西瓜を
ノートで割って
ペンで食べた
残っているのは
種と
皮と
僅かな食べ残しの
....
バラが咲いた
灰色の地衣類コンクリートブロックに這い上がる
暗い庭に真っ赤なバラが
古い光が正午前の短い時間に射し込んで来る
祝福の時間は短いほど真摯だ
寂しかった僕の庭にバラが咲い ....
お花の咲いた畑から
飛んできたのは白い蝶
夢の中まで飛んできて
私を好きかと訊ねてる
ほんとの事を言いますと
寄って来たのは帆立貝
私に懺悔を言ったって
海の泡には返れまい
足 ....
じいちゃんが夕涼みしてる
静かに 静かに 黙って 黙って
ぼんやりと煙草を吸いながら
縁側の無くなった都会の隅で
ガードレールに座って
車道を眺めながら
時折道端の排水溝辺りから
....
※この詩は、下の行から上の行へと読んでください。
人間というものを。
私たちは知らなかったのです。
私たちアンドロイドは、母の葬式で涙を流しませんでした。
だから私たちアン ....
材料
200mlくらいの牛乳と100gのポッテリバター
間をとって150gの小麦粉と
砂糖は80g 控えめでいいんじゃない
苺 かわいいだけじゃだめね
卵は2個 どっちかっつーとMがいい
....
夜行性なのか
夜になると元気になる婆が
大声で機嫌よくも
喚く濁声
お盆を過ぎたころ
わたし
静かになった田舎に帰省します
電気も水道も
惜しみなく使われて
堪え性もなく
計画性も ....
少しずつ 遠ざかった街で
午後の地下鉄に揺られながら
僕は いつかの頃を思い出している
目の前を
たくさんの人が
揺られ押され 通りすぎて
毎日決まった場所で
同じように吐き出さ ....
二時間くらいだったら
僕だってがんばれると思って
書を捨てて
(私が書を捨てたとき
向かいの道に黒い帽子を被った男がいた)
町に出て
(帽子の下には真っ白い顔があって ....
ソーダの泡のような微睡みのなかで
懐かしい とても懐かしいその面影に出会った
記憶の深くに留めようと
すればするほど
表情は淡くなる
ならばこの夢でだけ覚えておこうと
思い切りこころを ....
オーイェー!行くぞー!
皆盛り上がっているかい?
ファイヤーエンジン全開で
水をぶっ掛ける
メイクも取れて
スッピンだ!
ベイビ、夢を見せてくれ
ロックで乾杯
灼熱地獄で歌い
....
中学のころ
数式が嫌いだったので
教科書の中の
一番大嫌いなページをエンピツの先で突いて
そこから世界がどんなにみっともないか
のぞいてやろうと思った
穴から見えた緑の黒板は
やっぱり
....
掃除夫は掃除する
私は挨拶しない
掃除夫はいなかった
私はいなかった
私はどこにもいなかった
掃除夫もどこにもいなかった
私はしばらくして
掃除夫の存在を消してしまったことを恥じ
なん ....
雨があらいながしてくれる
空をかけめぐる
あんな想い
こんな想い
みんな
きみの足元へと
流れおち
小川となって
いつか
あの人の
小川とめ ....
夏に凍てつく
雨は胸をこして硝子玉になる
抱いている
空のように抱えきれない空を
わたしのてのひらも腕も
骨になり粉になり空中に舞った
雨は風鈴の匂い
哀しい ....
時の羽ばたきが 瞼をかすめる
世界中どこを漂泊しても立ち位置が無い
空隙だらけの足もと 定まらない重心
目を閉じて大地に寝転ぶと
それがわかってくる
透明な午後 風は光り
丘は彼方 ....
夏の野は風の{ルビ恋歌=マドリガル}
花摘みの少女は一心に
草のまにまに漂っていた
白い花ひとつ{ルビ挿頭=かざし}にして
赤い裳裾をしめらせながら
濃厚な夏の匂いがたちこめる
姫百合の花 ....
空は青く澄んでいた
雲は白く大きかった
鳥は軽く自由だった
木々は柔らかくしなっていた
草花はたくましく美しかった
大地は遠く円くたいらだった
海は穏やかに荒々しく
....
街十夜である
さびしさのかたまりとぶつかりあう
場所
たいしたことないと
みんなが強がり
たいしたことないと
みんなが慰め合い
たいしたことないと
これくらいどうにでも ....
うら若き
母の乳房が、
贅沢にも
ふたつあった
乳飲み子は
疑わず、
ただ ひたすら
顔を埋めて
果てのない愛を溶かした、
淡い、野生の匂いに
ながく永く包まれている ....
※この詩は、下の行から上の行へと読んでください。
全ての水は蒸発し 消えて無くなってしまうのである
〇〇がどう在るべきかを 考えていかなければ
それを霊的な目線で あなたがた ....
させられて 触れたわけじゃなくて
あきずに続けただけの ことだから
だらしなく つっかけて
ぼろぼろの 噛み癖
気の毒なんて
言われないし
悲嘆は
花さえ開くことを望めば
....
合いたくて
合いたくて
閉じ篭る傷のような胸、を震わす、脈拍という水音は
水面に似た、例えば窓に合いたくて
合いたくて
開きたての傷のような喉、を震わす、息という泡は
水面に似 ....
誰も知らない顔をして
通り過ぎていく君の強さ
夏の制服の薄いシャツから伝わる
淡い匂い 淡い声 淡い想い
すべてが溶け込んだような
プールの塩素の匂い
もう過ぎてしまった七夕は ....
願いをかけた
あの瞬間は排斥
磨耗した言葉が
軋んで悲鳴をあげているわ
オジョウサン
ソレ
コトバノムダヅカイ
くるり廻って転回な展開
はっぴー七夕でい
こそ ....
{引用=題なんて散漫すぎてつけられぬ
三十一文字の宇宙へ捧ぐ}
レプリカのゲルニカを敷きつめた部屋で健やかに生き呼吸している
....
雨の後には、薄い煙のような街で
君はすっかりと拡散してしまっている
夏は暑すぎて
僕らは重すぎて
渡るつり橋はどこにも見当たらない
この粒の一つひとつが
誰かのため、になっていく
昨 ....
水車を造つて里を出た者がゐる
自分が村にとどまれないから
代はりに水車を廻して――
いつたい何を
この男は水車に託したのか
いくら頑丈に拵へてあるとい ....
耳を澄ましてしまえば
その囁きが
意味となって
ぶつけられるから
凪いだ海を見つめても
山の端の落日を見上げても
溢れるように
言葉を紡いで
狂ったように笑って
始まりばかり ....
友達が一人 幸せになった
それを知って俺も幸せになった
そして俺の幸せを見たおまえも幸せになった
三人で幸せだね幸せだね幸せだねと言っていると
あいつもこいつもそいつもどいつも
みんななだれ ....
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