{ルビ蟇蛙=ひき}よ、泣け。


泣くがいい。


ぎやあろ、ぎやあろと


泣くがいい。


父は死んだのか、


母は死んだのかと


泣くがいい。


 ....
ずっと夜に引っかかっていたい
蜘蛛の巣の落ち葉みたいに
まさぐる闇に身をまかせ
ふるえながら黙ったまま
水中に咲く花のよう
静かに息を
ひらいてとじて
やがて夜光虫が模様を描き出し
嘯 ....
我妻へのラブレター

 
初恋のデートで訪れた竹下通り
あの日に入った喫茶店は
何処だったのだろうか

季はゆっくりと移り変わり
刹那にもがき苦しむ人達も
入れ替わり立ち替わり

 ....
2023年10月5日朝

もしかすると
東京は
ずっと
夏が続くと
思ってました。

いきなり
昨日から
秋が来た感じ
涼しい朝。

あっという間に
冬になるんだろうな
 ....
干からびた空
アンモニアの匂いのする路地裏
紫色に光る塔
体中にお守りをぶら下げた男
ショウウィンドウには蜘蛛の巣のようなひび割れ
アンモニア
錆びた鉄橋
霜柱の上にそそり立つ摩天楼
 ....
 何時も
 碧く拡がって
 動くとも見えず動き
 光るさざ波が 僅かな物語を示す

 岸壁に立って
 私が居る
 スカートをひるがえす
 いっそ このスカートが風をはらんで
 海に  ....
いくつもの
物語の
すべてが語られて
ひとりの人として集められて
終わるころには
陽の光から逃げるような
細く長い影が
やっぱりひとつ
薄く 揺れるだろう

生まれてからは
笑い ....
 特別に悲しいという訳でもない日
 行きつけのショッピングビルの喫茶店で
 夜のムードなソフトジャズが
 無機質に聞こえる 寂しさ

 スプーンで掬って 舐める
 ウインナーコーヒーの ....
秋は遠い
肩にこうべをあずけて眠る
ひとりの女のように

一匹のトンボがくぐりぬける
それ以外なにもない
綿の花をあしらった
青くくすんだヴェールの下

静かな死者の息づかい
遠く ....
精神の国をぶんどった
瞳に映るのは町並み
一生で作り上げたはずの美しき景色
分け合うことができるだろうか
私の国と同じになってよ
あなたと歩きたい道
純白に覆われた道
時には草陰に花も咲 ....
樹にもたれて、手のひらをひらいた。

死んだ鳥の上に、木洩れ陽がちらちらと踊る。
陽の光がちらちらと踊る。

鳥の死骸が、骨となりました。
白い、小さな、骨と、なり、ました。
 ....
三月のある日のことだった。
(オー・ヘンリー『献立表の春』大津栄一郎訳)

死んだばかりの小鳥が一羽、
樫の木の枝の下に落ちていた。
ひろい上げると、わたしの手のひらの上に
その鳥の破けた ....
あなたは静かに家をつくりはじめる
静かに 何年もかけて

あまりにも美しくそれは成されたので
家ではなく 森や 額縁や ひとかたまりの風に見えた

静かに何年も何年も
何年も何年 ....
藤棚をみて終わりにしたい

そう思いながら隣の庭が消えてしまう

積み置かれた状況 不要物 

必要なものだけを鞄に詰め込んで

きみは何処へ行くというのか

即興で書いている ....
雨が用意されている
雨は、いつも用意されていた
夏の終わりに
情けなく溶けだした
アスファルトの上に
生き延びた午後の渇きに
焼き場の長い煙突に
ひとすじの
細く白い煙に
(鉄の塊
 ....
わたしはふるさと
私が還るべき処

ワタシ、

私は私の故郷 ぎゅっとぎゅっと抱き締めて

 (彼女は子を産めない、
 凛として涼やかに
 冷徹威厳の匂い
 柔らか漂わせ
 石女 ....
帰宅途中の
夕雲の群れに
滴るように
求めながら
どこにも空きは
現れない
千切れそうな
心持のなかで
言葉だって
ひとつもない
汚れた指で、
鳥を折って飛ばしていました。

虚ろな指輪を覗き込むと、
切り口は鮮やか、琺瑯質の真っ白な雲が
撓みたわみながら流れてゆきました。

飛ばした鳥を拾っては棄て、拾っては棄て ....
いなくなった人へは
何も書けないから

妻へ

前略

草々

としたため
渡した手紙は
洗濯されて
入道雲の下に干してあった
立ち上がる
背伸びをした
その、もっと上に ....
絶望をカバンに詰めて
眠れない夜を過ごした

前の日も雨
天気は荒れ模様
回復見込みはしばらくない

午前9時
空港の掲示板に
遅延情報が流れる

ネパールに行ったら
寺院を観 ....
草が草の記憶を語りだすと
風の結晶はふと風に溶けていく
掌で温めていた卵が消えてしまった時
わたしは初めて言葉を知った
その日の夕方
新しいベッドを買ってもらった
感謝の気持ちを伝 ....
ダイヤモンドの針をそっと置く

行っておいで

想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
指先を太陽に翳して
陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く

隣町まで足を棒にして歩いてみたら
少しはこの気持ちが楽になるだろうか
茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて
長屋を横目に見て
空き ....
 ふしあわせ というものが
 とくに こころ美しく
 あたまのするどい ひとに
 みいる のでしょうか

 はんぶん いろづいた林檎の
 つめたい甘酸っぱさを
 あなたは こころ ....
偽物の珈琲を買った
何が偽物って、ポーションタイプだった
別にこだわりなんて無いから、何でもよかった

偽物の仕事を始めた
何が偽物って、給与が出ないタイプだった
別にどこかに属したいだけ ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で

時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。

そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に

揺れる視界に
方向感覚 ....
砂粒がかがやくと
水際はふたたび沈んだ
土用の波が音をたてて崩れる
台風前の静けさが
妖しい雲に包まれていた

あの賑わいは、
もうない
貸しボートも
焼きそばも
かき氷もやってい ....
小さな手花火
火をつけられたら 
そこからはじまる
儀式
一瞬燃えたあと
丸く赤い心臓が生まれ
酸素を吸って
チカチカと
この世ではじける
火の花
いっときの命
えいえんには続か ....
また海に来た僕は
見ていた 同じ水平線を
ラインのどこか半円形の
木と同じ 垣根の間を
レッドロブスターの黒い看板を通り過ぎて
バスで走った 道を
そして何かを探していた


コーネ ....
いつから、

あそこにゐるんだらう。

日溜まりの向かふに、

声がする。

日溜まりの向かふに、

声がする。

わたしの声だ。

それは、
 ....
山人さんのおすすめリスト(5905)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩9*23-10-9
夢魔の膝枕- ただのみ ...自由詩8*23-10-8
我妻へのラブレター- 足立らど ...自由詩10*23-10-7
雑記- 足立らど ...散文(批評 ...423-10-6
虚偽の森- 一般詩人 ...自由詩423-10-6
- リリー自由詩7+*23-10-4
郷愁_二- 乾 加津 ...自由詩11*23-10-3
水曜日- リリー自由詩12*23-10-3
孤独なポーン- ただのみ ...自由詩4*23-9-30
二人で- 杉原詠二 ...自由詩10*23-9-22
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩13*23-9-17
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩10*23-9-11
- はるな自由詩1723-9-8
それだけのこと- アラガイ ...自由詩14*23-9-7
雨が用意されている- ちぇりこ ...自由詩1823-9-6
ふるさと・うまずめ(石女)- ひだかた ...自由詩723-9-5
夕雲- はるな自由詩1123-9-4
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩13*23-9-4
入道雲- wc自由詩16*23-8-30
荒れ模様の旅- 久遠恭子自由詩423-8-29
待合- たもつ自由詩12*23-8-23
オールドレコードに寄す- そらの珊 ...自由詩8*23-8-21
名もなき花- 久遠恭子自由詩13*23-8-21
みずうみ- リリー自由詩15*23-8-18
空言- 山本やま自由詩523-8-18
砂漠(草稿_II)- ryinx自由詩14*23-8-18
終わらない夏休み- atsuchan69自由詩8*23-8-16
線香花火- そらの珊 ...自由詩13*23-8-14
休日の交差点で- 番田 自由詩123-8-14
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩12*23-8-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197