小さな種を
たくさん産みます
穢れた川の中で
震えながら
産み落とします
跳ね反った
光の空は
青いですか
失われた星の色は
私には
見えません
溶けた結晶で
でき ....
脳天に染み入る
青い空
鏡は今日も
ありのままを映し出す
それが真実だとは誰も言い切れないだろうが
独りの時間を愛するはずが
いつの間にか
そうではなくなっていて
肌が自室 ....
私は紙で
薄っぺらな紙で
じょうずじゃない半分にたたんでいます
広げたら戻れない
そんな心配ばかり
ぺららぺらら
羽ばたきたくて
なんにも書いてないって
みんないうけど
....
まんまるい
月の照る夜に
凍てた川を跨ぎ
去ってしまった者へ
まんまるい
陽の照る朝に
そこらじゅうの鏡に
閉ざされた思いへ
....
本を読んでいる私の手に止まって 私の血を吸っていた蚊を 反射的に
ぷちんと殺してしまった
普段はそのまままた 本を読み出すのだけれど その時は
なぜかとても後悔した
私は血を吸 ....
三度目の引っ越し
場所
家賃
色々あるけど条件はただ一つ
四方を囲む真っ白い壁の部屋という事だけ
何も飾らないし
決して誰も来ない部屋
ここに帰って来て
部屋の中心に座る
....
心の隙間を埋めるように
むさぼった、みんなで
流れていく
体内を巡る液体に同化して
それでも
蒸発していくの
たばこの煙
汚い笑い声
何もかもバカみたいで
染みていくアル ....
キビタキが鳴く
森の中の梢で
黄と黒と白と
震える喉の橙が
新緑を溶け入らせ
森は内側から喜びの歌を聴いている
そして私も
国を越えて
ウルルン
滞在する番組の
ナレーション
するぞアトム
声続く限り
感動的
ウルルン
正巳の子
力はなさそうだ
下條アトム
鯉のぼりが
羨ましかった
『鯉のぼり』
我が家には
江戸時代から受け継ぐ
鯉のぼりがあった
もう骨董ものの古さなので
額に入れて飾るだけで
実際に吊るしたりはし ....
背中の波が剥がれて泣いて
海が誰かを呼んでいる
あなたのことを考えてみる
体を循環する器官のひとつひとつを
ていねいに洗う
みずの流れに臆病になると
腰にひびが入るんです
ゆるや ....
きのう、よく晴れて、
成田山新勝寺まで、
数え43歳の厄払いに、
職場で、3月まで、派遣で隣に座ってた、
37歳の女性と、
日暮里から、京成線に乗って出かけた。
途中をすっ飛ばすと ....
スチール缶の中で真っ黒に佇むコーヒーを覗くと
ウッドベースの重低音が聞こえてくる
コーヒーにジャズは似つかわしくないが
ときにそれが恋しく響くことがある
口笛につられてシジュウカラが舞い降りる ....
裏山で雪に潰され 折れた枝を集める
曲がった杉の木に足をかけて
土と雪を這い上がり 山道に出ようとすると
蝉の抜け殻が
木の根元 小枝にまじってあった
雪溶け水の下る
山道 ....
オオルリが鳴く
川のほとりに立つ
高い高い木の頂きで
空よりも
水よりも
深く青く清澄なる色から出る音色に
森が統一されてゆく
ロックンロールというやつはカルピスの原液に似ている
忌野清志郎がストレートに六甲のおいしい水で割った王道であるならば
甲本ヒロトは三ツ矢サイダーで割ったような清涼感がある
チバユウスケが ....
{画像=080406010521.jpg}
光りと闇
陰と陽は対局でもあり
xyのよう ....
グミを食べているときは
世界で何が起こっているかなんて
考えもせず
ただ幸せな気分に浸っている
「必要とされ 必要とする」という
かくも疑わしき言葉に
涙を流したこともわすれ
ただ ....
何もない
ここにいるのは 誰でもなかった
一人ではなくなった
私は 一体 何者なのだろう
そんなことを考えた
遠くへと また 私は歩きだした
そびえる山の頂を見た
今日も私は とても ....
きみはなぜ
わたしではないのだろう
このからだのなかに
なぜきみはいないのだろう
わたしがおもうかんかくの
そとがわにあるかんかくを
なぜひとつしかない
かんかく ....
東京
何でもあるが
大したものは無い
唯、女に綺麗を許してくれる
好きにさせてくれるのだ
そこが大阪とも福岡とも違う
半ば人の幻想で造られている東京は
だから墓地によく似た姿をしてい ....
眠りからとけると
部屋はあいかわらず
自分色に汚れた壁床
今日こそ外へ
世界を捉えにゆこう
風に晒されにゆこう
くるまるシーツをはがし
自己臭に鈍った嗅覚でさえ
感じる匂い ....
火を食べる川
その川のようになりたい
なりたければ仰向ける空へ返す仕草を
かみしめたまま忘れないこと
石の尖りを解かれた頃には
流れの起伏をたどっていることだろう
いつかは溢れ、落ち着くと ....
すでに川は
平坦な静けさの原野にひとを集めて橋をつくり
横たわる大蛇の骸であったから
サンタクルス
ナザレ海岸の大西洋の落日を眼鏡に映して
修羅のあゆみはヨーロッ ....
何色のスカートで羽が開くのか
ぬかるんだ睫毛に虹が掛かる
あの日からもうずっと君を見ない
エム、
午後九時
決まって木槌が目に付いて
隣室ではジャズのボリュームが上がる
*
....
ゆるやかに
もう乾涸びてしまいそうな川の
もう息絶えてしまいそうなせせらぎを
聞きながら
顔つきを変えずに
下ってゆく川面を見ている
投擲する石礫は対岸に届くことなく
力なく落下して ....
長く歩いてくると
道に落ちているゴミの類い
しがらみという糸屑や
負い目というガムの滓
義理という不燃物
扶養義務って言う海綿動物の亡骸
みんなすねに絡み付いて
どうにもこうにも ....
たばこのけむり
あいまいのなか
そっと
てをふるもの
ひかり
ふりつもるゆき
とうめいなゆき
ぼくを
ふちどるもの
ひかり ....
あめがふっている
あめがふっている
息苦しい
喉奥に水滴があつまっていく
緑色のものがうまれはじめた
くぅら
くぅら
口の中に植物園
木立に紛れて
....
夜、起きて台所に行く
冷蔵庫を開ける
豆腐が二丁入っている
皿に豆腐をのせる
豆腐を握りつぶす
二丁ともつぶす
皿も豆腐も白いのに
皿を握りつぶすことはない
世の中の仕 ....
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