あのハチドリの夏を思い出してみる。
誰もいないブランコ。
懐かしいプールのにおい。
今にも切れそうなゴムとぜんまい。
偽造された空を
どこまでも飛んでいった
僕のハチドリ。
君は ....
ヒゲヅラでピアノを弾き
自分の世界に入る
他は何も聞こえない
時間がゆっくり過ぎて行く
何も考えず
息をする
全てを忘れる
いい事もいやな事も
もう頑張れない
涙がツゥーと落 ....
炎の塊がどんどん大きくなっていく
僕の心もどんどん大きくなっていく
知らず知らず僕は少しずつ大人になっていった
まだ子どものままでいたい
ピーターパンシンドロームでもい ....
ごみ袋を引きずって、
外に出る。
家の外に出るのは、
三日ぶりだ。
ずるずると、
アスファルトの上を、
引きずって運ぶ。
集積所の周りでは、
ご ....
夕暮れ、
遠いほうから、
なつかしい風と、
鈴の音が聞こえた
まずは左手をかけ、
それから右手をかけ、
首の根元を、
きつくしぼり、
左手がほどけ、
右手がほどけ、
首の根元が ....
夏の
体の
着衣のまわりくどさを
一枚、一枚、可愛がるように
指でしか剥ぎ取れぬ熱を
一枚ずつ剥ぎ取ってきました
あ、
そういえば、
非常階 ....
ファーストペンギンは
勇気があるから真っ先に
海に飛び込むんじゃないよ
後ろから迫ってくる
他のペンギンたちに押し出されて
ぽちゃん
こんな感じ
そう教えて
プールに飛び込んだ君を ....
記憶の湖に小船を浮かべる
揺らぎの中を覗く
湖の底で幽かに白く
蜃気楼の様に
魚の影の様に
消えた世界が見える
あれは何処
あれは何
あれは僕
あれは誰
....
暗雲垂れ込める麦畑―、案山子の
ボロボロの手袋にはヨレヨレの筆記体で
オヤスミ世界!と、書かれていた。
冷えきった繋いだ手と手を温泉で去年の炎暑を取り戻そうとす
耳元で優しく君が囁いたあの夏のさよならを海で泳がす
夢うつつ瞬時に散りゆく白昼夢、儚く消える思い出花火
....
「太陽は暴力だ。
冷房の効き過ぎた教室で
あたしはカーディガンの袖を食みながら
前方伸身2回宙半ひねり
を、決めた燕の
誇らしげな嘴を 遠く眺めていた
あの、三つ子の巣立ちは
母の墜 ....
小さなブタが
前足を少しだけ上げて
思い切り鳴きます。
小さなブタが
なんだか奇天烈な姿をした
巨大な石の群れに向かって
思い切り鳴きます。
前足を少しだけ上げて
闘争本能をむ ....
不思議な声で
鳥が鳴く
梅雨の終わりに
わたくしはその鳥の名前を知らない
ワールドカップの順位表で
トリニダード・トバゴという国の存在を
初めて知った
わたくしはその国の ....
照りつける夏の陽射しの下
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか
( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
会話は
なんで成立するのか
ボエケットの帰りに考えた
共通の認識があって
共通の感性
共通の世界に住んで
穏やかな気持ちで居れば
ことばは要らない
迷惑な三角帽子
巫 ....
今日がちりちりし始めたので
お昼のことは迷わなくてもよくなったらしい
相談をすることもなく蛇口をひねると
一目散に今日を冷やしている
水切りをしたざるの隙間から
麺がいやらしくはみだしたのに ....
食うか食われるかの
勝負が掛かっている
愛はゲームではない
愛は増える物である
今日はめでたい日
待望の日
復帰の日
寿司だ寿司だ寿司持ってこい
尻に火が付いているのに
他人 ....
やがて
夕闇に閉ざされる海の
光る航跡を追いかけて
白い波間に漂う一人ぼっち
私の貝殻は声もなく
最近、雨が降ってばっかりなので憂鬱でしたが、今日は結構良い事があって嬉しかったのでここで、ひそかに綴っておこう。たまには雨にも打たれるべきです。
今日、仕事からの帰り、いきなりもの凄い豪雨が ....
やわらかい風の音に誘われ
仰ぎ見る雲の白さに時を想う
軽やかに歩く子どもにすれちがい
友に会い喜ぶ顔に人を想う
さわやかな小鳥の声に耳を傾け
朝に咲く花の白さに生を想う
滑らかに下る車 ....
言葉にすべてを托すには
あんまりに吃音に悩みすぎる
無理やり水で流し込んでも
排泄も正しくおこなわれない
いのちは揺れるようにかがやくのに
確かにかがやくのに
駄々をこねる ....
1.その朝
飼っていた鳥を籠から逃がし
ニュースの事件で共に泣き
生ごみはベランダの植物の
肥料として再利用
洗剤を使わず食器を洗い
お風呂の残り湯で洗濯し
手紙の返事を全て書く
....
「輪郭はね、大きすぎない方がいいと思うんだ。
両手を、こう。ゆらりと、一杯に広げたくらいの」
朝の電車は
どこかに海の匂いが紛れている
だから皆、溺れた ....
昨日は切なさを
今日は愛おしさを
明後日は狂おしさを
一枚
また一枚
引き剥いだ心から溢れ出る
あかい
あかい溶液は
あなたの眺める空を
あなたの愛でる花を
染めぬいてくれるでしょ ....
男の子が砂浜で木琴の練習をしています。
裸足の男の子が、サルディーニャ島の砂浜で
木琴の練習をしています。
明後日は学校で発表会です。
砂浜は今日も白を誇っています。
その海岸線はどんな ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後
砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる
ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
かわぎしに座って
水面のぎざぎざを
ながめながら
お弁当を
食べていると
くろい2匹の蝶が
ひくい空からあらわれて
ぼくの周りで
くるくる回る
たまごやきは ....
顔も思い出せない人だけど
その声も聞けないけれど
もしも叶えられるなら
せめてその眠りを妨げるものから
あなたを守りたい
言葉が溢れて眠れぬ夜には
その話をただ聞いてみたい
あなたが ....
明けてゆく
夜の濁りが沈んで
上澄みみたいな
透明な青に
鳥のかたちの
見慣れぬ生き物が
一羽
滑空して
かき消すように
蒸発する
黒い河のほとりで
まつ毛の先
震わせながら
....
おれは
生中10杯飲んでも
吐かない
おれは
流行の短パンなんか
穿かない
おれは
床にこぼれた砂を
掃かない
おれは
ビーチサンダルを
履かない
おれは
か ....
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