怒ったあなたの瞳に光るもの
稲妻だったらすごい
それはどんなにかすごい
刃のように空を閃かせて
雨に濡れ
雨に驚く人々の顔をくっきりと切り取る
それほどの鋭さで
稲妻 ....
どこへ続くかなんて知らない
と
呟きながら
レールを敷き詰める私
そのレールを通るのは
私ではなく
どこかの
誰か
私の役目は
それを眺めて
続きの途絶えを防ぐこと ....
昼も それなりに
ひとりきりで
過ごす 時間は
長く
辛い
けど 少しづつ 慣れてきた
だけど
独りの食事も
お風呂も
済ませた 後の
あのひとの 帰るまでの 時間は
....
エビが海底から太陽を見ています。
海水越しにみる太陽は
ぐにゃぐにゃと歪んで
笑ったり怒ったりする、
折り曲げた1万円札のようです。
でも1万円札の場合は
元の顔を知っているから
....
散歩をしていたら
クヌギの木にとまっているカブトムシに会いました
カブトムシは優しくほほえんで
「こんにちは」と挨拶をしました
まるで燕尾服を着たジェントルマンのようでした
やがて
ク ....
ミリンダ/メリンバ /夏の山
とおく遥かに海の碧(あお)
白いさざなみ 風の吹く
寂れた町へも吹き降ろす
ちぎれた葉っぱは飛んでゆく//
ミリンダ/メリンバ /乗る葉っ ....
あたしのストローは
ほろ苦いジュースで
あたしを苦しめたり
悦ばせたりする
でも大好きだから
あたしはいっつも
ストローお口に含んで
運ばれてくる液体は
全部のみほしちゃう
たまに、 ....
私は赤い太陽をみた
それは
戦場か
酩酊か
醒めたくも
醒めやらぬ憂鬱の眠りのなかだった。
それは
文字どおり赤く巷を照らしていた。
神々しい輝き、
それゆえに街 ....
あなたと
ニ色の絵の具のように混ざり合って
小さな夜が更けていくと
奇妙なことに
今朝ふるさとを発つ時に見た
一群れのツユクサを思い出しました
あなたを穢したくないのに
穢してしまっ ....
定食屋で父さんに会った
夏の自転車の帰り道
カツ丼は四百五十円で
ビールの中瓶がいまどき四百円だ
中年夫婦がふたりでやっている
僕は窓際に追いやられ
誰も悪くはないとただ一日つぶやき
....
あなた、ルリツグミのヒナと
お昼寝をしたことはあって?
風を確かめるように浮かべた
少女の白いあご、のライン
穏やかな微笑みに
たたまれてゆく{ルビ睫=まつげ}
....
平原を行く象の群れは
なぜかいつも
夕日を背負つてゐる
象よ
夕日をいづこへ
運んで行かうといふのか
そのゆつたりとした足取りで
夕日を
悠久のかなたへ
返上しにゆくのか
....
やさしい顔の羊たちが
ゆるやかに淘汰され
餌を失った狼は
一匹、また一匹と
姿を消してゆく
そして
オオカミ少年たちもまたその存在の粛正を余儀なくされ、しだいに意味を失くして ....
山小屋の煙突から
真つ白い煙が
―まつすぐ―
碧空へと
昇つてゐる
何と
多くの下界を
省略しきつて
昇つていくのだらう
枯木に留まつて
これを見て ....
姫君のついばんだ魔法薬
ひとつぶ口に含めば千年の眠り
ふたつぶ口に含めばただの草の実
噛めば苦い味ばかり
姫君のついばんだ魔法薬
いつまでたってもただの草の実
深い眠りに入れずに
噛 ....
頭の上に鳩ぽっぽである
明日のことを考え
いろいろなことを考え
ふと
目を前にやる
乗り遅れたバスと
少しの苛立ち
目の前の夏
今日からが夏
明日からが夏
遠くても ....
それだけさ
いますぐ私の隣へきてアバラ軋むほど強く抱き締めて
それだけさ
私の胸に埋ずもれる
ちいさな4つのシュークリーム
背中とてっぺんのこげた桃色
・・・・・・・・・・・・・・・・・
それが机の上にある。
コーヒーと
マッチと
葉巻。
....
あのね。
ときどきね。
なりたいと想うのさ、
ふにゃらくにゃに。
そしたらさ、
やわらかくなって、
ゆるくなれそうなね。
そんな感じがするのさ。
....
休憩室の扉を開くと
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた
ほんのささいなことで
誰かとすれ違ってしまいそうで
思わず僕は身をかがめ
左右の靴を手にとって ....
ア・ロング・ロング・タイム・ア・ゴー
ディア マイ ママ
ボクはついに
モモから生まれてしまったよ
グランパはとても喜んで
....
一弦にふれる
あのひとの
小指をもいで
私の部屋に置いて
爪の先まで
かわいいよ と
褒めてあげたい
私のほっぺの
いちばん柔らかいところに
指の腹をぺたん
くっつけて
好き ....
今日もまた日は西より出で東へ沈み
私の憶い出は汚れた鉄格子の窓を進む。
雲を破る白い太陽の光は
さびしく僕の感傷をあぶり出す。
この部屋に居る僕の心を
広場の噴水に残された少女の ....
黒頭巾ちゃんはその日、おうちでピアノを弾いていました。
空は薄ぼんやりとした曇り空で、照明をつけないでいると、おうちの中はまるで霧がかかっているように薄暗いのでした。
でも、黒頭巾ちゃんは、薄曇り ....
サキスフォンを右に
極楽鳥を左に
閉じ込めている
晴れた夏の午後開けば
波は歌い始める
私は・・・・・
の後の言葉は全て
嘘
水鳥が銀に光る小さな魚を捕まえて
飲み込んだ
ぴちぴちと跳ねるそれを
雲はまつげを伏せて
泣こうとしている
飲み込んだ言葉と
涙
....
果てしなく続く夜の闇が僕を押し出す
重い荷物だけを持って少しだけ遠くへ行く
辺りは知らない人達でぎゅうぎゅう詰めになる
座席にもたれた背中にピンと張り詰める痛み
体をダンゴムシのように丸め込み ....
ほがらかに
眠気なんてふっとばし
かろやかに
眠気なんてふっとばし
カフェインで
眠気なんてふっとばし
気付けば明日
太陽だって昇り初め
....
積帝雲の奥には うずまっき
孵化した数万匹の おさっかな
はじめて口にする餌は つきあっかり
(骨のなかには 記憶 があるぜ
(骨のなかには 未来 があるぜ
金魚鉢の頭 ぐっるぐる
....
ひまはりは
駝鳥のやうな脚をして
太陽電池を支へてゐる
もう花びらは一つもないが
悲観などしてゐない
ぢりぢりと
ゆるぎない正義のいのちを
蓄電して
飽和に達すると
過去 現 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119