ちゃんと季節は夏至まで巡ってきたと言うのに
太陽の奴いったい何処に居るんだか
朝寝坊を誤摩化しているのか
おつきさんと夫婦喧嘩でもして
目の周りの痣を見られたくないからか
この頃ちっとも姿を ....
今日の献立が決まらない
はて、どうしようか
手の込んだものは好きじゃない
けして面倒というわけではなく
パパッ
ズバッ
シャキーン
って作ったほうが美味だ
な気がする
買い物 ....
雨の降る日は
ゆっくり
うたたねするのが
いいね
そうだね
うたたねだね
あのね
うん・・・?
さっきね
あーちゃんが来たよ
ほう
来たよ
お花持って
....
○△月□×日 くもり
きょうぼくはうちゅうをたびしました
というか、うちゅうをつくりました!
ぼくはかみさまかもしれないです
(冬の寒い日に僕は宇宙を作った
そして旅をした
ハ ....
紺碧の輝きの海に
許されぬ恋が眠っている
静かにそっと おののきながら
それは波間に漂う白い貝
だけど 今日は
海へ漕ぎ出した
その想いを摘みとるために
真珠とり
真珠とり
....
雨の街は花園
ダリア・ヒマワリ・バラ
小菊・紫陽花・朝顔
花たちは楽器でもある
雨の細い指がそれを{ルビ弾=はじ}くと
男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの
情熱はジリジリと
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を ....
家の近所に教会があった
私はクリスチャンでは無かったけれど
教会の牧師先生が面白い人で
何故かよく入り浸っていた
教会といっても
見た目は古い日本家屋で
家の一部を改築してでき ....
駅前の商店街で産まれ育った
近くには八幡神社があって
お祭りの時には店の前の広い道路は
歩行者天国になった
ふだん車の往来が激しい道路を歩くと
何だかくすぐったい気持ちになって
誰 ....
身だしなみを整えてから来なさい
顔だけは洗いすぎないように
戸締まりはきちんとしなさい
番犬も時には熟睡させてあげて
羊から魚までの間に人を見つけなさい
その人は明らかにネコ科の者に ....
今この瞬間
僕らは忘れてはならない
僕らは記憶し続けなければならない
僕らがキーを叩いているこの指で
銃の引き金を引いている子供がいる
僕らが、アイ、を歌っているこの喉で
ヒトを殺せと叫ん ....
そういえば今日
小雨のなかで
男の子と
お母さんが
散歩を
していた。
ゅうくんはじゃぼんすぅの
そういって
じゃぼんしたら
お母さんに
ぱしゃん
ゅうくんが
ごめんな ....
曇天をかぶって
つらつら歩く
濡れたアスファルトの
匂いに包まれて
暗澹たる世界の
ぐらぐらたぎる地
触れたあしさきの
熱く勢いのある
汗ばむ肌に
風のかがやき
麦秋の黄金 ....
俺コンビニ入り口付近にある紫色の蛍光灯にバチッとやられた羽蟻
命って一瞬なんだな
煙草吸ってるおっさんその瞬間を見てたけど
おっさんボーっと宙を見つめるばっかりで何のリアクションも無かったな
....
夕方街ですれ違う人の顔を
ひとつひとつ眺めながら駅に向かった
疲れて渋い顔をした顔
厚化粧の顔
おしゃれな眼鏡
莫迦みたいな飾りをつけて
熱心に本を読む
独り言いいつ ....
夜は綻び
朝が死角からやって来る
陽射しが強くなれば
それだけ濃い影は出来て
ありふれた若さのなかに取り残したわたしと
残り時間を失ってゆくわたしが
背中合わせする毎日に
日 ....
女の脂肪は仮構だと友人はらくらくと言い放った
剥ぎ取って
愛して
悔やんでも悔やみきれない自由を
彼は
らくらくとどうしようもなく言い放った
夏の夜はすかっりと光を抱き取り
もう誰に ....
温室の入口にある日章旗の
赤い円を凝視する。
凝視する。
ツと目を逸らすと、
隠された神の緑があらわれる。
それで緑のためには赤が必要なのだと知った。
穴を掘るのは重労働だが
い ....
下る音階
広がる和音
底のほうへ
そして天上へ
突き抜ける
拡散していく
瞳の意識
夕映えの宇宙
通り抜けていく
わたしの体
いきたい
いきたい
いきたい
そこへ
宇宙へ
....
はじめに
音が濡れます
アスファルトで
ち、ち、ち、散る、無色透明の
ピエロ、混じる雨の所為で
ル、ル、ル、なんて息してしまう
感化されやすいわたしたちの情緒
そ ....
わたしの中に棲む鬼が
すっかりいなくなったわけではないだろうに
心はずいぶんと穏やかで
すべてが夢であるかのような気さえするのです
病院の自動扉を抜けると同時に
曇天から吹き下ろされた風が
湿 ....
風をつかもうとして
草をちぎってしまった
てのひらが
鳥を呼ぼうとして
こんちくしょうと叫ぶ
声が
心のかたちを確かめたくて
君のからだを抱きしめた
腕が
今夜もずれてい ....
雨にかすんだ街を見ながら
少し寂しくなったので
あなたの言葉を思い出しました。
水溜りの中に
小さな小さな雨色の町があって
その町では
どんな事でも虹色に綺麗なんだ
あなたはどん ....
わたしとしては早く終わって欲しいのに
あなたはまるで厳粛な儀式に望む
いんちきくさい司祭のような面持ちで
わたしのかたちを確めてみたり
わたしの知らないかたちで動こうとする
ふだんと違う表情 ....
いつか鳥取砂丘で奪われた
気怠い熱が返ってくる感じ
デラウエアの雫が
中指からぽたりと落ちて
甘やかな記憶が
砂塵のように崩れていく
それは不思議な爽やかさで
一歩踏 ....
手のひらに乗るように小さな赤ちゃん
まだまだ立って歩けましぇん
まだまだオムツをはずせましぇん
まだまだお口がきけましぇん
そうです
あなたは生まれてきたばかり
....
こうしてぼくはあなたに手紙をささげます。
今までずっと言えなかった。
それを今、こういう形に変えて、あなたへ。
お元気でしょうか。
あれからずっと、ぼくはあなたの代わりとして、
役目を果 ....
楽あれば苦あり
苦あれば楽がある
ほら、
人生楽しいことばかりだ。
このせかいで
あなたに あなただからあえてよかった
そう いえるべき おもいあえるあいてを
さがしもとめることが いきること だと
そっと いいきかせてみる
まえのめりに へこたれ くず ....
世界中の風を収集すると
古い書物から頁が捲られてゆく
幾つもの考えは
風の形になる
ベドウィンのテントに吹く風
サーミのテントに吹く風
敦煌の砂に吹く風
風を折るように
また祈 ....
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