ふと、目をやる

視線の先には 木蓮

ここ数日
一けた数字の寒さの日

もこもこに着込み
大判マフラーの間から
景色を見ていた

ベージュに近い2センチほどのつぼみ

 ....
わたし まくら もうふ
わたし まくら もうふ
三層に連なる眠りに寒さはおりて久しく
外気に触れた右人差し指は人肌を求めて冷たく
わたし まくら もうふ
わたし まくら もうふ
わたし 
 ....
 
 
雨上がりの金属に
陽ざしが降り注ぐ
澄んでいく歩道橋の上で

ブルゾンは人の形
人が着るから
着なければならないから

産まれてくる、ということに
ここにいる、ということ ....
7年前の皐月の深夜だった
寝返りが打てないと眼が醒めた
左半身がまったく動かない

何かがおかしいと
右半身で左半身を転がし
ベッドから転げ落ちる

電話まで這っていきながら
救急車 ....
何をためらっているの
細胞が覚えているでしょう
心が脈打つ度に感じないの
いのちを抱きたいのでしょう
肌が泣くほどに抱き合えばいいよ
後付けの科学は興味深いけれど
あなたはあなたをもっと
 ....
フランスパンの上を滑るジャムが

すごく輝いて見えた朝だった。



泣いていたからではない。

太陽が特別キラキラしていたからだ。



未完成で中途半端な私を

 ....
台所の流しの前に突っ立ってひとり
母が黙々と八朔を食べている 
手際よくむかれては口に運ばれる寸前を
遠慮なく横取りした 娘だった頃

母の顔はおいしそうでもうれしそうでもなかった
自 ....
いけんをいえと
あなたはいう

いけんはないと
わたしはいう

それでもいえと
あなたはいう

いわなければ
ころすとせまられる

わたしはあなたに
いけんととも ....
全身麻酔の胸がメスで開かれ
肋間がスペーサーで広げられる
心臓に手が差し入れられる
教授クラスの執刀の下に
横たわるのは天皇であれ
一人の小さな老人の体だ
陛下も年を取った
平成になって ....
古く錆びれた配管の中で
ライトを咥えて屈みこんでいる
作業服に目出し帽、ジーンズの尻は破れ
左手で右手を押さえている
くそったれな血め・・
鍋つかみだってなんだっていいからしておくべきだった ....
空は短く
銀の上に立ち
冬は冬をめがけ来る
次々と次々と突き刺さる
次々と次々と遠去かる


夕陽に押され
倒れる鉄骨
北の北を向いている
冬の指の
影だけが動く ....
食パンのみみが
初めて出会う言葉は
まだ星空が出ている時間から
働き始めるパン屋のおじさんの
「上出来だ」の嬉しい言葉だろう

スライスされる前は
全身が みみなので
工房の全ての音が ....
顔見知りの男が死んだ

いつも何かにイラついていて
斜に構える自らの姿に酔いしれていた

そんな一人の男が死んだ




よくある話しだけど
おんなが二人いた

別れた奥さ ....
自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる

コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター
 ....
こんな朝に
カラスのカの字もありゃしない
太陽はふやけた面の木偶の坊だ
白い国道の上
黒いおまえは完全に死んでいる

暗がりのおまえは
いつも何かを舐めていた
おまえが前を横切る時には ....
頬杖をつく
頬杖をついたところに魚が生まれる
机の地図をそよがす尾びれ
三秒とたたず
世界を跳ねまわっている
少し寒い(少しでなくとも寒い)冬の日は
暖房のスイッチへ泳ぎ着く
小銭がたま ....
{引用=あなたが絶望をくだっていく
だから私がここで受け止める
そうして少しでも闇夜が静まりますように
ひらいた窓辺にも太陽がもどりますように}
{画像=120219045735.jpg}


最近不思議な夢を見る。
ぼくが眠ると夢の中のぼくが目を覚ます。
夢の中のぼくが眠ると現実のぼくが目を覚ます。
会社の会議中に居眠りをしている ....
明日は 今日よりも軽やかに
    と我々は{ルビ希=のぞ}んで
今日は 昨日よりは{ルビ厳=おごそ}かに
    と我々は慎む

平穏になればなるほど
勝手にもがいて 考えこんで 苦しが ....
取るに足らない枯木に
カシミア混の古いコートを着せて
目抜き通りのほとりで
タクシーを拾おうとしていた

通り過ぎていくのは
回送の名札を得意気につけた
ハイブリッドな北風ばかり
 ....
人さし指を 探しています

誰かを指さして
不幸を笑う人さし指ではなくて
指と指の先を
そっと合わせれば
心のバッテリーが静かに充電されていくような
そんな
人さし指を探しています
 ....
ひとには


負け戦と分かっていても


戦わなければならない


時がある
  事が終わると君は
  床に落ちた下着を拾い
  なまぬるい脚をとおした
  ブラジャーをつける前に時計を巻き
  白いシャツを着る前に
  メンソの煙草に火をつけて
  事が終 ....
なにかをかけば
なにかが変わるか

雪はふるふる窓のそと
さらりしゃりしゃり
きこえるような
窓をやさしくなでていく
いつかきえる
きえることなど思わぬ雪が
人生に期待せず、卑屈に生きる事は、悪い事でしょうか

果報を得ずとも、結果がなくとも、決して成功とは呼べない何かを掴もうと生きる事は、悪い事でしょうか

僕が僕の為に死に物狂いで走った事が、結 ....
そして真白な夜が明けて
霜、サフランの開く音は
夜中積もった雪に吸い込まれて
窓の中まで届かない

光は反射しながら落ちてくる
雲、菫色の雲をわって
シナモンを焚くけむりが部屋に満ちて
 ....
おめしあがりの
ちょくごにいれてくださいと

いっぽうのふくろが
のこっている

なにがはいってるのかと
あけてみたら
なにもなかった

ははにきくと
そういうものだ ....
デリカのハイル−フが僕の儚い夢を載せて走っていたあのころ

僕は孤独だった

家族に見捨てられて行き場のない猫のように彷徨っていた


はしごをはずされた愛という幻想を必死で ....
オリヅルランの
白い筋を滑り落ちて
ぽたり
光が膨張する

鉛筆の先の消しゴムが
手のひらに当たるまで短く
執拗に書き続ける
うしろめたさ

黄色い空の雨
水たまりに流れ着く爪
 ....
あまり頭が
よくないほうが
かわいい気もしたが
ある程度
素養のある方が
かわいい気もした
だが
どっちでも
どうせ
手に入らないから無駄

かわいくても手に入らなくて
そこら ....
山人さんのおすすめリスト(5829)
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ジュゼッペ_コルローディ- 6自由詩212-2-17

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