部屋に閉じ込められて
いつからの「君」との文字遊び
浮かぶフォント
踊る僕の指
大好きな演奏曲はスピーカーの闇から
昼間の蛍光灯はチカチカと死にかけてる
そんな日々の中
僕の打つ言葉 ....
ぼくの 守護天使が 堕ちて いった
それに さよならを 言えなくて
それを たどって いった
花咲いていた {ルビ時世=ときよ}には 終わりの 結び目が ....
草合歓の葉陰から
かすかにもえる月を見た
藍青の波間にひかるものは
あれは はるかな昔
指から落ちた曹長石のかけら
青みをおびた涙の石の粒
もしも
月の淵から水音がしても
蠍が ....
わたし疑われています
あのひとがとても大切にしている
ミニカーがどうしても一台足らないと
夜毎わたしを問い詰めては
狂ったように折檻を繰返すのです
わたし紅薔薇婦人じゃないのに
緋色のロー ....
見渡す風景は透明な水色
水の中より君を見る
舞う蝶よ
ここでしばしお休みなさい
厚いガラスに気付かぬふりで
我らはしばし寄り添おう
夜になれば
きっと境も忘れよう ....
真夜中の街
儚い灯りを縫い合わせて
君はいくつも
星座を作ってみせ
物語がわからなくても
知ったかぶりで綺麗だねと
僕は何度も
言うのだろう
地上の流れ星はいつも
赤 ....
二〇時二四分
摂氏二二度
じき戻る家族のために野菜を切る手を ふと
止める
来ているのが分かる 壁を隔てて
すぐ後ろに
ずっと向こうに
(月も ....
好き
嫌い
好き
嫌い
好き
嫌い
好き
嫌い
あ
花 ....
ウエッジソールのサンダルなんて
3年たったら過去の遺産
昔はやった厚底サンダル
今年のウエッジソールと何が違うの
星型の砂を探して
海に行こうと決意した
私はふわふわと波に乗る女
....
僕の顔をそっと撫でていたのは
一体誰の手だったのか
美しい溜息
あれは母の手だったのだろうか
それとも夢だったのだろうか
台所では
夕飯の支度が進んでいる…
足元は、崩れている。
真っ直ぐ歩くことも{ルビ覚束=おぼつか}ず、
肩が揺らいでいる日々。
( ぼくの脳内には
( 壊れたリモコンが内蔵されている
胸を張れども三日坊主。
....
夜明けの窓は孔雀色
今年もまたうたうように
アガパンサスが咲いている
七月はわたしの中で
いちばん甘く実る果実
君はいつかそれを 別の名前で
呼んだかもしれない
少しずつ風がうご ....
ありがとう
ありがとう
中村先生
ありがとう
ありがとう
ありがとう
一パーセントに
当てていただき
ありがとう
ありがとう
ありがとう
ぼくの妖精を
壊してくれて、
....
この雨はもう止まないかもしれない
街も道路も車も人も水浸しになっている
ほんとに誰かがバケツの水をぶちまけているのだろうか
梅雨の終わりには
雨の神さまがバケツを空っぽにして騒ぐの ....
きいてきいて UFOに乗ったんだよ
嘘をつくな嘘を
ほんとだって 目が覚めたら知らない場所で
宇宙人に連れ去られたってのか
そうだったみたい
ああそう そりゃよかったな
ぶじ帰ってこれたし ....
見知らぬ人から葉書が届いた
元気ですか、とだけ書かれているそれに
元気ですよ、と応えてみても
一人の部屋は結局一人だった
置いていかれた
この街も、いつの間にか色が薄くなってきている
....
目の前に置かれた石を
思い切り、蹴る。
弾道は前方に細く長い弧を描き
一面の霞の向こう側にある
無数の「明日」を貫いて
激しい雷雨の日を貫いて
柔らかな陽が注ぐ日へと
....
さて
飽きるほどの恋からも遠ざかり
梅雨の間隙を縫う洗濯ばかりに
脳みそを支配されている私に
今のところ夏の予定はありません
貴方
先月結婚したそうでおめでとう
おかげさまを持ちまし ....
IN MY LIFE
お元気ですか
ときめいた季節は過ぎて
あの
真っ青な空があったことすら
忘れてしまうほど
ずいぶんと
私等は
目の前のことにのみ囚われすぎですね
い ....
縁日の知らせを笛太鼓が告げる
心底に響く懐かしいメロディー
思い出す思い出に花を咲かし
酒の肴にする
最近の子供は金魚掬いを知らないだろう
と、飲み屋の親父はそんなことを呟き
串揚 ....
遠い朝 日に乗るように
長靴が 畑の真ん中に立っています
沈んでいく桃色の光が 靴底で
何人かの村人に 似ていきます
ひそりと ゆえに おもむろに かぜ
駆け出しそうな 針葉樹の ....
この眠れない夜
少し開いた窓の隙間から
カーテンの裾を揺らすのは
頬を掠めるひやりとした夜風
紛れ込んできた露の雨音に
畳の匂いが、一層、濃くなる
月があるわけでもないのに
外は仄か ....
何も考えない
時に身をまかせ
ギターをかき鳴らし
歌を歌う
お袋は買い物へ
親父はつりに行った
妹は遊びに行った
俺は一人でお留守番
水槽に金魚が
ヒラリヒラリ
銭湯であち ....
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く
汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小 ....
地球をおおう大木に生るひとつの実としてのわたしは
わたしは?
わたしは
何を言おうとしたの?
地球をおおう大木に生るひとつの実
とはつぶやかれたので脳に録音されていた
それより ....
ゆめの空にひかりの魚が跳んで
まぼろしの丘でみどりの犬が吠えたてて
ゆめの海にかげりの鳥が泳いで
まぼろしの里でにびいろの四次元がわめきたてて
草の茂みから
木の上へ
さらに
低空から
中空へと舞ふ
一匹の蛍
漆黒にあらがひ
淡く
かぼそき線を曳き
線といふよりは
点滅
・・・・・・・
....
窓を閉め切った真夏日に
枕に
むせ返る香水の薄靄に
顔をうずめて
真っ白な交わりを
まだ梅雨は帰らない
降りそそぐ
部屋中のアクロソーム
その先体構造に侵されて
私、 ....
土砂が流れ、人が死ぬ。
山あいの村を、水があふれる。
生活をすべて、押し流していく。
ささやかなものを。
IT長者たちが、お互いの富を分配する。
早い者勝ちですよ、と
悪びれずいう。 ....
始めて出会って三秒で
僕等は抱きあった
それは僕の小さな悪戯
握手をしたまま右手を引いて
僕は君を抱きしめた
そのまま僕等は抱き合った
余りに君がチャーミングだったから
そうせずには居ら ....
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