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きみがとつぜん
海がみたいと言ったから
きっと寒いよ?と言ったのに
小さく あったかいよと言い返されたから
ひとのいない砂浜が
どこまでも続いている
どこまで行くの?と聞 ....
ぽつりぽつりと降る雨の中
ぽつんぽつんと灯るあかり
この世とあの世の境目で
どの道を歩けばいいのか迷う
迷えるのはまだ救いがあって
どの道を歩きたいのか選べる
だからまだ ....
満員電車の中での雑感
この状況というものを真夏の潮干狩りと比較してみたらどうだろうかと、ふと思ったのでちょうど満員電車の真上から見下ろすような光景を浮かべてみた。
掻きわけ掻きわけ探すのは貝で ....
忙しいと言いながら
忙しそうにしている人がいた
忙しい毎日が嫌だとぼやきながら
忙しいのはなぜかしらと呟きながら
忙しさから解放されそうになると
忙しく何かを探しはじめる
忙し ....
へぇ これがきれいな蝶になるなんてねぇ
いいや違うよ これは一見蝶の幼虫みたいだけどねぇ
えっ? ならいったいこれは何になるというんだい?
そりゃぁ 蝶でないなら蛾になるんだよ
蛾って ....
風の始まりは
そんな熱の高まりからだと知っている
草笛を吹きながら
その始まりに立っている
(草原は静かに燃える)
気流に運ばれてゆく草の音は
枯れ色の野を赤く染めながら
や ....
のどの奥を通過する透明な言葉
そしてからっぽになってしまう
だからってむやみに捨てないで
それは見えないだけで在るから
いろんな色のドリンクみたいに
きっと知らないものを含んでる
....
三月ですから
春の匂いをただよわせる風も吹き
草木の色も何となく鮮やかに見えるのです
あなたは
うまくふくこともできない口笛で
僕が知らないメロディーを
そんなものたちに聴かせるように ....
ひろった貝殻をスコップにして砂浜をほると
そこには少し離れた海とつながる
小さな海ができる
何度かの波の繰り返しで
まるで何もなかったみたいに消えてしまう
小さな海ができる
....
「どこかにいきたい」と
ふいにあなたはいった
ぼくは
「どこにいきたいの」と
あたりまえのようにきいた
「やさしさのあるところ」と
さびしそうにあなたはいった
ぼくは
「こ ....
家族といっても母とふたり
小さな箱のような部屋を
小さく切り取ったテーブルに
向かい合うことは少ない
たとえば小さい頃は鍵っ子で
学校から帰っても一人
母は生きるために働くことに懸 ....