紺青にけぶる空を薙ぐようによぎる、小型の戦闘機は燈色に燃える閃光をつれて。ゆっくりと浮き上がりはじめた海面に、硝煙にむせた妊婦たちが次々に溺れていく。あなたはやわらかな耳朶をふるわせて魚道を探す。冷た .... 黒猫は廊下に佇んで、
じっとこちらを観ている。

部屋の中にいても落ち着かない
餌をくれてもあまり食べない

探し回る 探し回る
自分の目が開く前から
抱いてくれた母親を

不 ....
いちにちが終わった時に
お財布の中に残っていた500円玉を毎日貯めている

拒食症気味の私の昼食は決まって
アロエヨーグルトと豆乳とコーンスープで350円くらい
1000円札を出すとお釣りに ....
仄白く霞む渓谷を見下ろす
濡れた衣服をそのままに
身じろぎもせず

洗い流した穢れは
一箇所に辿り着き
昇ってゆく
細やかな雨になって降り注ぎ
大地に蓄積して
芽吹いて実る
雌 ....
ひとりばらまきながら、
立ちつくした、ばらまいている、
鳥は私たちにそれらを、夕暮れは
私たちに、聞くだろう。ばらまいている立ちつくしたそれらにしている、
手のようなそれらを。


 ....
さいごに何か言いたいことは

神父に言われた死刑囚は
「おれは
手品師になりたかった」
と言って
舌を噛んだ

そのとき
神父の持っていた
聖書は
白紙だったことを
だれ ....
僕はケータイで
ニルヴァーナの
「十七歳の娘の匂いにむんむんむらむら」
を聴いていた
そうしながら
いつの間にか
旦過市場の異次元に迷い込んでいた
魚屋で一匹の
真っ赤な
鯛が
「 ....
寒くなってくると幸せが細く薄くなっていく
すこしずつ、少しずつ
朝と夜の冷え込みが幸せをすかすかにして
ちょっとした風や接触で
うすく、薄くなってしまう

何かの弾みに急に寒さが押し寄せて ....
ぼんたん飴をすりつぶしたように
雲がうじゃうじゃ

あとは青
みんなみんな神宮橋を渡る

横から波と風、羽、工場からのガス
大きな風車がいくつもいくつも見える

車はまっすぐに走れ
 ....
みんなのなかでゴハンを食べると
孤独になるから食べたくない

みんなのなかでゴハンを食べても
話すことが無いから黙ってる

みんなのなかでゴハンを食べても
みんなも話すことがないから静か ....
その食堂はうらぶれた路地裏にあったが、薄暗い路地にその食堂の入り口だけ煌々と灯りが点っていた。いつでも結婚式が行われている。食堂の食材は何処で調達したか、随分と脂分の多い肉と水ッ気のない葉野菜と萎びた .... いま僕の目の前に広がる光景

それは決して
僕にとって喜ばしい光景ではない

思考を止めて
やりすごそうか

何も考えたくない
逃げたいな

そうだ

誰だって
嫌なことは ....
ゆさゆさとある日の午後
瞼を閉じれば薫る風
泣いて笑った命のリズムで
まるで道端に植わった
草や花みたいに
君が揺れてる時が好き

ありふれていて
とても透き通っている
一篇の短篇小 ....
 とぎすまされたナイフのように
 口元にはいつも
 ふっきれたような不敵な笑み
 藤木くんはそういうひとだ

二十歳すぎ
鼻と耳にピアス、眉毛なく黄金色の長髪をふりみだす姿はライオンのよう ....
{引用=
おぉ
黒い服に身を包み
大げさな声でぺちゃくちゃとしゃべり
鳥の血よりも鳥の
モモ肉を好み
トウガラシの種を庭に植えては
庭の土を更新
し続ける者よ
お前たちのあざ笑った
 ....
この想いグセ
なおらない

まるで
外科手術で切り取った
カラダの一部が
ないのに
まるであるかのような痛みを
見させているようだ

うずくのだ
しくしくと

ひとりでいると ....
空白は皿の上に在る
私はパンを籠から取り
ナイフで割る
そして
硬く焼きあがった皮を千切り
ワインを飲む

空白はやはり空白のままで
給仕が皿を下げ
新しい皿を私の前に据えた

 ....
良い詩が書けないから自殺がしたい



















 ....
 
 
本の索引をめくる
たくさんの指紋がついている
たどって行くと
エスカレーターがある
エスカレーターに乗って
植物の茎を昇っていく
やがて一枚の葉が終点となる
葉の先端には小さ ....
 マヨルカ島にふきよせる地中海の青い風をすくいとる
 ピアニストの手のひらは白い
 葉叢を束ねる小鳥のさえずりに頬ずりをして
 月光にきらめく細い爪をみつめていた

 風の家にあ ....
日曜の朝早く 
研修に出かける君が 
遅刻しないか心配になり 

僕も6時にセットした 
目覚まし時計の鳴る音に 
寝ぼけ{ルビ眼=まなこ}で身を起こし 

モーニングコール代わりの  ....
仕事帰りの道で雨に降られ 
ずぶ濡れで家に帰ると 
台所に立つ初老の母はふりかえり 

「 谷川先生のご紹介で 
  原稿依頼の電話があったわよ 」 

と、不思議そうに言った。 

 ....
ビートルズの未発表音源の中でも、
1966年のいわゆる「フーダニット・セッション」の媚惑的な輝きに、
迫るものがあるとしても、
ジミヘンドリックスがエレクトリックベースで弾き語る「君が代 ....
やがて晩秋というのに夜中のしじま
身を寄せ合う恋人達の姿もない
灰色のロミオは塀の上
ソネットをひとくさり
オウ、ムォウ、マオ、アオー
猫が、まるで狼族の遠吠えのよう


{引用=出て ....
ストレスと
前立腺肥大のため
頻尿になっていた
一時間に5回は
トイレに行きたかった

冬に桜の咲いたある日
地下街を歩いていると
いつもの尿意を感じ
感じるとともに
すでに我慢で ....
疲れた眼を開けると

目の前の街路にわさわさと
夥しい数の奴凧が
尻尾を引き摺ったまま
蠢いている。

大きいのやら小さいの
赤いのやら黒いのや
斑模様やら縞模様の
真丸のやら楕円 ....
猫の死体につづく道は下水道
たいせつな宝物たちはぜんぶ捨てて歩いていくことにした
わたしとても自由だわ
愛するあの人も今じゃもう思い出せない星屑
人のいない水族館みたい
うろこの冷たさや動物 ....
涼しい風に乗って
赤トンボが行く

僕たちを見つめながら
スイスイと行く

何となく僕は照れて
紅い夕日を眺めてみたり

夕暮れどきの君は
ほんのり朱くて
可愛くて
 
 
生まれた家をさがしに
旅をしていると
雨が降ってきた

私は寂れた商店街の
農業用品店に
傘を買うために立ち寄った

ごめんください
というと
見覚えのある人が
店に ....
 白いアパートメントが、町の大通りとはいえない、
中くらいな通りに面して建っている。5階建ての上に
は、無人駅のような空があって、雲はあまりなくって
陽射しが眩しくて、時刻は午後の2時を少し過ぎ ....
山人さんのおすすめリスト(5716)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
Ending- yuko自由詩710-10-28
入院- ……とあ ...自由詩11*10-10-28
500円玉貯金をしている- 池田実緒自由詩510-10-28
ここにいない- 高梁サト ...自由詩5*10-10-28
ひとりばらまきながら- 番田 自由詩310-10-28
手品師- はるな自由詩110-10-28
メシアはどこだ- 真山義一 ...自由詩2210-10-28
薄幸と的- 木屋 亞 ...自由詩1*10-10-27
ハンドル- しべ自由詩510-10-27
平日昼は孤独のランチ- 池田実緒自由詩410-10-27
過食の典_ー多重腹食堂- ……とあ ...自由詩6*10-10-27
意味- マサト自由詩110-10-27
共通概念- おるふぇ自由詩210-10-27
ライオンの爪あと- 乾 加津 ...自由詩8*10-10-27
おぉ私の瞳を赦し給え- 真島正人自由詩5*10-10-27
月をとってとせがんだあたしは- 森の猫自由詩6*10-10-27
空白_Ⅰ- 曲がり屋 ...自由詩510-10-26
死とエカテリーナのために- TAT自由詩3+*10-10-26
索引- たもつ自由詩510-10-26
ショパンの手- 石川敬大自由詩1810-10-26
君に贈るテレパシー_- 服部 剛自由詩210-10-26
歓びの花_- 服部 剛自由詩110-10-26
The_Beatles/Why_not_me?- はだいろ自由詩210-10-26
Calling_❤_Juliet- salco自由詩6*10-10-26
マーキング_イエロー- ハイドパ ...自由詩4*10-10-26
襤褸凧- ……とあ ...自由詩8*10-10-26
道連れ- ai自由詩310-10-26
Red- うずら豆自由詩6*10-10-26
生まれた家- 小川 葉自由詩210-10-26
カメラチック・ワーズ_#5_-_アパートメント- 佐倉 潮自由詩210-10-26

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