しょうふは
おかねでかわれた
そのうみを
ふかいふかいうみを
おかねでかえない
きみをうみが
とおくみている
さして間もなく惚れました
そして間もなく晴れました
涙がほんのり滲みました
案外あっさり乾きました
願いはいくらか満ちました
想いはいささか欠けました
新たな痛みを知りました
....
わたしがつけたなまえだ
あめ、かぜ、ゆき、こおり、
そのたいろいろ
わたしがつけなかった
なまえが
ここにあるだろうか
こどもになまえがあるように
ははにもなまえが
....
愛しているよとささやいて
私の心
を盗むあなた
断りも無しにと腹立たしさを覚えたとしても
ある意味期待していたのは確かことで
四十六時中、あなたのことだけを考えていた自分に気付く
....
蘇生のイキをするように
そっと虚空に
言葉をはなったとき
言葉はすぐにちりぢりになってきえた
あの日の
あの青空には
二度とであえはしない
....
一つの魂には多過ぎる涙を君は溜めている
すべての宇宙の悲しみを君は泣く
まるで時間というダムが決壊したようにね
僕は呆れて見ている
愛が欲しいと君は泣く
小さな女 ....
満たされたら
充分 というのは
嘘だ
永遠を誓っても
手をのばすところに
触れる存在があっても
ふとした瞬間に
冷たくなる
魂がある
その証しに
もう
ふたつ ....
古い絶望の上に
俺達の廃墟が立っている
「今更どうなるものか・・・全てはもう遅いのだ・・・」と誰かの嘆きが
古い牧歌のように流れて行く・・・
と、俺は急に俺の夢から覚めて
....
わたしがみたいもの
ちょうど林が重なるとき
岸の端だけ明るいの
わたしがみたいもの
頬のこけた旅人の耳
一年に一度受信できるラジオ
わたしがみたいもの
雨にうたれる阿修羅像
も ....
少年の日・・・
あのころは
三寒四温の温情だったコスモス
壮年の日・・・
そのころは
狂乱の薄情となっていたコスモス
臨死の日・・・
そのときは
非情 ....
もんだいは
かいけつするものだ
かみのうえで
しずかに
まいあさあたらしい
とうあんようし
ていしゅつしてる
とがってたはずの
えんぴつのさき
まるく ....
稲妻に恋されて
ドカーンと落ちてきて
痛い
そして連発はこたえる
傘をさしてもわかってもらえない
遠くで鳴ってるのをびびって聴いて ....
水たまりにふれる金管のくちびる
降りやまず続く日
いちばん始めの地球に戻されたような
ゆりかごの上をたどる
ひらいた傘は鳴りきし ....
除雪車に
ウチの可愛い雪だるまが拐われました
深夜2時(25時58分)の出来事
私は裸足で追いかけた
100m 200m 辿り着いた近所の川
無惨な姿で発見されました
可愛いウ ....
勝者と敗者の間に
三角定規で線を引く
本物と偽物の間に
フリーハンドで線を引く
好きと嫌いの間に
眉間で線を引く
面白いと面白くないの間に
口角で線を引く
瞬きする ....
昭和二十年八月六日午前八時十五分
ヒロシマは地獄と化した
おなかのなかで泳いでいた名もない 胎児
三輪車に乗って遊んでいた あやちゃん
竹の物干し竿に洗濯ものを広げていた 母さん
ア ....
近づいてくる
蒼い窓をそっと開けた
大きく深呼吸しろ
わるいものばかり喰っているから
朝の空気が一番の栄養なんだ
花がやわらかに息を吐き
夜明けの雨に凍えても
時は鳴りやまない
まつ毛のさきにふれる空は透けて
彗星のように種が流れていく
肌にすべる水滴にくちづけ
花びらを射ち落として
雨は死 ....
暗い夜には
一羽の鳥がやってきて
私の口に潜り込むと
枝を使って舌根の辺りに巣を作り
数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく
朝、私の舌で
殻を破 ....
落とせ落とせ
千年の井戸へ
滾々たる湧水の
骨を斬る清明に
落とせ落とせ
お前の孤独
それに語らすな
波紋に語らせよ
波紋を読ましめよ
妖精サイズの封筒に
雨模様のぼたん
さぐり打つ鍵かけて
差し出そうとする腕をほどき忘れている
ちらちらと縫う
意識の合間、四辺形の薄明かり
落ちた視力にささる脈動星
猫を
弾い ....
全く、窓辺の風よ
そうやあやあと声を張らず
少し黙っていられないのか
私の爪先ももちろんそうだが
なにより、カーテンが困っているよ
お前の冷やかな愛の歌が
彼女の心を惑わせているよ
....
便利やで。このひと。
うれしいと泣く。
哀しいと笑う。
恋もできる。
歌も唄う。
故障は少ない。軽くて丈夫。
充電式やから停電に強い。
環境に順応。
ええ仕事する。みんな欲 ....
{画像=120120002940.jpg}
心の触手を伸ばして
感性を解き放ち
触手を伸ばし給え
心を拡げよう
静かに静かに拡げよう
両手を拡げて感じよ ....
久しぶりの雨が、何粒も何粒も、朝から夜中のいままで、つめたく道路をぬらしている。照らされるアスファルト。フィンガーチョコレートの包み紙によく似ている。静かで、しわくちゃで、でもしっかりと厚みのある。吹 ....
「水際」
水際、を考える。
ボーダーラインを越したり、引いたり。
波打ち際の刹那。
それは躊躇するもどかしさにも似て。
繰り返し訪れる人生の選択にもなぞらえる。
....
眠りの舟は行き先を天に託す
私は知らぬ間に
川のほとりに
抜け殻を置いて
サラサラと流れる小川を
一人 小舟を漕ぎ始めた
春風に押されて
もの欲しげに
小舟を見下ろす
タンポ ....
男が嘘をついた
嘘だと分かっていて
わたしは騙されたふりをする
嘘だと言ったら
瞬間に
嘘が本当の嘘になってしまうから
すべてを失いそうで
怖くて
わたしはそれを言えない
男 ....
あなたを乗せた船は故郷に近づき
ふたりの思い出は遠ざかる
幸せになりなよと、そんな一言のメールも打てぬ間に
わたしは愛したい
あなたの優しさ
わたしは愛したい
あなたの眼差し
わたしは愛したい
あなたの存在
猫である
愛である
※
ファミレスの窓側席で神事を語る
日 ....
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