{引用=
あなたの
指の隙間から
こぼれ落ちる
哀しみを拾い集め
風の自転車は
秋を走る
淋しさは旅立った
淋しさは空の彼方
だからあんなに
高 ....
朝起きて、まず炊き立てのご飯でおにぎりをつくるのが最近の習慣。
力まかせにたくさん作る。
朝2個たべて、こどもたちにも2個づつ食べさせ、
それから、やっぱり2個を自分のバッグにいれる。
仕事の ....
電燈の下で
もりだくさんの
蛾が
土壁に群がって
矢印になってる
あたしは
バルーンスカートを
揺らしながら
その方向に
走っていった
暗やみが
生まれたて ....
電話のむかうの声は、広島から来た
優しいいたわりに満ちた父の声だつた
祖母がさつき亡くなつたと告げてゐた。
東京の空
広島と同じ東京の空
思へば 貴方は疲れを知らせもしなかつた ....
金木犀の
金木犀の
花の陰が
心にはらり、落ちてゆく
この道は
この道は
いつに辿ってきたのでしょう
金木犀の
金木犀の
花の香は
昔にかよう
消えかけた
面影一つ ....
イメージするたびに
少しずつおまえが遠くなってゆく
大きなヘッドフォンのゆるさは少しも変わらないのに
霞んでゆくような映像のぶれが切ない
ベッドの下を掃除していると
おまえの口紅 ....
僕は生きている
その事自体が罪なのか
道造は二十四歳で逝った
中也は三十歳で逝った
祐三も同い歳で逝ってしまったよ
だのに
僕は未だに生きている
罪の上塗り
恥の掻き捨て
僕が愛し損 ....
旅をつづけるほどに
私たちの旗は透明になり
時折見いだす標にしるされた言葉も
少なく 暗示的になっていった
足の指をじっとみる
ひざをかかえて
じっとみる
なんてふぞろいで
なんてぶさいくで
なんてぶきっちょで
頭をそろえて
ひろげてみても
またぞろっとよりそう
なんのために
お ....
秋の空気はどこかやわらかく感じるのは如何してでしょうか?
夏の熱を孕んだ空気がやわらかく溶け始め、冬の身を切るような冷たさを孕む空気の合間の一瞬をわたしはずいぶん好いております。
カーテン ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします
眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
いつもよりも少しだけ
人の話に耳を傾けてみたら
少しだけ
人の温もりを
知るようになりました
いつもよりも少しだけ
花を見つめていたら
少しだけ
永遠というものを
考えるようにな ....
風吹けば
薄紅色の水玉模様
ありがとう
もう何も考えなくて済む
閉じこめられたら
二度と目覚められなくなる
それがいい
さ ....
悲劇を楽しく踊りましょう
みなで薪を取り囲み
すると火は
あなたの服に引火する
あなたの悩みが燃え上がる
それでもあなたは平気そう
悲劇とはこんなものだと
あなた ....
あなたの眼は
あの彫刻より
美しい
暖かさと冷たさを 併せ持ち
時折 艶やかさが顔を出す
あなたの鼻は
あの彫刻より
美しい
高く美しい曲線を 描きながらも
決して 行き過ぎた主 ....
ツーツー・トン
トントン・ツー
っーっーとん
とんとんとん
おいしそうな音がする
わくわくっっっ
トンネルをくぐると
其処は、
恐ろしい地獄だった
っっっ、と舌を出し ....
爪からこぼれる蜜の香りは
やさしく手毬に
塗り込めましょう
今宵
千切れてしまう羽はいくつ
枯れてしまう草木はいくつ
夜露は静かに
鏡となって
子守唄がにじみます
いつわりの片鱗 ....
胸の奥の底のある
ムズムズの原因のばい菌は
苦いクスリで押し込んだ
ちっちゃな天体望遠鏡をのぞき込んで
かすかに見える星達に意味無く涙をながした
黒く揺れるブラックコーヒ ....
いつもさいしょでさいごに
いまここにいる、
小石の投げこまれた池のように
よどんだ
時。わたし。
そうして飛び出した
時と時とをわたすはしごを
少しも休まずにわたる、
いつも時 ....
女にふられたので、
今度のこんどこそ、
この女でなければならない女にふられたので、
トマトジュースを飲んで、死のうと思った。
なんでトマトジュースかといえば、
野菜が足りないと思ったからだ。 ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
たま
たまはいつも
ちょこんとそこにいる
ね
たま
たま たま たまが
たまたま玉になる
自由だけれど
狭いのがすき
そのまるは
どこからうまれてきたの?
ね ....
寂しい木立に小さな家一つ
煙突のある小さな家から男が出てきた。
外はゼラーゼラーと冷たい風が吹きすさんでいた。
濃いグレーのスーツに同じ色の帽子、そしてそれよりももう少し濃いグレーの ....
「パリーへ二人で行こう」
あの頃は佐伯祐三に焦がれていて
寝物語に囁いた僕の言葉を
君は黙って受けとめてくれた
僕に離婚歴があることを
君は問わないでいてくれた
僕が夢見たパリーの空は
....
古い自由帳の表紙の
写真の仔犬は大人になって
もう死んでしまったかな
わたしはまだ
生きているけれど
自由帳に
じゆうなゆめを
描かなくなったよ
いつの頃から
ゆめは ....
遠い昔の{ルビ故郷=ふるさと}で
おちんちん出して川を泳いだ子供の頃を
懐かしそうに語るO{ルビ爺=じい}さん
空の上からそっと見守る
若き日に天に召されたO爺さんの奥さん
....
四時三十六分
始発
どいつもこいつも
終着にむかっていきやがる
終着は、またどこかへの始発で
始発は、いつしか誰かの終着で
だれもかれも
途中で降りるのだろう
{ルビ可変電圧 ....
理由をお尋ねしても構いませんか
無用な物事に慣れてしまえば
あなたの哀しみと同等に
わたしも哀しいのです
涙の理由を
お尋ねしても構いませんか
夕闇のなかを
誰も彼もが急ぎ足 ....
引き伸ばす空もない朝花びらは色を濃くして道を千切った
高い柵取り残し飛ぶ鳥からも奪えるものはあると思う
雨だからドアにはりつく葉の傷は治らないのだ言い訳のように
背に生える蕾を思う病 ....
むすびめに つまずいて ころんだ
ものずきに おなじみちをきた
きみも つまずいて ころんだ
そこで ふたりは むすばれて
あたらしい むすびめになった
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