う
ろ
こ
雲
空が
いっぴきのさかな
だったら
夕陽に
こんがり焼けて
う ....
昨日のこと。
夕暮れる空をくじらは泳いで
大きなくじらのそばには
半分ほどの大きさのくじらがいます。
小さなくじらは泳ぐのが苦手なので
大きなくじらよりも先に
尾が橙色に染まってしまいます ....
落ち葉の中に
紛れ込んだスズメは
保護色の枯葉を
ホームグラウンドとして
はしやぎ回つてゐる
いくら喚いても
掻き鳴らされる
落ち葉の
大仰な音には
自分の声すら聞 ....
雲ひとつない秋晴れの中
海に向かって歩き始めた
理由はない
心地よい秋風が
海から吹いてきて
正面に向かっていくかのように
歩いていった
理由は必要ない
海は輝いていた
きら ....
女にふられたので、
好きで好きでたまらない女にふられたので、
砂漠へ行って死のうと、
そのままとかげとかハゲワシだとかに、
食われてしまおうと、
十月の運動会で俺は考えた。
町内会のかけっ ....
コンクリートの塀に
一匹の蝶が来て留る
この目の覚める艶やかさは
一体どこから来たのだ
これがこの世の反映だなんて
私は信じない
むしろこれは世にないものだ
....
5分前に着いた
時の記念日の声に
桜草の声に
促されて売り出された
音の出るテレビと
絵の出る絵本を追い払い
螺旋階段のある駅ビルに
不思議な国の子供たちを
氷詰めにして持って来た ....
風とは
速さでもなく
強さでもなく
遠さです
風を思うとは
遥かの遠くを思うのです
日曜の午後
立川のカレー屋で行われる結婚式で
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに
大船駅から乗った東海道線に揺られている
向かいの席に座った空色の服の女は
携帯電話を鞄の上に持っ ....
ぼぼ
ぼぼってなんだか
可愛らしい
でも
ちょっと恥ずかしいことば
りんご
秋は実りの季節だね
りんご
とか
いい感じ
りんご
って禁断の果実
アダ ....
今日、貴方はこの世界を旅立ちました
それでもこの世界は何も変わらない
万人はこの答えに直面して受け入れてきた
若くして病で旅立つ人もいれば自ら望んで旅立つ人もいる
数十年前に一人になっ ....
異国の風が海原を越えて
俺に吸い込まれ膨張する
暁の光が屈強な雨雲にさえぎられ
細やかな雨が、露とざす街へ静かにささやいて
永遠を
嵐のような
俺の歌は空に拡がる
届かぬ ....
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた
漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こ ....
斑に染まる山もみじ、
濃くたちこめた秋の匂いに騒ぐ、
枯れ落ちた葉のざわめき
そして悪戯な、
木蔭を這う{ルビ下=しも}風 )))
そうだ哀しみは、
雲ひとつない秋空へと昇ってゆく
....
日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く
赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
....
容れ物のように穴のあいた胸に
こっくりと深い紅の薔薇を生けた
晒されて焼けついた
空の心を
かざりたてた
胸にあいた穴が底をうがつ時が
いづれくることを予想 ....
・
ひとあし歩くごとに
わたしの身体からは石が落ちます
からからに乾いた石は
薄い色をしています
わたしはそれを
さらさらかちかち と踏みしだき
疲労し続けましょう
名 ....
君が
君が夕暮れならいいのに
ゆるやかに
侵食される
雲の隙間ならいいのに
そうして
一瞬朱に変わり
再び閉ざされる
僕は夜
君は夕暮れ
夜は待つ
夕暮れがゆく
....
ただ大海原に船を浮かべるだけでよいのさ、
しかしおまえ達が乗り込んで来る日にゃ
女どもをカッサラッテ来た日にゃ
そして海のうえで暮らすためにゃ、
覚悟がいるゾ、おまえ達よ。
「ザワークラ ....
街を歩いていると
仔猫が身をすり寄せてきて
〈子供にして下さい〉
と言った。
海岸を歩いていると
オットセイの子供が
海から這い出してきて
〈子供にして下さい〉
と言った。
....
お天気がよいから
ぼんやりと
窓の外を眺めていたら
あれが伊豆の大島だと
若い人が
得意そうに教えてくれた。
太ったサツマイモを
横に置いた
そんなのっぺりした形が
遠く ....
日常の規則正しい生活や
心が乱れて疲れてしまった時
詩の泉を求めて
旅に出る
詩の泉は
混沌と湧き出てくる詩の言葉を
両手ですくって心に流せば
心の渇きを潤わせ
明日への希望となる ....
カメオ細工の月
地平に凍てつく時
追って
捜して
ススキの陰に
今宵月光を見る
心と身体を射し貫く
秋の夜に
照らし出される白く長い道
命の儚 ....
とても広い湖の
至るところにブイが浮かび
竹を編んだ丸いものが
そっと押されて岸を離れる
竹を編んだ丸いものから
一つのブイが遠のいていき
またそれ以外のあらゆるブイが
どれも等しく遠の ....
私は泣き言はいわない。
私は、泣き言のかわりに、食べる。眠る。働く。
それで、満足してしまう私のところに
泣き言ばかりのあなたがいつまでもいることが
そもそもの問題だった。
あなたの身体 ....
やわらかな枝を手折る途中で
雨雲をみた
止まり木をなくしてしまえば
よけいなうたを
聴かずに済むから
こころは
しずまる筈だったのに
しのびよる冷たさのなかで
雨雲のたくら ....
ようやく咲いた雲も
やけににぎやかな空に
こころもち
埋まってしまって
夏の面子からは
すっかり
雲の白さが
追い出されてしまっていた
蝉の羽音も
わめく声も
湿り気の中に
熱気 ....
僕は
あの木のてっぺんに上りたい、と
あこがれてみただけだよ
幹にふれて
枝をみあげて
ただそれだけで
服を破いたわけでもなく
すり傷を負ったわけでもなく
あこがれてみただ ....
そしてオレは
其処から脱け出すために
時間をかけて 翼を造ったのだ
羽毛のかわりに 小さなナイフをたくさん繋ぎ合わせ
銀色に鋭く{ルビ煌=きらめ}く翼を造ったのだ
それを造っ ....
嵐の去ったその森は
かろうじて残った者たちが起き上がり
皆で互いを確認しあい
それぞれがその生をいそしむ
弱きものは流される
自然の厳しい法則は
世界の大小に関わりなく
適用されてゆ ....
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