忘れられないものを抱きしめると
思いのほかウェットで
涙まみれに崩れて僕の服を濡らした
夕日の差し込む児童公園と
ブランコの作る影が
混じりあって溶けて
瞳からあふれ出す

ジョバンニ ....
けろっとしたかおして
ぶなんな こたえばかりさがしてる
でこぼこも じょこびょこも なんにもないじゃない
そんな おめん うしなってしまえば
いいのに しろすぎたつるんとした おめん
あいつ ....
海の味を覚えている
アサリよ アサリよ
お前が居た海の味をこの舌は知っている

私は明日 おまえを食べるだろう
そのために舌で味を見ながら
砂を吐かせるための塩水を作る

おまえはそん ....
だれひとりとしてしることのない果実の
種子のほほえみは約束 され
底も無い墓標により
うきぼりにされ た
(風の透明度は(曲線の乳房(声も
(ふるえ(、を(空きすぎる、
(かかしの大空 ....
なんとなく息を吸うのが苦しくて
ぐるぐる鉛筆で紙に円を描く

からっぽ

子供のように特に意味もなく書いたそれ
円は次第に大きくなって井戸みたいになってしまった

まっさかさま

 ....
 K

親不孝な倅の
誰も知らない部屋の机のひき出しには
それでも両親に宛てたAIR MAILのクリスマスカードが
残されていた
研磨剤じみた陽光が降り注ぐだけの
カリフォルニアの生誕祭 ....
私は膝に子猫を抱いている
二日前に死んだ子猫
それはすでに腐敗している
私の腕からその猫の肉体が垂れ下がっている


私は歌を口ずさんでいる
題名が思い出せない歌を ....
ブルース・スプリングスティーンの、
1978年のアルバム「闇に吠える街」セッション時の、
未発表音源ばかりを集めた3枚組のレコードを、
買ってから、
ずっと聞いている。

お茶の水のデ ....
 
 
隙間から押し寄せる波が
文庫本の栞を
何に使うのだろう
一枚さらって
もとの海に戻っていく

生き物の柔らかな陰影
そのようなものがあると
いつまでも
触れていたくなる
 ....
朝を聞いては実もない
流れるボルガの河を見つめて
「やまかわくさき」なんて言わなくてよかったわ 。

無知教養をひけらかそうとして
匿せば座禅に奴は笑うから
虚仮は自然に淘汰さ ....
久しぶりに恋愛をした男の子は年下で、シャネルの匂いがした。
しっかりした肉におおわれた太い骨。
しりあってから十五日めに触れて、
触れてから六日間はなれなかった。

夜中に逢い、朝がたま ....
世界の崩壊する様なシアン
突然の雨にピアノは響く
雷鳴とのコンチェルト

鼓動の高鳴りとビオラの直線
空に向かって雨は斜め113°
浮かび消える水溜りの波紋

手のひらにある孤独
遠 ....
太陽が地平線と出会い
辺りは薔薇が搾り出した
真紅の情熱に包まれていく
火照ったブランコに
ぼくときみは座って
目的もなくただ前後に揺られて
軋む錆びた鎖の金切り声を聞く
浮かん ....
今日も夜の眠りに落ちた
俺は 生きているのだろう
いつもそんな気がさせられた
街の中を流れている


俺は自分ですらなくなったのだ
こうして 流れる光を 見ている
俺は立ちつくして ....
相模原から来た女の子に、
相模で最大のスターは、
ジャイアンツの原辰徳親子なのかと聞くと、
そうですということだった。

そうゆうどうでもよい会話を、
さばさばとするその子は、
ぼく ....
ひと目星をみるために
今夜も出かけてゆくのです
雨がふってる空は濡れてはいない

窓のうちっかわには
平和があるというのに
こうして出かけるのです
まるで外にある宝物しか
受け付けない ....
1階のショウ・ルームには巨大なマシーンが
腹這う竜さながら何台も展示されている
合衆国とドイツの工場から空輸された
これら封入封緘機は全国津々浦々に納品され
封入された郵便物が各世帯に届く仕組 ....
温められた皿が食卓に置かれている
「私を彩って。そして汚して…。」と
上気した白さで語りかけてくる
アンティパストでは物足りないと言いたげな光沢で
ゆるやかなフォルムの輪郭を際立たせている
 ....
ぼくはいつも作業服を着ている
田舎ではみんなそうだったし 何の不自由もない
社名の入った制服 オフの日でも安全靴
それがぼくの正装だ

そんなぼくの格好を 都会の君は嫌った
ある日 一 ....
アイツはこびとのいきのこりだ

おおきななりをしているけれど

アイツは正真正銘のこびとだった

こびとは可愛いことと拗ねることが仕事だ

だからアイツのことは気にしないで

アイ ....
  ぼくは いつも何よりも 彼女のことが たいせつで

  ぼくは 彼女を愛してた

  ぼくは 彼女を愛してた

  彼女の望む幸せが 叶えば良いと 叶えば良いと... 


 ....
お前が私の頭に触れることは
玄関で靴下まで脱ぎ、放ったあとの
一つの儀式だった

おい、納豆の匂いがするぞ
八歳の妹は部屋から顔を覗かせる
お前はその頭も追うのだけれど
 ....
僕は
溶けてしまおうかと思う


うすく藍色に染まりゆく空に
くっきりと影を濃くするビルの形に
電車の窓から
ほのかに浮かび上がる明かりに
我知らず笑んで
僕はまだ
人らしくあれた ....
犬が笑った

そんなことは思い込みかもしれない
それでも事実目に見える形でしか説明されない多くのものを投げ捨てるけど
不確かな現実はうやむやなまま流された
犬は僕を見ているのではないかも ....
今日の日曜日は、昼と夜と、
ダブルヘッダーで予約してたけれど、
昼の女の子は、急に生理になったとかで、
キャンセルになった。

お昼から、プラモデル作りに熱中してしまい、
部屋はシンナ ....
「ねえ、キンモクセイって何?」
 テレビから聞こえてきたのは、キンモクセイ、というはじめて耳にする単語。形も香りもなく、音楽のように心地よく響く単語だった。
「木星と金星がぶつかってくっついたん ....
そこから
中央に
丸い石を並べた
ネックレスのような道があって
豊かな膨らみを二つに分けるような
多分の道
人々がその橋を渡る日もあった
お年寄りとか カップルとか
呼吸のために
水 ....
わたしたちは生きのびて
また
残された年の
とびらが閉まっていく


精霊たちもねむる
誰もが永遠をくちにする夜
そとは降りはじめた



落ちるほどに白さをます街は
いつ ....
一次会で帰ると言ったのである
もともとお酒に弱いうえに年である
記憶がないという事もあるので
人に迷惑をかけないうちに
体も楽なうちに帰ってくればいいのだ

そろそろ終わったかな
なんな ....
ハイツ和合にたずねてゆくと
花火ちゃんはフローリングの床でお皿をわっていた
ぺたりとWの字にすわりこんで
からだやわらかいんだ
ね、つめたくない?
訊いてからちがうちがう
なんでお皿な ....
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