草むらで無数の虫が舞っていた
概ね円を描くように
青黒い虫が若草色のジャングルを旋回している
終わることの無い
いやもう何度か終わったのか
今度はどう終わるのか
どう消え尽くすのか
白昼 ....
水の国に生まれ
綺麗な水を飲んだ
からだ
が穏やかに波打つ
朝のプールに浸されている
エンソサラシの個性
思考
思考は本を読まない
水を飲む
綺麗な水
今日
はじめて ....
ふらりと君が帰ってきて
玄関に鞄を投げ出し
いつもの無表情で居間に入ってきたら
一体どうしようか
あんがい自然に
おかえりーなんて声かけて
当たり前のような顔をして迎えるかも知れな ....
影のない陽光を
乱反射させている
柳のような
黒い葉の茂る
背の高い木が
見えている
窓を開けても
風は感じないが
それら木の葉は
ジリジリと
動いて見える
大きなカラス ....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
僕たちは
太陽をかついだ
高く とてつもなく
高いところまで
持ち上げて
その中に入りこんでは笑った
僕たちは
それがいまなのだと信じた
ひたすらに信じながら
じぶんじしんの
中心 ....
些細に行き倒れ
網膜は硬直を始める
騒ぎ尽くしたはずの夜
なぜ眠りはここを離れる
狂った蛇が食らいつく
後先のない牙の痛み
ぬるい温度を漂いながら
呼気に紛れた贄を ....
風が止んだ夜中の駐車場で
代行タクシーが何台も止まっている。
夜露で濡れたフェンスと
見知らぬハンドルを握る手と。
酔っ払いの手によって
タイムズ出口の遮断機は
幾度となく悲鳴を上げ、その ....
家族が寝静まった頃
ぼくらはそれぞれの家を出た
ぼくはミルクチョコレートを持って
きみは水筒に氷と麦茶を詰めて
二人で村田川の護岸に膝を抱えて座った
今日は手を握ろう、と思ってき ....
ミノ
あなたにまかせて
ゴメンね
ハツが何より
大好きなの
ユッケが危険と
知った日に
焼肉行こうって
言ったとき
黙ってついて
来てくれたひと
ま〜この〜
(角栄をはさん ....
したためる
水の入ったドラム缶の底に
肩まで浸かる
腕
太陽
ふりあげて
空から土に弧をえがく
やけどをしている
ものたちが
列を為している
稚児が分け入り
払われ
母の代わり ....
長すぎる人生もいい
まわりの人を困らせて
短すぎる人生もいい
まわりの人を悲しませて
百年生きても
まだ生きたいと願う人がいる
二十年しか生きなくて
もう充分と思う人もい ....
かなしみを抱えている
それは乳房
もとはひとつの
おおきなやわらかい
かたまりだった
それが
たえがたい苦しみと
痛みをともないながら
二つに引き裂かれて
胸の前にはりついている
....
抱かれていたら
いっさいの言葉が消えてしまった
あきらめに導かれて
横たわる生活に屈した
詩人は 歌をもとめて
音楽家は 色をもとめて
画家は 言葉をもとめて
それぞれに寝床をみ ....
洒落にならない暇を
モラトリアムなんて仮定で
窮屈という態度は
煙草で憂さを晴らすように
それらしい野蛮なリズムで
「何にもなれない」とだらけた男を
片手で空を仰ぐように
い ....
けんかしてるときも
仲直りのときも
同じ場所にいるじゃん
月は空にあるじゃん
ぎりぎりのときも
よゆうのときも
届かない場所にあるじゃん
月は空にあるじゃん
うたたねして
あ ....
夜が辺(あた)りの色を奪うとき
灰色の濃淡だけの風景の中
独り佇み窓の外
悲しみだけの夜道を歩き
とぼとぼ何処へか歩き出し、
夜が心も奪うとき
沈む気持ちのその先に
灯りがぼーっと点 ....
そういえばあなたは 春が嫌いでしたね
春は余計に淋しくなってしまうからと
いつかぼそっとつぶやいてたのを
ぼんやり覚えています
今でもやっぱり 春は淋しいままですか
気がつけ ....
朝に残っているものは
足跡だけなのに
そこから香りがするとおもえて
そっと口びる寄せる
夜が忘れていったのは
羽ばたけなかった想いだけ
まわりなんか見渡さない
同じ姿しかいない
....
転校
見かけだけでも明るい子になる
新規入社
しばらくの間仕事好きになる
妻
朝晩マッサージをしてあげる
自分
肯定する
天気予報
ふざけるな
髪の毛
他人の ....
今日も目を閉じた
夢の中で 私は
私の望んだ誰であれば良かったのだろう
流れ続ける この 幻の中で
多くのものが 消えていた
思い出さえも だけど
今日は自分の誕生日なのかすら ....
世界中で170万人が死んで行く日々に寝たり起きたり仕事したりする
170万人が死んでいるから生きているのかとかそういう自覚は無く
かと言って140人ずつ増えて行く人間を育てる気も無いまま
眠たい ....
そして3ヶ月経ち
もし誰も小さな声なき声の歌に耳を傾けないなら
緊急地震速報のアラームをギターで鳴らす
という笑えないイタズラをして目を合わせジュテーム!
愛しているぜと笑いかけよう ....
いやいや作る節約のためのお弁当
しょーもない話ばかりの同期
お局たちのでかい態度
1日中見るPC画面
なんのために生きてるんだろ
なんて、
今まで考えもしなかったようなこと
....
満員電車に
揺られて揺れて
月の明かりの
通勤帰り
霞む眼よ
車窓の景色は
夢現のなか
闇夜に溶ける
捨てた人生が
未練となって
今も引きずる
情けなさ
携帯片手に
駄文 ....
今も変わらず
お前は其処に 在るのだけれど
私はお前の開き方を忘れてしまった
お前と語らう固有の光のような言葉を話せなくなった
お前は其処に今も 居るのだけれど
「こんなに……!」という ....
いちばん大事なことは何か答えるのはむつかしい。
例えば愛は大事だけれど愛だけではなんだかなぁ。誰に向けられたどんな愛かも問題だし。
でも愛だけっていうのは凄いかも知れない。いやそんなの有りえるのか ....
初夏に良く似合う君の肌
五月は、いつも遅れてやってくるね
陽射しをはじいて透き通る日々
ひいやりとした床の上で
最後の苺を食べよう
僕らは毎日、夕方に海の絵をかいて、すごしたりするけど、海の見えない町に
住んでいたりするから
このままの僕らで、かき続けたら、いつか、この海だって、線だけになってしまうとは思わないか?
くろがね ....
宇宙 果てしない荒野
まっくらやみの孤独の海
きっとそこは
命の源泉でもなんでもなくて
死にゆく命もないから
墓場にもなりきれなくて
ただ 馬鹿みたいに寂しいだけだ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193