笹薮の中の

一輪の百合よ 

かぐはしくも

夢幻のやうにともつてゐる

白い灯よ



潤ひのない荒野に 

花弁をひらく

おまへのその

ひそやかな立ち姿は ....

雨のような音がしていた
始終ずっと
雨のような音がしていた

よくよく考えてみると
それは雨の音ではなくて
誰かの足音だったのかもしれない
雨の音は段々近づいてき ....
目覚まし時計の電池を抜いて
針を止めてはみたものの
時間が止まるわけでは無くて
時間が戻るわけでも無くて
ぴかぴか光る文字盤を見ている
わたしはきっと
何かを後悔してるのかもし ....
あの頃あたしは
モンパルナスの小さなアパートで

クローディアと一緒に暮らしていた。

暮らしていた、と言っても、三ヶ月くらいの間だったけど。


その小さなアパートには、
クローデ ....
 
今宵十五夜の月を
楽しみにしておりましたのに
朝から硝子窓を濡らす雨は
一向に止む気配を見せません

花器に
手折った数本の芒と一枝の萩を
無造作に入れ
恨めしげに外を眺めており ....
 にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜
 にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜

どこからか鈴の音と 日向が窓辺に
秋祭りだろうか 風にあんずの匂いを乗せて


午後三時 コタロがお ....
空のむこうがわで
むこうずねが痛がったら
ぼくはがまんする
いつもがまんする
泣きたくてもがまんする

すると空のこちらがわで
むこうずねが音叉のように響き
ぼくは涙する
いつも涙す ....
深いねずみ色の雲の上に
薄ネズの雲は所々に白く
さらに遠い高層雲は青く浮かぶ

月の虹は丸く
流れる雲が生き物で無いと示す

止まった呼吸がすっと吐き出され
僕はこの世に帰ってくる
 ....
凡庸なきかくのなかで踊りたいそこで鍵盤たたいてエディ

 
継がせない焼け焦げたって譲らない成れの果てよりもうすこし先

 
細胞の悲鳴を裂いて与えられる消えない紅蓮ととろけないチーズ
 ....
波が立ち
風が吹く
寒い
雨音

何も無い一日
柿にヒヨドリ
時は流れ
陽は沈む

水は命を育み
木々は生茂り
魚は泳ぎ回る
人は癒される
雨の日の冷蔵庫は
扉を開けるのが
いつもよりもどこか重たくて
暑い日よりも
その冷たい空気が肌に伝わる

建物の中の
頑丈なまでのその箱は
激しく雨が降ろうとも
そのリズムを変えるこ ....
マグマみたいに燃えタギル涙を流すことが出来た
二十歳の頃、何でも誰の前でも迷惑なほどすぐ泣けた。
好きな人はひとりだけだったし、裏切られて
責めることもできた。そしていつでも明るい朝が来た ....


最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから

正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである

或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
 ....
11月に入ると
街は雪への準備を始める
明け方凍るような寒さが
布団の中まで忍び寄るとき
窓の外に広がる庭では
チューリップの球根が眠り
その上の土は
ほんの少し盛り上がっている

 ....
  冷たい雨が染み込んでゆく{ルビ苔=こけ}の
  やさしい沈黙に
  身体を重ねたくなる夜は

  窓ガラスに青いセロファンを貼りつけて
  閉じ込めた気泡の膨らみを
  指先でなぞって ....
何処かかが悪いわけではない
血が滴り落ちてるわけでもないし、
痣があるわけでもない
なのに体に痛みを感じる

定かではないが、言うなれば胸の辺りが
指の間から水が零れていく
その瞬間に鳥の横顔

夢から覚めたかのように頬が冷たい
パジャマに水飛沫
涙の跡のようにてんてんと残して


水に放して

捕まえて


また、放し ....
ガラスに映る私は
遠い日のあなたそっくりで
げっそりと、疲れ方までそっくりで
慌てて背を正しても、微笑んでみても
その仕草までもがそっくりで


かあさん、げんきですか?


その ....
剥いてしまってください
私のからだを
   のように
剥いて食べてしまってください

甘くて柔らかいって
思ってみてください
切ってみてください
銀の冷たいナイフで

泣いてもいい ....
ちじょうのおてんきは
てんのめがみさまの気分

はるは
めがみさまがおひるね

つゆは
めがみさまがさみしがってる

なつは
めがみさまがたいようしんにこいこがれてる

あきは ....
 テレビCMの「5日間限定」の文字に
 きらりん
 あなたの目が光る

 前日の夜から
 わくわく
 明日は一緒に食べに行こう と

 そんなの作ってあげるからさぁ
 家で作 ....
太陽が落ちかける頃
森の中で
ベンチに君と座った
今年最初の蝉の鳴き声
そこで聞いたんだ
月が霞んで見えた


高すぎるビルに囲まれた場所
誰もいない場所をさがして
ベンチに君と座 ....
眠れる人魚は
海を失ったことを知らない
もつれた後ろ髪は砂になって
青白い街に降り積んだ




水になりながら
瞬きのほかは
宝石の泡に見惚れてた
かげる頬はい ....
起きぬけに
ゴキブリホイホイから
ゴキブリを逃がしてあげる
ああ
天使になるのも楽じゃない

駅の改札で
背伸びする小学生の
きっぷを買ってあげる
ああ
天使になるのも楽じゃない
 ....
白黒同居してて
灰色じゃないところが好きよ
愛しのパンダちゃん
色なんか無い世界で
幸せになりましょうね
雨の夜の月
雨の夜の月
誰かの傘に
しがみつく


片目を閉じて
じっとしていて
あなたの水は
内にばかり痛いから
川面に跳ねる無数の虫たち

深い底の
引力に抗って

跳び続けなければ
直ちに飲み込まれ

消える

嵐の夜の虫たちは魚となり
晴れた日には姿を隠す

掬うのは
網ではなく ....
お出口は右側
どうかお気をつけて
みなさんお気を
お気を確かに


非常口飛び出す
かわいこぶりっこ
出口がわからない
かわいこぶりっこ
手にはカッター
握りしめて

破片を ....
尾羽を風に吹かれて
鶴はどこまで歩いて行くのだらう
追ひ風に逆毛になつてゐるだけ
見栄えのいいものではない


貴婦人がふくらむスカートの裾を
気にする風情で
遠ざかつてい ....
木漏れ日のなかにすまう
古ナスのこむぎあえが
わたしをじっと
見つめている。
なみだ目で
わたしのくるぶしを
見つめている。


天窓にかがやくすずめばちの羽音に湯気はかかり
「今 ....
水在らあらあさんのおすすめリスト(3565)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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