匂いで誰なのか解るから
目をつむってでも歩ける街中を
ふらつきながら皆で歩いて
出来損ないのボツコレが集まっては
それぞれに
それぞれに煙草を吸うから
誰がどいつだか
解らなくな ....
朽ち果てた 自分の体を支えながら 私は歩いた!
巨大な野球場が 河原の向こうに 見えてきた!
きっと ここは 訪れたことのない街だ!!
時の全ては あまりにも 速すぎたのだ!
私は ....
最初は誰もがただの雨だと思った
それは空の破片だった
乾いてひび割れて
ぱらぱらと空が
降ってきたのだ
空のすべてが落ちてくるかもしれない
どうやって己を守ろうか
頑丈の建物を作っ ....
背中が砂漠のように痒い
掻いた手を見ると
爪の間に砂が詰まっている
山高帽の男が笑いながら
建物の扉を閉める
短い一生の
一日がとても長い
僕が死んだら
シフトに一つ穴が開くだけ
彼女は直ぐに別の男を見つけ
友達は一瞬で僕の事を忘れる
僕が死んだら
シフトに一つ穴が開くだけ
店長が頑張って一ヶ月だけ埋めて
その後は僕 ....
道を歩くと つい最近まで、卯の花や すいかづらの匂いがしていたけれど、季節は進み 香の蒸散するスピードも早くなり、このごろでは すっかり緑の陰ばかり探してしまいます。神社の石段下っていると 眼下に鳥居 ....
草の実は、苦くて酸っぱい。
子供の頃から、虫は好きだった。
うつむく生活を続けていたら、とうとう草むらの中に、顔を突っ込んでしまった。
緑色の空気がいっぱいだ。これで虫になれるかもしれない。そう ....
私は一体何をしているのだろう?
私の見ているこの世界の中には何もないのだ!
出すべき 言葉の一つも 深い海の底で 忘れて
目をそこでいつまでも静かに閉じていたかった
一 ....
地平線にぼんやり見えるのが隣町
だだっ広い草原の上には
流れの早い雲
鳥が止まり木を探して飛んでいます
一軒だけ建った
大きな屋根の小さな家
花壇には草やら花やらが
ごっちゃにな ....
青い星の表面の、いちばん青いあたりに
ただよっているたまゆら、
暑さのせいでだいぶひしゃげて
じくじく、いじけた音を出してる
真昼の夢がさめやらぬまま、
うとうと動いてごろごろ働いて、
....
ここを
登りきれば
何年も
椅子に座って
ばかりで
運動なんて
これっぽっちも
してなかった
ふくらはぎが
太ももが
体全体が
思い返せば
大したことなかった
....
出棺を待つ君は安らかな表情で
首筋にあるべき索状痕は目立たぬよう化粧を施され
凄惨な最期を遂げたようには見えなかった
呼びかければ目を覚ますのではとか
冗談が過ぎたかな
頭を掻きながら棺 ....
たばこ好きの女が
たばこ嫌いの人達に
よく言われる台詞
「生まれてくる子供に悪いよ」
そうか
そうだったのか
わたしの身体は未来の誰かの物でもあって
今こうしてだらだら生きている ....
俺達の言葉は
射程を持たぬ(山本太郎「行方不明の言葉」から)
詩は
言葉の意味が
無限定に使われて過ぎている。
しかし、
僕は詩を書く。仕事の合間
苦しみ楽しみある時は
....
ねえ、あなた
ワタシ
出会いの旅に出ます
ええ、わかっています
あなたがワタシを
好いていてくれてる事
なんでも分かってくれようと
熱心な所
これまでの御恩は忘れません
忘れ ....
この真昼
かいま見る
白日のさなかに
真夜中の闇
見てはならぬものを見て
見ぬふりをしたくなる
光の中に
あってはならないはずの
漆黒のかげ
光はあるのだ
たしかにあるのだ ....
燃えはじめていた曲線が
少しずつぶれ
カーブでころっと転倒した原付き
キョトンと路上に突っ伏して
ケラケラ笑っていられた
小遣い程度の稼ぎを握りしめて
水が欲しいと騒いでいた
夜 ....
手に何も持っていなかった
何もないままに 私は 生きてきたのだ
そうして 歩いていた
遠い風景を目指して風の中を一人で歩いてきた
何のためだろう
わからないけれど 歩き続 ....
夏の原形質が撒き散らされる
鳥たちは水晶の葉裏をもったまぶしい植物を運んでくる
虹が永遠の時を宇宙の襞に刻み付け
人はみな消え去る
暑い夜を通り抜けて
まだよわった身体を、布団に忍び込ませ
水面から引き上げられたようにぐったりとしてから
顔だけを外気へ浮かばせて息をする。
私は透けるような白い肌でもなく、
瞳はアーモ ....
だってさ
バカだから
難しいことはわからないし
引き算は計算機ないとだめだめ
漢字が沢山だと新聞読みながら
うとうとしちゃう
バカだから
マンガやアニメは大好きだけど
小説やムズカシイ ....
あ、義父さん
ハンカチを一枚お借りします
+ + +
初めて会うひとはわたしのすべてを見透かしたあとに
無学なバイトの若造が生活(いちにんまえ)を語るのかと息巻きながらも
そ ....
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金魚鉢のそれのように、
一つの世界がそこで完結するとすると、
地球が再現され、
宇宙が再現され、
ついに発生する突然変異に、
ビオトープ ....
夏の うてな
カーテンから光がもれていて
うごいている ほこりを 照らして きれいだ
光は直線だけど まっすぐなだけではね
いつまでも 寝てないで ぎょうずいでもしんさい
....
とても深いところから
汲みあげられた夜
わたしの、ちいさな泡立ちが
その上皮をながれていく
ここにいれば、凍りのような
つきのひかりも遮ぎられるから
ただ、穏やかな ....
ダイヤモンドより確かな一瞬に
石版みたいな青い空をみつける
だれの名前も刻まれることはないし
法律だって記されていない
ましてや
墓碑銘なんて思いもよらないのだ
だれかが今も死にいくなんて ....
青い波間に漂う
コバルト・ブルーのきらめき
画用紙に彩られた海は今でも
烈日を待ち焦がれている
*
雨の日は部屋の中でひとりきり
孤独を思う存分楽しもう
外国の歌手が歌う
レコ ....
雑草が覆いかぶさる細い道をゆく。
小川のそばに、水引草が咲いていた。
山の麓のさびしい村。24歳で夭折した詩人の夢が、いつも帰っていった。
その夢のほとりを歩いた。
小さなあかい花。見過ご ....
夜/地球の裏側の太陽の動きを意識するように
気にかけたり抱えてたりする/日々のなだらかな稜線のつらなり
そのいくつかは自意識の成分でできていて
ムヨウの苦しみだったと気付くとき
素敵な夜だね ....
レストランがあった
メニューのないレストランだった
テーブルクロスがなかった
テーブルも椅子もなかった
シェフがおらず
給仕もいなかった
屋根はなく、壁はなく
建物すらなかった ....
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