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女子高生のルーズソックスの中には
何が入っているのだろう

はるか昔
恐竜が生きていて
まだわたしが女子高生だったころ
何度もルーズソックスを履こうと試みたが
あの絶妙なふくら ....
小学生のころ
仲が良かった友人の家の
お父さんは雨男で
お母さんは雨女だった

家に行くたびいつも羨ましかった
彼女の家の中はいつも雨で
じゅうたんにも床にもトイレにも  ....

初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
 ....
※いちにちめ

朝起きたら
靴から花が咲いていた
綺麗な花ではなかったが
あんまり堂々と咲いていたので
迷った揚句に仕方なく
会社へは裸足で行くことにした

※ふつかめ

朝起き ....
冬になったら
彼が凍ってしまって
まるきり目を覚まさなくなったもんだから
やさしく体を開いてあげたら
ふたつあるうちの腎臓の
ひとつが石化してしまっていた
両手で上手に取り出し ....


好きと嫌いが
ギアの上で揺れていました
わたしはちょっと迷いましたが
結局どちらとも決められないまま
右手で好きも嫌いも
すっかり覆い隠して
細心の注意を払い
 ....
濁った沼のある寂れた町に
マリーという女が住んでいた
マリーの本名は誰も知らない
彼女は
夏の真夜中のような眼をした
中々の美人であったが
友達はいなかった
若者はみな都会 ....

夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える


朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする

家 ....
たまねぎを刻むと涙が出る
それにかこつけて
少し本気で泣いてみる
そうして
矢張りわたしは
要らない子かも知れないと思う
だけど午前の台所は
悲劇ごっこをするには明るすぎるし
誰かを想 ....


そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた

しかしそれ ....
年明けからこっち
どうも調子がよろしくない
いったん種子から出たやわらかな芽が
地上の冷気を恐れて
土の中でぐずぐず躊躇うような感じで
段々衰弱してきたのである

それは君に逢わなかった ....
どうやら焦燥感
と云う一種の熱病にかかってしまったらしい
くるったように息を切らしながら
朝から晩まで自転車で
ぐるぐると円を描きつづけている
進むのは
まっすぐでなければ
どこにも行き ....
どうやら先日から
天井裏に
ねずみよりも大きくて
鳥よりも小さい何かの動物が住みついたらしい
夜になるとばたばたと走り回って
うるさいことこの上ない
ただ不思議なのは
わたしの真上で必ず ....
左手しかポッケットに入れられないのは
右手で傘を持っているためで
少し泣きそうな顔をしているのは
暗くなると君を思い出すからである

急ぎ足なのにけして駆け出さないのは
帰り道の途中に墓場 ....
街灯の
周囲に孤独が群れる夜
耳をすませば犬、遠吠える


鳥たちが
十字架のように羽根ひろげ
薄暮の空に貼りついている


雨天こそ
こころ華やぐべきでしょう
赤い傘さしスキ ....
道端に
鳥の死骸が落ちていた
それは
不時着した飛行船に似ていた

埋めてやろうかと思ったが
埋められるような場所などどこにもなくて
お祈りをしてもしょうがないが
思わず手を合わせてし ....

友人に
擬態する癖のある女がいる

よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で

十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
帰り道
巨人が追いかけてくるので困った
新年早々
巨人に追いかけられるとは
何と因果なことであろうか
先が思いやられる

とりあえず
通りがかった神社に入って
巨人が通り過ぎるの ....

ずいぶん昔
わたしたちは恋人同士だった
あんなにも完璧に
理想的な形で
つながっていたのに
満月の夜だっただろうか
わたしが
あの柔らかな部屋から
いとも容易く
追放されてしま ....
就職支援センター
と云うところに
毎月行っている
無職だからである

就職支援センターは
仕事を紹介してくれる訳ではない
担当の人と
色々お話をして
最後ににこにこと
頑張ってくだ ....
・cigar(葉巻)とsugar(砂糖)

あ、
煙草をやめようかな
と思った
手を伸ばしたとき
箱の中に一本しか残っていなくて
でも寒くて
買いにゆくのが面倒だったから
五分間
 ....
二ヶ月ぶりに小田急線に乗った
眼がよく見えないと思ったら
乗客が全員保護色を着用している為
座席に溶け込んでしまっているのだった
水気の多い黒眼だけが幾つも
こちらを向いてぎろぎろ動いている ....
つまさきが冷えるので
靴下を買おうと思って
鳥の格好をして表へ出た
別に態とではない
暖かそうな上着を着て
マフラーをきちきちに巻いたら
鳥の格好になってしまったのである
ためしに玄関マ ....

どんなに長く電子メールを送信しても
恋人は七文字程度しか
返信してくれないのである
業を煮やしてメールを送信するのを止めると
次の日から
矢文が届くようになった
頬を掠めてすこん
 ....
『癌と云う/漢字が書けるようになりました』/外科医に向かいて父が笑う


『お父さんの/腎臓を見たよ』と呟いて/遠くを見つめる母の背中


『治るよね?』/テレビを見つめて兄が聞く/誰 ....

魚は酸素を知らぬだろうか
暗い水辺に輪を描いて
あんなにも深く潜ってゆく


飼育係は放課後に
飼っていためだかを流してしまった
閉じ込められてるのが
可哀相だったって
 ....
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい

グラウンドには長く
影が伸びて

僕の生まれた星にも
 ....
ミサイルが発射される音が聞こえる
母が
台所で家計簿をつけているのである

インキは戦車のキャタピラのように
勇ましく前線を進み
赤い数字が攻撃目標みたいに
点々と書き込まれてゆく
エ ....
明日は晴れだそうだ
一ドルは百十四円だそうだ
独居老人が遺体で発見されたそうだ
宝石はみんな鳥に
持って行かれたそうだ

誰かが売春で捕まった翌日に
似たような誰かが
表彰されてい ....
水在らあらあさんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト(65)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雑記- 吉田ぐん ...自由詩2307-6-26
雨男と雨女- 吉田ぐん ...自由詩2007-6-26
初夏- 吉田ぐん ...自由詩4307-5-17
朝起きたら- 吉田ぐん ...自由詩2207-3-15
彼の腎臓の秘密- 吉田ぐん ...自由詩1407-3-11
仕事の話- 吉田ぐん ...自由詩2507-3-11
喪服屋マリー- 吉田ぐん ...自由詩1707-2-25
祈りに関する情景- 吉田ぐん ...自由詩19+07-1-16
おめでとうの仕方- 吉田ぐん ...自由詩2407-1-12
午前十時のクリームシチュー- 吉田ぐん ...自由詩2907-1-11
家族制度(又は宇宙旅行)- 吉田ぐん ...自由詩1307-1-9
恋あるいは衰弱について- 吉田ぐん ...自由詩607-1-9
焦燥感- 吉田ぐん ...未詩・独白707-1-8
かまいたちを一匹。- 吉田ぐん ...自由詩1207-1-7
種々の理由- 吉田ぐん ...自由詩2107-1-6
散逸してゆく日々の記録を- 吉田ぐん ...短歌1107-1-6
鳥の死骸- 吉田ぐん ...自由詩1007-1-4
癖のある男女- 吉田ぐん ...自由詩2107-1-2
新年早々の話- 吉田ぐん ...自由詩907-1-2
断片集- 吉田ぐん ...未詩・独白1307-1-2
就職支援センターのこと- 吉田ぐん ...自由詩4306-12-30
似ているもの- 吉田ぐん ...自由詩1206-12-25
小田急線で行方不明- 吉田ぐん ...自由詩1106-12-25
靴下売りと指人形- 吉田ぐん ...自由詩1006-12-20
恋人とのわかれ- 吉田ぐん ...自由詩2706-12-19
家族- 吉田ぐん ...短歌1606-12-14
飼育係、或いは荒廃- 吉田ぐん ...自由詩1506-12-14
後藤くんのこと- 吉田ぐん ...自由詩1506-12-12
家計簿と戦場- 吉田ぐん ...自由詩1406-12-12
頽廃- 吉田ぐん ...未詩・独白906-12-6

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