていないのではなく残ったものの中から選ぶだけの ....
ロウ石の描いてゆく円のあどけなさで
季節を跳ねわたる赤い女の子は
その胸に、またひとつ
ちいさな宝石をあつめて
伸ばしかけた指先
静かにたたむ陽だまり
いつか
桃いろの少女へ
毎日いろんなかたちのバベルの塔の建設に関わる
或いは色々な種類の背伸びの仕方をおぼえていく
こつこつとレベルを上げ努力をし積み重ねるもの
それらに意味はあるだろうか
歴史のどの部分が繰りかえさ ....
わたしは宇宙船です
分厚いドアです
小さな窓です
銀の屋根です
(空になったタンクを捨てて
(身軽になるんでしょ?
(生きるために
わたしは宇宙船です
緋色の闇です ....
息子(小3)が「学校行きたくない」と言ったのが今年の7月始め。話を聞くと、「死ね」「この世からいなくなって」「うざい」等の言葉の暴力、身体の方はあざなどないけど、しょっちゅう蹴られたりこずかれたりする ....
知らない町にやって来て
四畳半のアパートで暮らす
目に映るモノは
何もかもが新鮮で
同時に僕は
どうしようもなく
一人であることを
実感する
部屋
かつて人が住んでいた部屋
そ ....
わたしは眠ることにしています
籠に風呂敷をかけられた小鳥のように
巣に入り
目を瞑り
わたしは
何も良いことなどありません
だんだん寒くなってくると
わたしは何かを思い出せそうで
....
いなくなるとすぐ生きてる?と聞く
そんな時間だった
死んでる?
私はもう何もないから
こわいことばはみんなまほう
おばけも信じてる
ゆれるゆりかごがあなたのおうち
....
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
嫌い、ということは
好き、ということに
とても似ている
ただし僕らの間でだけ
当たり前の幸せは
かすかな恐怖を含有して
僕に皮肉を言わせるのだ
波風を立てろと
....
おまえには赤い照明が似合う
顔に笑みを塗りつけ
何か歌う その歌は
ざわめく客席には届かない
この店はただでさえ暗く
ましてショーの時間ともなれば
隣の客の顔さえわからない
それでい ....
愛する人がいる人はうつくしい
人を愛する心をもつ人に
強く惹きつけられてしまう
その引力がたまらない
大切なものを思う心が
やさしい光で溢れて見える
守るものは人を強くし
その目にか ....
人を好きになるのは、目に良いこと。
互いに目を見つめ心を読み合う。
昼に二人して野を歩けば、 ....
声を漏らさぬよう
唇を噛み締めたら 甘かった
なにせあたしの血は 苺シロップでできているし
あなたなんかに 舐めさせてあげない
ほっておけばすぐ すっぱくなる ....
命は、優しすぎる涙だ。
一粒、肌に触れると、
途端に僕はばらばらになってしまう。
命は、透きとおる歌だ。
僕の身体に沁み渡り、
細胞のひとつひとつがうるおいだす。
命は、無 ....
あおいおそらにぽぅっとしたり
おおきなつきにぽぅっとしたり
おいしいものにぽぅっとしたり
秋はなんだかわくわくしちゃう
そしてあなたにぽぅっとしたり
おんなにとっての
それは囚われ
深遠の亀裂より鉄鎖を垂らし
おんなは生きる
獣は獣
下履きから覗かせる鉄鎖を
見も知らぬ男に掴まれたとしたら
それが悲恋物語の序章
秋の日の静寂に我が身 ....
夜遅く
街灯の淡い光に照らされ
家へと続く道に伸びる
老夫婦の影
互いの腕を組み
びっこをひいて
揺れている
( 街路樹の枝に結ばれた、赤い風船 )
老夫婦 ....
ひとりぼっちの
ぼくは
そっと
かなしみを覚えます。
キーボードをカタカタと叩いて
あいのうたをつくります。
きみだけにこっそり孤独を
伝えます。
ひとりぼっちでない
ぼくは ....
一人でいる寒い夜は
温かいミルクを飲みます
スプーンで雫を落とすと
ミルククラウンができるのですが
それがあまりに一瞬のことなので
私には何も見えません
あなたがそこに
いれくれ ....
森の小さな滝は
冬とともに
時が止まる
滝は白い線となり
静かに眠る
森の小さな川は
冬とともに
音が止まる
川は白い玉となり
ゆっくりと休む
森の小さな湖は
冬とともに ....
空から星が降って来た
幾つも流れ星が降って来た。
夢を乗せ降って来た。
瓶の中におっこちた。
酒ができた。
美味かった。
塩辛と一緒に
飲んだ。美味かった。
突然雨が降って来た ....
彼が笑えれば何だっていいから
わたしはよく笑っていた
彼女が笑えれば何だっていいから
わたしはよく笑っていた
先生が笑えれば
パパが笑えれば
何だっていいから
わたしはよく笑 ....
携帯電話を持たず
運転免許は取らず
国家試験も受けず
やりたくないことには目もくれず
自分のやりたいことのみ精を出す
いかなる{ルビ流行=はやり}に流されず
いかなる派 ....
◇光
雪山には
光が爆発してゐる
人影はなく
光の爆発はつづいてゐる
◇粉雪
粉雪がさらつてゆくものは
甘い想ひ出と
酩酊
ちりち ....
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