透明な硝子の向こうで
君が生み出した
緩やかな憂鬱
透明な硝子に当たって
白く砕けた
ちかちかと世界が明転するのは
まばたきのせいだろうか
睫毛が捕まえた蝶のせいだろうか
プレ ....
自ら逝く勇気など始めから無いもので。
だったらいっそ。
あなたが逝ってくれねーかなぁと思ったりして。
でももし逝かれたらすごい勢いで崩れるの分ってるし。
忘れた泣き方なんて思い出しておもい ....
家から
ずいぶん歩いたところに
金魚屋があった
知らなかった
金魚屋のおばさんは
15センチくらいの
お腹の大きな金魚を
ひょいと手のひらに乗せて
「こんなこともできるしさ」
な ....
呼びすぎた朝です
きみは楽しくする術を
知っているので(物語というおわりのないもの)
まだあらわれません
死んでしまったようです
今日の報せは過去について。
またたきの記事はとうとう
....
「あ」と声に出そうとして
うまく発音できなかったそんな目覚め
冬はもうすぐ終わるというのに
まだ春は土の中であたたかな夢を見ている
喉が掠れて泣いているみたいだ
裏返って仕方ない。
空はな ....
いつかきっと
背伸びしていた日のことを
緑色の気持ちだったあの日のことを
古い映像でも見るように
双眼鏡をさかさに見るように
遠い網膜のこころで
思い出すのでしょうか
そして それは ....
僕は
ここに居ただけ
ここにそのまま居たい
この姿勢で
もたれて
この角度で
かすめ見て
そして
欠伸とかを
して
緑色のいっせんぶんのいち ....
こつんこつんと人にぶつかりながら
下町の商店街を通り抜け
神社の境内に入ると空気が変わる
人々から顔の険がとれ
階段をおとなしく上り
順番を待ち賽銭を投げる
大人は子供の前では見せた事のな ....
{引用=
一、そそり上手
謎めいた言葉の
ひとつや
ふたつ
もどかしい仕草の
みっつや
よっつ
わたしは恋に不慣れなもので
五万の毒を盛るかも
知れませ ....
小さな公園
錆びたブランコ
チューイングガム
たばこ
小さな僕と
大きなあなたが
切なく微笑む
信号機が故障したので
シマウマがやってきて
代わりの信号になった
白と黒しかない縞模様で
シマウマは精一杯頑張った
多少の混乱はあったものの
車も歩行者もそれに従った
強いものは ....
あなたの その 透き通った瞳の奥の
けっして揺らぐことのない 美しい信念の
まっさらで 汚れのない 鏡のような水面に
しずかに落ちる 一滴のしずくから 広がってゆく
ていねいに 塗り重ねられた ....
空 でもなく
月 でもなく
携帯 でもなく
四角い画面 でもなく
もちろん
肩書 なんかでもなく
手 だけ
と
言わず
心 が
身体 が
いい
汽笛の音が聞こえた気がした
汽車などとうに走ってないと言うのに
空っ風が聞こえたのだろう
と思う間もなく年を越していた
この部屋が時間を止めてから
どの位経つのかは解らないが
間抜 ....
アルドレイドは星を見る
オルドランを探して、もう幾日たった
南のほうから音がして
彼女には
それが予兆だと分かる
オルドランは橋を架けて
ひとり、地平を目指す
ただの涙に急き立て ....
夜中に遊園地に忍び込んだら
観覧車の箱はすっかり片付けられていた
仕方がないのでその骨を登って
遠くに浮かんだ月を見た
丁度あの下辺りだろうか
君の住む町は
風がえらく強い日で僕は
....
どこにでもありそうな道端に
どこにでもありそうな大きな石が一つ
座っていた
ある人は
何の関心も示さずに通り過ぎていった
ある人は
怒りを感じて棒で叩いた
ある人は
その美 ....
こんな寒い日は
ひとりの部屋で
暖かくなった時のことを
想ってみます
私は緑あふれる
公園へと出向くでしょう
そして地面に落ちた
木の葉を探すのです
役目を終えていないのに
....
誰かが結び目をほどくように
この世からすべての母はいなくなってしまった
それからというもの
わたしたちはわたしたちのてのひらに
なにかしら母と呼べる物を乗せ
黄昏の明かりにそれらをかざし ....
淡水は海水と違い泳ぐと身体がどんどん
重く感じると今更にそれを実感しながら
私は一歩ずつ深みに誘われ行く
毎日毎日私はこの湖へ通い
あの人からのプレゼントを持ち物を
沈めてい ....
朝日の登る神楽坂通りを
白い息吐きながら、歩いていたころは
昼の12時と夜の12時で
なぜ一方通行の方向が変わるのか
そればかり聞かされていた気がする
カクエイドオリは
故・田中首相と神楽 ....
道端に
鳥の死骸が落ちていた
それは
不時着した飛行船に似ていた
埋めてやろうかと思ったが
埋められるような場所などどこにもなくて
お祈りをしてもしょうがないが
思わず手を合わせてし ....
優しさの
定義の途中で
悲しい君を抱き締めた
何度も何度も
抱き締めた
放熱温度は数千
おそらく加護には不向きな温度
僕は何もかもの途中だった
汗をに ....
結び目をほどくように、
この世からすべての母は消滅してしまったので、
わたしたちは何度でも
てのひらに
母と呼べる何物かを乗せては、
黄昏にそれらを透かして、
祈るように検分し、
うれい ....
1
夥しいひかりを散りばめた空が、
みずみずしく、墜落する光景をなぞりながら、
わたしは、雛鳥のような足裏に刻まれた、
震える心臓の記憶を、柩のなかから眺めている。
(越 ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
みちは
みちゆく
いろみちる
こみち
ちかみち
ぬかるみち
よみち
あぜみち
けものみち
さざなみちかきは
かみちぎる
そら
もゆるみち ....
このごろは配給が有っても
お砂糖はいつでもありません
サッカリンは身体に毒です
甘いものといえば
こどもたちには水飴がよいのです
川向こうの小母さんのうちにあるかもしれません
....
屋根切れてポツポツ毛穴発泡す 雨にも強い想い出シャボン
そんなには好きではないヤツ好く見える昔の歌がよくかかる店
発泡酒ただひたすらに発泡酒 稼ぎの無いよな顔して笑う
心臓に古い破片 ....
{引用=
都会の蜃気楼の
果てを彷徨い
灼熱に目を痛め
渇きに潤いを失い
足を取る流砂から逃れて
あなたがたどりつくのは
砂漠のオアシスの中に揺れる
白いひかりの ....
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